3.NAS活用ガイド

Plex vs Jellyfin vs Emby比較|NASメディアサーバーはどれがいい?

yamakashi

NASに動画・音楽・写真をためて、家中どこからでも再生したい——そんな夢を叶えてくれるのがメディアサーバーソフトです。

特に有名な3つが Plex(プレックス)Jellyfin(ジェリーフィン)Emby(エンビー)。どれも機能は似ていますが、料金体系やUIの完成度、NASとの相性に大きな違いがあります。

結論を先に言うと:

  • とにかく無料で使いたい → Jellyfin
  • UIの完成度と使いやすさ最優先 → Plex
  • 無料と有料のバランスを取りたい → Emby

この記事では、3サービスを価格・機能・NAS対応状況などの観点で徹底比較し、あなたの用途に合った選び方をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • Plex・Jellyfin・Embyそれぞれの特徴と料金
  • 全項目の比較表(無料範囲・UI・対応デバイス・トランスコードなど)
  • SynologyとQNAPでのインストール対応状況
  • 用途別のおすすめ選択ガイド
  • よくある質問(FAQ)5問

NASメディアサーバーとは?

NASに保存した動画・音楽・写真を、スマホ・タブレット・テレビ・PCなどから再生できるようにする仕組みがメディアサーバーです。

たとえばNASに映画ファイルを保存しておけば、リビングのテレビや寝室のスマホから専用アプリで視聴できます。さらにインターネット経由で外出先からも再生可能。まるで自分だけのNetflixを作るようなイメージです。

主なメリットはこちらです。

  • 月額サブスクなしで大量のコンテンツを一元管理できる
  • 映画・ドラマのポスター画像・あらすじなどを自動取得して整理してくれる
  • 家族全員が各自のデバイスで同時に別コンテンツを再生できる
  • 自分の所有コンテンツだから広告なし・配信終了リスクなし

3サービスの概要

Plex(プレックス)

2009年にリリースされた、メディアサーバーの中で最もポピュラーなサービスです。世界中で数百万人が利用しており、アプリの完成度・UIの洗練さは3サービスの中でトップクラス。

基本的な機能は無料で使えますが、リモート再生やモバイルでのダウンロード再生などには Plex Pass(有料プラン)が必要です。2025年4月に価格改定があり、現在の料金は下記のとおりです。

  • 月額:$6.99(約1,050円)
  • 年額:$69.99(約10,500円)
  • 永久ライセンス:$249.99(約37,500円)
  • リモート再生のみのRemote Watch Pass:月額$1.99〜(約300円)

無料プランでも自宅LAN内での再生は可能ですが、外出先からのアクセスや高品質トランスコードには有料プランが事実上必須となります。

Jellyfin(ジェリーフィン)

2018年に誕生した完全無料・オープンソースのメディアサーバーです。Embyからフォークして作られており、「永遠に無料」を理念に掲げています。

有料プランは一切なく、すべての機能が無料で使えます。プライバシーを重視した設計で、外部サーバーへの通信も最小限。インターネットが繋がっていなくても動作します。

  • 料金:完全無料(永続)
  • オープンソース:GitHubで公開・コミュニティ開発
  • クライアントアプリ:公式・サードパーティともに無料多数

UIはPlexと比べるとやや素朴ですが、近年のアップデートで大幅に改善されています。設定の自由度が高い反面、初期設定はやや手間がかかる場合があります。

Emby(エンビー)

PlexとJellyfinの中間的な立ち位置を占めるサービスです。もともとオープンソースでしたが、2018年にプロプライエタリに転換。Jellyfinはその直後にEmbyからフォークして誕生しました。

基本機能は無料で使えますが、一部クライアントアプリや高度な機能は Emby Premiere(有料プラン)が必要です。料金はPlexより低めに設定されています。

  • 月額:$4.99(約750円)
  • 年額:$54(約8,100円)
  • 永久ライセンス:$119(約17,900円)

NASとの親和性が高く、SynologyやQNAPのアプリパッケージとして公式対応されているのも特徴です。


全項目比較表

3サービスの主要項目を一覧で確認できます。

項目PlexJellyfinEmby
価格(無料プラン)あり(機能制限)完全無料あり(機能制限)
有料プラン(月額)$6.99/月なし$4.99/月
有料プラン(年額)$69.99/年なし$54/年
永久ライセンス$249.99なし(不要)$119
オープンソース××
UIの完成度★★★★★★★★☆☆★★★★☆
初期設定の簡単さ★★★★★★★★☆☆★★★★☆
スマホアプリ(無料)△(再生は有料)○(無料)△(一部有料)
リモート(外出先)再生有料プラン必須無料で可能無料で可能
トランスコード(無料)制限あり無制限制限あり
ハードウェアトランスコード有料プランのみ無料で可能有料プランのみ
対応デバイス非常に多い多い多い
Apple TV対応○(高品質)
Android TV / Fire TV
Synology NAS対応○(公式パッケージ)○(Docker/公式)○(公式パッケージ)
QNAP NAS対応○(App Center)○(Docker)○(App Center)
日本語対応
プライバシー要アカウント登録アカウント不要要アカウント登録
無料版での実用性△(LAN内のみ)◎(フル機能)○(まずまず)

各サービスの詳細解説

Plex:使いやすさNo.1だが有料前提

Plexの強み

  • UIの完成度が圧倒的:映画ポスター・あらすじ・評価が自動取得され、Netflixのような洗練されたライブラリが作れる
  • 初期設定が簡単:アカウント作成→サーバーインストール→ライブラリ追加の3ステップで完了
  • Apple TVアプリが特に優秀:動作がスムーズで、商用サービスと遜色ないレベル
  • 対応デバイスが最多:スマホ・タブレット・スマートTV・ゲーム機・ブラウザなど幅広く対応
  • Plexトークン不要の機能も充実:Plex自体が映画・TV番組の無料ストリーミングサービス(FAST)も提供

Plexの弱み

  • 実用的に使うには有料プランが必要:スマホからの再生、リモートアクセスなどが無料版では制限される
  • 価格が2025年に大幅値上げ:永久ライセンスが$120から$249.99へと約2倍に。月額も$4.99から$6.99へ上昇
  • 外部サーバーへの依存:Plexアカウントが必要で、Plexのサービスが落ちると認証できない場合がある
  • プライバシー面の不安:視聴履歴・ライブラリ情報がPlex社のサーバーに送られる

こんな人に向いている:設定の手間を省きたい、家族全員で使いたい、UIのクオリティを妥協したくない方。有料プランを払ってでも最高の体験を求める人に最適です。

Jellyfin:完全無料・プライバシー重視の本命

Jellyfinの強み

  • 完全無料で全機能が使える:リモートアクセスもハードウェアトランスコードも無料。課金の概念がない
  • アカウント登録不要:外部サービスへの依存がなく、完全にローカルで動作する
  • オープンソース:コードが公開されており、バックドアや不審な動作を心配しなくてよい
  • プライバシーが高い:視聴データが外部に送られない
  • ハードウェアトランスコードが無料:Intel Quick Sync・NVIDIA NVENCなどのGPU支援も無料で利用可能
  • コミュニティが活発:プラグイン・テーマなどのカスタマイズが豊富

Jellyfinの弱み

  • UIはPlexと比べるとやや劣る:機能性は十分だが、見た目の洗練さはPlexに一歩譲る
  • 初期設定に若干の手間:特にSynology/QNAPではDockerを使うケースが多く、操作に慣れが必要
  • サポートはコミュニティ頼り:公式サポートはなく、問題解決はフォーラムやドキュメントを参照
  • 一部クライアントアプリの品質にばらつき:公式アプリは無料だが、Plexほどの磨き込みはされていないものもある

こんな人に向いている:コストをかけたくない、プライバシーを重視する、自由にカスタマイズしたい、Dockerや自宅サーバーに抵抗がない方。コスパ最強の選択肢です。

Emby:PlexとJellyfinのいいとこ取り

Embyの強み

  • 無料でも十分実用的:LAN内再生・外出先からのアクセスが無料で使える(一部制限あり)
  • 有料プランがPlexより安い:月額$4.99、永久ライセンス$119と、Plexより大幅に低コスト
  • NASとの親和性が高い:SynologyやQNAPの公式アプリパッケージとして提供されており、GUIから簡単インストール可能
  • UIはJellyfinより洗練されている:Plexには及ばないが、クリーンで使いやすいデザイン
  • 豊富なクライアントアプリ:主要プラットフォームへの対応が充実

Embyの弱み

  • オープンソースではない:コードが非公開のため、完全な透明性はない
  • コミュニティの規模はPlexより小さい:情報や日本語の解説記事が少ない
  • 一部のクライアントアプリが有料:iOS・Android版などは有料プラン(Premiere)が必要なケースがある
  • ハードウェアトランスコードはPremiere必須:無料でフルに使えるJellyfinとは異なる

こんな人に向いている:Jellyfinの無料さは魅力だが設定が心配、Plexは高すぎる、という中間層の方。NASに直接パッケージとしてインストールしたい方にも向いています。


NAS別の対応状況(Synology・QNAP)

Synology NASでの対応状況

SynologyのDSM(DiskStation Manager)は3サービスすべてに対応しています。

サービスインストール方法難易度備考
Plexパッケージセンターから直接インストール★☆☆(簡単)DSM 7.3以降に公式パッケージあり
JellyfinContainer Manager(Docker)またはSynology公式パッケージ★★☆(普通)パッケージセンターからも導入可能(DSM 7.0以降)
Embyパッケージセンターから直接インストール★☆☆(簡単)公式サポートパッケージあり

Synologyでは、Plex・EmbyはパッケージセンターからGUIで簡単インストールできます。Jellyfinも公式リポジトリ対応で手軽に導入できるようになっています。

QNAP NASでの対応状況

サービスインストール方法難易度備考
PlexApp Centerから直接インストール★☆☆(簡単)QNAPのApp Centerに公式掲載
JellyfinContainer Station(Docker)またはQPKGパッケージ★★☆(普通)コミュニティ製QPKGパッケージあり
EmbyApp Centerから直接インストール★☆☆(簡単)App Centerに公式掲載

QNAPでもPlex・EmbyはApp CenterからGUIインストールが可能です。JellyfinはContainer Station(Docker環境)を使うのが安定した導入方法です。

なお、メディアサーバーを快適に動かすにはある程度のCPU・メモリが必要です。特に複数ストリームを同時再生する場合や、ハードウェアトランスコードに対応していないCPUの場合は、負荷が高くなります。エントリーモデル(Celeron・ARM系)よりも、Intel Core i3以上のモデルを選ぶのが理想的です。


用途別:どれを選ぶべきか

あなたの状況に合わせた選び方をまとめました。

こんな人にはおすすめ理由
とにかくコストをかけたくないJellyfin永遠に無料。外出先再生もハードウェアトランスコードも無料
家族全員で使いたい・UIにこだわりたいPlexUIが最高品質。誰でも直感的に使える。永久ライセンスなら長期コスト↓
NASに簡単インストールしたい(中間予算)EmbyNASとの相性◎。Plexより安く、Jellyfinより設定が楽
プライバシーを重視するJellyfinアカウント不要・外部送信なし・オープンソース
Apple TV / iPhone中心で使いたいPlexApple TVアプリの完成度が圧倒的に高い
Android TV / Fire TV中心で使いたいJellyfin or Embyどちらも無料アプリで快適に再生可能
自宅LAN内だけで使う(外出先不要)JellyfinLAN内再生は3つとも無料だが、Jellyfinは制限が一切ない
技術的なカスタマイズを楽しみたいJellyfinオープンソースでプラグイン・テーマなどカスタマイズ自由

FAQ(よくある質問)

Q1. Plex・Jellyfin・Embyは同時に複数インストールできますか?

技術的には可能ですが、それぞれ別のポートで動作させる必要があります。NASのメモリ・CPUに余裕があれば併用も可能ですが、通常は1つ選んで使うのが現実的です。試しにJellyfinとPlexを比較したい場合は、両方インストールして使い勝手を比べてみるのもよいでしょう。

Q2. 無料でもスマホからリモート再生できますか?

JellyfinとEmbyは無料でリモート再生が可能です。Plexは2025年4月の仕様変更により、外出先からの再生にはPlex Pass(月額$6.99〜)またはRemote Watch Pass(月額$1.99〜)が必要になりました。コストなしでリモート再生を実現したい場合はJellyfinが最もおすすめです。

Q3. 動画のトランスコードとは何ですか?必要ですか?

トランスコードとは、NASに保存されたファイルのフォーマットが再生デバイスに対応していない場合に、リアルタイムで変換して配信する機能です。たとえばH.265(HEVC)の動画をH.264に変換して古いスマホで再生するといった使い方です。4Kコンテンツや多様なデバイスで再生するなら重要な機能です。ただし、NASのCPUに大きな負荷がかかるため、ハードウェアトランスコード対応CPUのNASを選ぶことをおすすめします。

Q4. どのNASモデルがメディアサーバーに向いていますか?

1〜2名の家庭利用なら Synology DS223(Intel Celeron) でも動作しますが、複数人が同時再生する場合や4K HDRコンテンツを扱う場合は、Intelのクイックシンクに対応した Synology DS923+(AMD Ryzen) や QNAP TS-464(Intel Celeron N5105) のようなハードウェアトランスコード対応モデルが快適です。詳しくは関連記事もご覧ください。

Q5. JellyfinはPlexの代わりになりますか?

機能面ではほぼ代替可能です。メタデータの自動取得・マルチユーザー対応・リモート再生・トランスコードなど、Plexの主要機能はJellyfinでも実現できます。ただし、UIのポリッシュ感やApple TVアプリの完成度はPlexが上です。コストよりも使い勝手を優先したい方はPlex、機能と無料を優先したい方はJellyfinという選び方になります。


まとめ

Plex・Jellyfin・Embyの3つは、それぞれ明確な強みを持っています。最後にポイントを整理します。

  • Plex:UIと使いやすさは最高クラス。ただし実用的に使うには有料プラン(月額$6.99〜)が必要。2025年に大幅値上げあり
  • Jellyfin:完全無料・オープンソース・プライバシー重視。すべての機能が無料で使え、コスパは圧倒的
  • Emby:PlexとJellyfinの中間。NASとの親和性が高く、有料プランもPlexより安め

迷ったらまずJellyfinを試してみることをおすすめします。無料で全機能が使えるため、失うものが何もありません。使ってみてUIに物足りなさを感じたり、家族全員でもっと快適に使いたくなったときにPlexへの乗り換えを検討すればよいでしょう。

NASをメディアサーバーとして最大限に活用して、自分だけのホームシアターを作ってみてください!


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クラウドじゃない人
クラウドじゃない人
絶対保存領域の継承者
自宅やオフィスでのNAS活用をもっと身近に、わかりやすく伝えることを目指して「ありがとNAS」を運営しています。IT企業でサーバー・ストレージの導入や運用を経験し、現在は趣味と実務を活かして記事を執筆。初心者でも安心してNASを使いこなせるよう、最新機種レビューからトラブル解決まで実際に検証した情報を発信しています。
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