更新日:2026年7月21日|カテゴリ:バックアップ・データ保護

Macを使っていて「Time Machineのために外付けHDDをいつもつなぐのが面倒」と感じていませんか?SynologyのNASがあれば、ネットワーク越しに自動でTime Machineバックアップを取ることができます。

結論:SynologyでTime Machineを使うには、DSM側でSMBを有効化(現行のmacOSはSMB推奨)し、Time Machine専用の共有フォルダを作るだけです。設定は約15分で完了します。

この記事でわかること

  • NASをTime Machine対応にするDSM側の設定手順
  • Mac側のTime Machine設定手順
  • バックアップ容量の目安と設定のコツ
  • よくあるトラブルと対処法

NAS Time Machineのメリット・デメリット

NAS(ネットワーク) 外付けHDD(USB)
ケーブル接続 不要(Wi-Fi/有線LAN) 必要
自動バックアップ ◎(常時接続で自動) △(接続時のみ)
バックアップ速度 △(有線1Gbps、Wi-Fiは遅め) ◎(USB3.0)
複数Macの同時バックアップ ◎(フォルダ別に設定可) ×(1台ずつ)
初期コスト 高い(NAS本体+HDD) 安い(5,000円〜※2026年7月時点)

すでにNASを持っている方なら、Time Machine用途を追加するだけなので追加コストはほぼゼロです。


事前確認:必要な環境

  • Synology NAS(DSM 7.0以上推奨)
  • Mac(macOS Monterey以降推奨)
  • MacとNASが同じネットワーク(LAN/Wi-Fi)に接続されていること
  • NASのHDDに十分な空き容量(Macのストレージの1.5〜2倍が目安)

まだNAS本体を持っていない方は、Time Machine運用に必要十分な2ベイのエントリー機から選ぶと失敗しにくいです。Synology DS223jはDSMのTime Machine機能に対応していて、初めての1台でも設定でつまずきにくくなっています。


結論はSMB、AFPは古い環境の例外だけ

かつてMacのファイル共有といえばAFP(Apple Filing Protocol)が定番でしたが、Appleは近年AFPよりもSMBを標準プロトコルとして位置づけており、SMBとAFPの両方を選べる場合はSMBの使用を公式に推奨しています(Appleサポート参照)。最新のmacOSとNASを使う場合は、基本的にSMBを選んでおけば問題ありません。

  • SMBのメリット:Appleが推奨するプロトコル、暗号化対応、Windowsとも共通、最新NAS OSで最適化されている
  • AFPのメリット:旧Macとの互換性、リソースフォークの完全保持(ただし最新環境では不要)

SynologyやQNAPの最新OSは、Time Machine向けのSMB対応を標準機能として備えています。

今もAFPを使うべき例外ケース

基本はSMBですが、次のような場合はAFPを選ぶ・併用する余地があります。

  • 古いmacOS(OS X El Capitan以前)を使っている:この世代はTime Machine over SMBに対応しておらず、AFPが必要になることがあります
  • 既存のAFPバックアップをそのまま継続したい:稼働中のAFP運用を無理に切り替えず、当面はそのまま使う判断もあります
  • 古いNASでSMBのTime Machine機能が正常に動かない:ファームウェアが古くSMB側が不安定なときの避難先として

お使いのNAS(DSM)がAFPに対応していれば、ファイルサービスでAFPを有効化して設定できます。ただしAFPは新しいmacOSでの検証が薄れていくため、環境を新しくするタイミングでSMBへ移行しておくのが無難です。移行の流れは次に説明するSMB設定と同じで、共有フォルダをSMBのTime Machine対象に指定し直すだけです。

設定手順(DSM側)

① Time Machine専用の共有フォルダを作る

  1. DSM管理画面にログイン
  2. 「コントロールパネル」→「共有フォルダ」→「作成」
  3. フォルダ名:「TimeMachine」(わかりやすい名前ならなんでも可)
  4. アクセス権:バックアップ用ユーザーに「読み取り/書き込み」を付与
  5. (推奨)容量クォータを設定:例えばMacのストレージが500GBなら750GB〜1TBを上限に設定

② SMBでTime Machineサポートを有効にする

  1. コントロールパネル →「ファイルサービス」→「SMB」タブ
  2. 「SMBサービスを有効にする」をオン
  3. 同じ「ファイルサービス」画面の「詳細設定」タブを開く
  4. 「Bonjour Time Machine ブロードキャスト(SMB経由)を有効にする」にチェック
  5. 「Time Machine フォルダを設定」ボタンから、先ほど作成した「TimeMachine」フォルダにチェックを入れる
  6. 「適用」をクリック

DSM 7.0以降はSMBプロトコルでTime Machineをサポートしています。古いDSMではAFP(Apple Filing Protocol)が必要でしたが、現在はSMBが推奨です。


※DSMのバージョンにより画面名・メニュー階層が異なる場合があります。最新の正確な手順はSynology公式KB「Time MachineでMacをバックアップ」をご確認ください。

設定手順(Mac側)

  1. Finderを開く →「移動」→「サーバへ接続」
  2. smb://NASのIPアドレス(例:smb://192.168.1.100)を入力して「接続」
  3. NASのユーザー名・パスワードでログイン
  4. 「TimeMachine」フォルダをマウント
  5. 「システム設定」→「一般」→「Time Machine」
  6. 「バックアップディスクを追加...」→ NASの「TimeMachine」フォルダを選択
  7. NASのパスワードを入力して「ディスクを使用」

設定が完了すると、最初のバックアップが自動的に開始されます。初回バックアップはMacのデータ量によって数時間〜半日かかることがあります。


バックアップ容量の目安

Macのストレージ容量 推奨バックアップ容量(クォータ)
256GB 400GB〜500GB
512GB 750GB〜1TB
1TB 1.5TB〜2TB
2TB 3TB〜4TB

Time Machineは過去のスナップショットを保持するため、Macの実際の使用量より多めの容量を確保しましょう。クォータを設定しておけば、Time Machine用フォルダがNAS全体を圧迫する心配がなくなります。NASのHDD自体をこれから選ぶ場合は、NAS用HDDの選び方もあわせてご確認ください。

上の目安表で必要な容量が分かったら、24時間稼働を前提に設計された「NAS用HDD」を選びましょう。デスクトップPC向けの安価なHDDは連続運転に不向きで、常時バックアップ用途では寿命リスクが上がります。


容量制限(クォータ)を設定するメリット

Time MachineをNASで運用するときは、「容量制限(クォータ)」の設定を強く推奨します。制限なしのままだと、NASの空き容量を使い切るまでバックアップが膨張し続け、他のデータ領域を圧迫します。

クォータには「共有フォルダ単位」と「ユーザー単位」の2通りがあります。目安は前述のとおりMac内蔵ストレージの1.5〜2倍で、Synology DSMやQNAP QTSのコントロールパネルから、Time Machine専用ユーザーごとに容量上限を設定できます。

  1. NAS管理画面でTime Machine専用のユーザーを作成
  2. そのユーザーのストレージクォータ(容量上限)を設定
  3. Time Machine共有フォルダへのアクセス権を割り当て
  4. Mac側でそのユーザーで認証してバックアップ開始

こうすることで、家族で1台のNASを共有していても、各自のTime Machine領域が独立して管理できます。

こんな人におすすめ

  • MacBook Air / Proをメイン機として使っていて、自動バックアップを取りたい人
  • 家族で複数のMacを使っていて、一括バックアップしたい人
  • すでにSynology NASを持っていて、活用の幅を広げたい人

これからNASを導入する方は、Time Machine対応が手軽な2ベイNASのおすすめや、実機レビューのSynology DS223jレビューも参考になります。


macOSバージョンによる挙動の違い

Time MachineをNASで運用する場合、macOSのバージョンによって対応プロトコルや初回バックアップ時の挙動が変わります。お使いのmacOSバージョンを確認しておくと、トラブル時の切り分けがスムーズです。

macOSバージョン 対応プロトコル 備考
macOS Big Sur (11)以降 SMB推奨 AFPより SMB を推奨
macOS Monterey (12) SMB SMBが標準
macOS Ventura (13) SMB SMB 3.x推奨
macOS Sonoma (14) SMB SMB暗号化対応強化
macOS Sequoia (15)以降 SMB SMBが中心

※Time Machine over SMBはmacOS High Sierra(10.13)世代から利用可能になり、本記事はより安定して使えるMonterey(12)以降を推奨環境としています。上の表はBig Sur(11)以降の推奨構成をまとめたもので、執筆時点のmacOS/DSM仕様に基づきます。

復元(リストア)の手順

Time Machineで取ったバックアップは、ファイル単位の復元から、Mac全体のフル復元まで対応しています。NAS上のバックアップから復元する一般的な手順は以下のとおりです。

①ファイル単位で復元する場合

  1. メニューバーのTime Machineアイコンから「Time Machineに入る」を選択
  2. 過去のバックアップ画面に切り替わるので、復元したい日時のスナップショットを選ぶ
  3. 復元したいファイル・フォルダを選択して「復元」ボタンをクリック

②Mac全体をフル復元する場合(システム入れ替え時など)

  1. 新しいMac(または初期化したMac)を起動し、初回セットアップウィザードに進む
  2. Macを移行する」または「移行アシスタント」を選択
  3. 移行元として「Time Machineバックアップから」を選び、NAS上のバックアップを指定
  4. NASにログインして該当ユーザーのバックアップを選択
  5. 復元するデータの種類(アプリ・ユーザーアカウント・設定)を選んで実行

NAS経由のフル復元は、データ量によっては数時間〜半日以上かかる場合があります。可能であれば有線LAN接続での実行がおすすめで、Wi-Fi経由よりも大幅に高速化できます。

トラブルシューティング

バックアップが完了しない・遅すぎる

初回バックアップは大量のデータをコピーするため、有線LAN接続でも数時間〜1日以上かかることがあります。Wi-Fi接続では数日かかるケースもあるため、初回のみ有線LANで実施することを強くおすすめします。2回目以降は差分バックアップになるため、所要時間は大幅に短縮されます。

「バックアップディスクが見つかりません」エラー

NASのIPアドレスが変わった、ネットワーク接続が切れている、共有フォルダのアクセス権が変更されたなどが考えられます。Mac側でTime Machine設定からバックアップディスクを再選択することで解決するケースが多いです。

「バックアップを検証できません」と表示される

バックアップイメージに何らかの不整合が発生した場合に表示される警告です。一度Time Machineをオフにし、新しいバックアップを開始することで解決する場合が多くあります。古いバックアップは念のため別の場所に退避してから削除しましょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. Wi-Fi経由でTime Machineバックアップは遅い?

Wi-Fi 5(802.11ac)以上であれば実用的な速度が出ます。ただし初回バックアップはデータ量が多いため、できれば有線LAN接続で行うことを推奨します。2回目以降の差分バックアップはWi-Fiで問題ありません。

Q2. Macが2台ある場合は?

同じ共有フォルダを2台から指定するか、Mac別に別フォルダを作成してそれぞれクォータを設定するかのどちらかです。自動的に別スパースバンドルファイルとして保存されるため、1つのフォルダを共有しても問題ありません。

Q3. NASの電源を切るとTime Machineバックアップは止まる?

はい、NASがオフラインの間はバックアップできません。NASが再度オンラインになると次のバックアップタイミングで自動的に再開します。

Q4. Time Machineのバックアップからファイルを復元するには?

Finderで「TimeMachine」フォルダをマウントした状態で、Time Machineアプリを起動。タイムラインから復元したい時点を選んでファイルを選択し、「復元」ボタンを押します。

Q5. QNAPのNASでもTime Machineは使える?

使えます。QNAPのQTSにも「AFP/SMB」でTime Machineサポートがあります。設定画面の名称は異なりますが、手順はSynologyとほぼ同じです。

Q6. NASだけにバックアップしておけば安心?

NASは便利ですが、火災・盗難・落雷などでNAS本体が失われるリスクもあります。可能であれば、NASでのTime Machineに加えて、外付けSSDなど物理的に別の場所にも定期的にバックアップを取りましょう。これは「3-2-1ルール」(3つのコピー、2種類の媒体、1つは別の場所に)と呼ばれる考え方で、大切なデータを守る基本になります。

Q7. NASを買い替えたとき、過去のバックアップは引き継げる?

Time Machineのスパースバンドルファイルを新しいNASにコピーすれば、原則としてそのまま使い続けられます。ただし環境によっては再設定が必要な場合もあるため、過去バックアップを残したまま新しいバックアップ先を追加する方法が安全です。

Q8. バックアップ頻度は変更できる?

標準のTime Machineは1時間ごとに自動バックアップしますが、サードパーティのユーティリティ(TimeMachineEditorなど)を使えば、1日1回・特定時間帯のみなどに変更可能です。NASの稼働時間に合わせて調整したい場合に便利です。

Q9. バックアップの暗号化は必要?

大切な個人データを含むバックアップは暗号化しておくと安心です。Time Machineの設定で「バックアップを暗号化」にチェックを入れると、強力なAES暗号化で保護されます。NAS側でもSMB暗号化を有効にすれば、ネットワーク経由の通信も守れます。

まとめ:NAS×Time Machineで「自動・大容量・複数台対応」のバックアップ環境

外付けHDDでのTime Machineと比べ、NASによるバックアップは「自動・大容量・複数台対応・遠隔配置可能」と多くのメリットがあります。SMBプロトコルでmacOS最新版にも公式対応しており、家族全員のMacを1台のNASでまとめて守ることができます。バックアップは大切な「保険」です。NAS導入を機に、ぜひTime Machineの設定も見直してみてください。