更新日:2026年7月26日|カテゴリ:入門・基礎知識
「NASとクラウドストレージ、結局どちらを選べばいいの?」
iCloudの容量がパンク、Google Oneの月額が地味に重い、外付けHDDは故障が怖い…。そんな悩みに、2026年7月時点の料金・性能データでハッキリと結論を出します(料金は各社改定されるため、最新は各公式でご確認ください)。
【更新履歴・訂正】2026年7月26日、NAS側とクラウド側の両方の価格を再確認し、5年総コスト試算を全面改訂しました。①本記事は初出時、NAS側の購入額を約¥90,000として比較していましたが、HDD 2本ぶんの計上が不足しており、実勢は本体+4TB HDD×2で124,000円でした。②クラウド側も、Google One 5TBを¥3,250/月として計算していましたが、公式プランページで確認した現行価格は¥2,900/月(Google AI Pro)でした。③あわせて、公式で確認できなかった10TB以上の金額比較は撤回しています。これに伴い1TB・2TB・4TB保管の比較とFAQ Q1の結論(クラウドとNASのどちらが安いか)が変わっています。訂正してお詫びします。
3行結論:あなたが選ぶべきはこれ
- 保管容量が 2TBを超える+5年以上使う前提なら → NAS(Synology DS225+ +4TB HDD×2で購入約12.4万円)
- 保管容量が 2TB以下+常時外出先で使うなら → クラウド(Google One/iCloud+)。初期費用ゼロで、5年スパンでもNASより安く済みます
- 家族写真・大切な書類は NAS+クラウドの「ハイブリッド」が定番の3-2-1バックアップ
NAS(Network Attached Storage)の基本
NASのメリット
- 月額0円で大容量(4〜数十TB)
- 家庭内なら超高速(2.5GbE LANで実効270MB/s)
- RAID 1/5/SHRでHDD故障に強い
- 家族・複数端末で共有OK
- プライバシー◎(データは自宅完結)
NASのデメリット
- 初期費用96,000〜124,000円(2ベイ本体+4TB HDD×2)
- 初期設定30分〜1時間が必要
- 停電・落雷でデータ破損リスク(UPS推奨)
- 外出先利用にはVPN/QuickConnect設定必要
- 家屋火災・盗難で全損リスク
クラウドストレージの基本
クラウドのメリット
- 初期費用ほぼゼロ(無料枠あり)
- 外出先・全端末から即アクセス
- 事業者が多重バックアップ
- 家屋火災・盗難でも安全
- OS・ブラウザだけで使える
クラウドのデメリット
- 月額が永続的に発生(解約=データ消失)
- 容量当たり単価が高い(2TB超は急騰)
- 大容量同期は時間がかかる
- 事業者の方針変更・障害リスク
- プライバシー懸念(事業者がスキャン可能)
NAS vs クラウド:12項目で徹底比較(2026年版)
| 比較項目 | NAS | クラウド |
|---|---|---|
| 初期費用 | 96,000〜124,000円(2ベイ本体+4TB×2) | 0円〜 |
| 月額費用 | 0円(電気代¥240〜370) | ¥290〜2,900(Google One 100GB〜5TB) |
| 5年総コスト(2TB保管) | 約124,000円(DS225++4TB×2・電気代別) | 約¥87,000(Google One 2TB) |
| 5年総コスト(8TB保管) | 約160,000円(DS225++8TB×2・電気代別) | Google One は公式プランページ上5TBが最大(8TB相当の月額は未確認) |
| 容量上限 | 数十TB(HDD増設可) | 公式プランページで確認できる最大は Google One 5TB/iCloud+ 12TB(それ以上の有無は当サイト未確認) |
| 転送速度(上り/下り) | 2.5GbE 実効270MB/s | 家庭光回線 30〜60MB/s |
| 外出先からの利用 | ◎ QuickConnect | ◎ 常時可 |
| 同時利用(家族) | ◎ | ◎ 共有可 |
| HDD故障耐性 | ◎ RAID | ◎ 多重化 |
| 火災・盗難耐性 | × 自宅依存 | ◎ 安全 |
| プライバシー | ◎ 自宅完結 | △ 事業者依存 |
| 解約時のデータ | 手元に残る | 即削除 |
主要クラウドサービスの料金比較(2026年7月時点)
| サービス | 無料 | 200GB | 2TB | 5TB以上 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Google One | 15GB | —(下は100GB ¥290/月) | ¥1,450/月(AI Plus) | ¥2,900/月(AI Pro・5TB) | 家族6人共有可 |
| iCloud+ | 5GB | ¥540/月 | ¥1,800/月 | 6TB ¥5,500/月・12TB ¥11,000/月 | iPhone連携◎ |
| OneDrive | 5GB | — | ¥2,130/月(M365 Personal・年¥21,300/付属は1TB)※2TBプランなし | — | Office同梱 |
| Dropbox Plus | 2GB | — | ¥1,500/月 | — | 同期速度◎ |
| Amazon Drive | — | サービス終了(2023年) | — | ||
| Amazon Photos | 無制限(写真のみ、Prime会員) | 動画は5GBまで無料 | |||
Google One と iCloud+ の月額は、2026年7月26日にGoogle One 公式プランページとApple iCloud+ 公式で当サイトが直接確認した値です。Google One で公式プランページに掲載されていたのは 100GB ¥290/2TB ¥1,450(Google AI Plus)/5TB ¥2,900(Google AI Pro)の3プランのみで、10TB以上の月額は当サイトでは確認できませんでした(そのため本記事では10TB以上の金額比較を行っていません)。OneDrive は同じ2026年7月26日にMicrosoft 公式プラン比較ページで確認し、Microsoft 365 Personal が年¥21,300(月換算¥2,130)・OneDrive 1TB付属でした。Dropbox の月額は前回調査時点の値で、今回の再確認対象外です。各社ともプランを改定するため、契約前に必ず各公式ページで最新料金をご確認ください。
クラウド2TBは月額¥1,450、5年払い続けると約¥87,000です。同じ予算感でNASなら何が買えるのかを知っておくと、次の5年試算がぐっと読みやすくなります。価格帯の下限にあたるのが、Synologyのライトユーザー向け入門機DS223j(本体36,000円・HDD別売)です。
NASとクラウド:5年総コスト比較シミュレーション
容量別5年間総コスト(家族4人想定)
前提:NASは「Synology DS225+(64,000円)+WD Red Plus 4TB×2(1本30,000円)=購入124,000円」を基準にしました(2026年7月時点の実勢価格)。容量を増やす行はHDDを大容量品へ置き換え、2ベイで足りない容量は4ベイ機に置き換えた概算です(電気代は5年約¥2万で別掲)。
- 1TB保管 → NAS 124,000円(+電気代5年約¥2万) / Google One 2TB ¥1,450×60=¥87,000 → クラウドが約¥37,000安い(電気代まで入れると差は約¥57,000)
- 2TB保管 → NAS 124,000円+電気代 / Google One 2TB ¥87,000 → クラウドが約¥37,000安い(電気代込みでは約¥57,000安い)。この差額の対価としてNAS側に付いてくるのが実効4TBの余裕と多用途性で、保管量が2TBを超えると次の行のとおり逆転します
- 4TB保管 → NAS 124,000円(4TB×2のRAID 1で実効4TBまで同一構成でカバー) / Google One AI Pro 5TB ¥2,900×60=¥174,000 → NASが約¥50,000安い(電気代込みでも約¥30,000安い)
- 8TB以上の保管 → NASなら8TB×2のRAID 1(実効8TB)で160,000円、4ベイのDS425+(107,000円)+8TB×4のRAID 5(実効24TB)でも299,000円で組めます。一方クラウドは、Google One の公式プランページで確認できる最大が5TB(AI Pro)で、それ以上の容量の月額を当サイトでは確認できませんでした。金額を並べられないため、この帯では実額差を出していません(8TB以上を家庭で預けたいなら、選択肢がNAS側に寄るという事実だけが言えます)
クラウド側の5年総額は「月額×60ヶ月」の単純計算です。料金改定や年払い割引は反映していないため、契約前に公式プランで最新額をご確認ください。
NAS側の金額は、当サイトが2026年7月時点で価格.com・楽天等で確認した実勢価格をもとに「本体+HDD本数分」で算出した概算です。特にHDDは2026年に入って値動きが大きいため、購入時の実売はリンク先でご確認ください。
結論:保管量が2TBを超えるなら、NASのコストパフォーマンスが優位になります(前提:上記の5年試算)。損益分岐点は「クラウドの2TBプランに収まるかどうか」。2TBに収まるうちは、初期費用ゼロで済むクラウドのほうが5年スパンでも安く付きます。
用途別「NAS/クラウドどちらを選ぶ」早見表
| あなたの状況 | おすすめ | 具体的な選択肢 |
|---|---|---|
| 家族の写真・動画を一元管理 | NAS | Synology DS225+ + WD Red Plus 4TB×2 |
| iPhone容量パンク(200GB超) | NAS or iCloud+ | NAS(買切)または iCloud+ 2TB(¥1,800/月・200GBの次は2TB) |
| 外出先からPC/スマホで頻繁にアクセス | クラウド or NAS+QuickConnect | Google One(100GB ¥290/月〜)or NAS設定 |
| 4K動画ライブラリを長期保存 | NAS | Synology DS425+ + IronWolf 8TB×4 |
| 会社の重要書類を二次保管 | ハイブリッド | OneDrive + NAS Hyper Backup |
| 家屋火災が心配 | クラウド or NAS+クラウド | NAS+ Backblaze B2 / Synology C2 |
| プライバシー最優先 | NAS | NAS+暗号化フォルダ |
| 初期投資ゼロで始めたい | クラウド | Google One 100GB(¥290/月) |
早見表はSynology機を軸にまとめましたが、2ベイNASは他社にも選択肢があります。後述のFAQでも触れるとおり、UGREENも独自のリモートアクセス(UGREEN Link)を用意していて、外出先から使うという条件は満たせます。ブランドを横断して比べたい人は、同社の2ベイ機も候補に入れてください。
現実的な最適解:NAS+クラウドのハイブリッド(3-2-1ルール)
「3-2-1バックアップ」とは
- 3:データのコピーを3つ持つ(オリジナル+2バックアップ)
- 2:2種類の異なる媒体に保管(HDDとクラウド等)
- 1:1つは遠隔地に保管(火災・盗難対策)
この鉄則を実現する定番構成が 「PC/スマホ → NAS(RAID 1) → クラウド」 の3層バックアップです。
ハイブリッド構成例(家庭用・コスト最適)
- NAS:Synology DS225+ + WD Red Plus 4TB×2(RAID 1) — 一次保管
- クラウド:Synology C2 OneStorage(2026年6月にC2 Storageから統合)またはBackblaze B2 — 重要データのみ
- 運用:Hyper Backupで毎晩クラウドへ自動同期
- 合計年間費用:NAS電気代 約¥4,000/年 + クラウド料金(C2 OneStorageの容量・料金は当サイト未確認・下記参照)
Synology C2 はSynology公式ニュースリリースのとおり、2026年6月に複数のC2サービスが「C2 OneStorage」へ統合されました(2026年7月26日確認)。統合後の容量区分・料金は当サイトでは確認できていないため、本記事では金額を記載していません。契約前にC2公式ページで最新のプランと料金をご確認ください。
この構成なら、HDD故障・誤削除・家屋火災のすべてに対応できます。クラウドはあくまで 「家宝レベルの重要データ」だけを入れることでコストを抑えられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. iCloudの200GBが足りなくなったらNASに移行すべき?
A. 写真が 500GB〜1TB超えたら本気でNAS検討時期です。ただし金額は正直に書きます。Synology DS225+ + 4TB HDD×2(購入124,000円)は、5年で見ると iCloud+ 2TB(¥1,800×60=約¥108,000)より高く付きます(電気代5年約¥2万を含めた買い切り側が追い付くのは7年目あたり)。それでもNASを選ぶ理由は、移行後の容量が実効4TB=iCloud+ 2TBの倍になり、家族全員のスマホを1台にまとめられる点です。Synology PhotosでiPhone自動バックアップも可能です。
Q2. NASは外出先からも使える?クラウドと同じ感覚で?
A. 使えます。SynologyのQuickConnect、QNAPのmyQNAPcloud、UGREEN Linkなどの無料リモートアクセスサービスがあります。設定はウィザード5分。スマホアプリ(Synology Drive、QFile)でクラウドと同じ感覚でファイル取り出し・写真自動アップが可能です。
Q3. クラウドに比べてNASのセキュリティはどう?
A. 自宅NASは外部攻撃面が小さい反面、設定ミス(admin名そのまま、パスワード弱い、不要ポート開放)で脆弱化します。一方クラウドは事業者がプロのセキュリティ運用をしますが、アカウント乗っ取りのリスクが大。2段階認証+強固なパスワードはどちらでも必須です。NASセキュリティ設定の記事もぜひ参照を。
Q4. NASのバックアップ先としてどのクラウドがおすすめ?
A. NAS自動バックアップに対応している主要クラウドは ①Synology C2(NAS純正、Synology機なら統合◎)/②Backblaze B2(容量単価が安く、$6.95/TB/月)/③Wasabi(容量単価が安く、エグレス無料)/④Amazon S3 Glacier Deep Archive(長期保管向けの低価格帯)。Synology機なら手間の少なさで C2 OneStorage が第一候補です(2026年6月にC2 StorageなどがC2 OneStorageへ統合されました。統合後の容量・料金は当サイトで確認できていないため、金額で比べたい場合は公式ページでご確認ください)。料金がはっきりしている選択肢から選びたいなら、公式に単価が掲載されている Backblaze B2($6.95/TB/月) が分かりやすい候補です。
Q5. 「クラウド事業者が突然サービス終了」みたいなリスクは?
A. 過去に Amazon Drive(2023年終了)、Google Photos無制限(2021年終了)、Megaupload(2012年)など 大手でも終了・容量制限変更の実例があります。重要データはクラウド「だけ」に置かず、必ずNASまたは外付けHDDにもコピーを取りましょう。
迷ったら:データ量と使い方で決める
結局どちらにすべきか迷ったら、次の2つの質問で判断してください。
- 保存したいデータは2TBを超えますか? 超えないならクラウド(Google One 2TBなど)が手軽で、5年スパンでも約¥37,000(電気代込みでは約¥57,000)安く済みます。超えるなら、容量単価の安いNASが現実的です。
- 家族で写真や動画を共有しますか? クラウドの家族共有は1人分の容量を分け合う形になりがちです。家族それぞれのスマホを自動バックアップするなら、容量に余裕のあるNASのほうが運用が楽になります。
そして大切なのは「どちらか一方」にこだわらないこと。日常のデータはNAS、本当に失えないデータだけクラウドにも置く——この組み合わせ(3-2-1構成)が、コストと安全性のバランスとして最も現実的です。
2つの質問で「NAS」側に振れた人の基準構成が、この記事で一貫して挙げてきた Synology DS225+ + 4TB HDD×2(RAID 1・実効4TB) です。家族4人ぶんのスマホ写真を1台にまとめても、サブスクの月額は0円(かかるのは電気代の月¥240〜370だけ)。同じ4TBをクラウドで持ち続けると、Google One AI Pro 5TBで5年約¥174,000がかかり続けます。
購入額は執筆時点(2026年7月)で本体64,000円+4TB HDD 2本で124,000円。5年で見れば(4TB保管でGoogle One 5TBと比べた場合)クラウドより約¥50,000安く、電気代を足しても約¥30,000安い計算です。価格は変動するため、最新はリンク先でご確認ください。
まとめ:用途別の最適解
2026年版・最終結論
- 2TB以下+月額OK → クラウド単体(Google One 100GB ¥290/月・2TB ¥1,450/月など。2TBまでは5年総額でもクラウドが安い)
- 2TB超+5年以上 → NAS単体(DS225+ + 4TB×2、購入124,000円)
- 家族写真・重要書類を絶対守る → NAS+クラウド ハイブリッド(3-2-1)
- 初期費用ゼロが絶対条件 → クラウド無料枠+外付けHDD(妥協案)
- プライバシー最優先 → NAS+自宅暗号化フォルダ
NASとクラウドは競合ではなく補完関係。それぞれの強みを生かしたハイブリッド運用が、2026年の最適解と言えます。
参考ソース
- Google One 料金:Google One プラン
- iCloud+ 料金:Apple iCloud+
- Synology C2 OneStorage への統合:Synology 公式ニュースリリース
- Backblaze B2:B2 Cloud Storage