NASのHDD交換手順【Synology DS223J対応】
「NASの空き容量が残りわずかになってきた」「ストレージマネージャーでHDDのエラー警告が出た」——そんな場面でいきなり調べ始めても、難しそうで手が出ない方も多いと思います。
結論から言えば、Synology DS223JのHDD交換は、正しい手順さえ踏めば初心者でも1〜2時間で完了できます。ホットスワップ非対応なので電源をOFFにする必要がありますが、DSM(Synologyの管理画面)がRAIDの再構築を自動でサポートしてくれるため、それほど難しくはありません。
この記事では、DS223J用のHDD選びから交換作業・RAID再構築の完了確認まで、全ステップをわかりやすく解説します。故障したHDDの緊急交換にも、容量アップ目的の計画的な交換にも対応しています。
この記事でわかること
- DS223JのHDD交換が必要になる場面(故障警告・容量不足)
- 交換に必要な道具とおすすめHDDモデル・価格目安
- バックアップを含めた交換前の注意事項
- SHR / RAID 1構成での電源OFF手順から再構築完了までの全6ステップ
- 容量アップ時に知っておきたいポイント
- 交換後の確認ポイントとよくある質問(FAQ)
こんな場合にHDD交換が必要になります
DS223JのHDD交換が必要になる主なケースは2つです。
① HDDの故障・エラー警告が出たとき
DSMのストレージマネージャーまたはSynologyから届くメール通知で、次のような警告が出たらHDD交換のサインです。
- 「ドライブのステータス:警告」「ドライブのステータス:クラッシュ」
- 「ストレージプールが劣化しています」
- S.M.A.R.T.診断で「不良セクター(再割り当てセクター数)」が増加している
- 異音(カチカチ・カランカラン音)がNASから聞こえる
RAID 1 / SHR構成の場合、1台が故障しても残りの1台にデータが残っているため、「劣化」状態のうちに交換すればデータを失わずに復旧できます。「クラッシュ」が2台同時に起きると復旧不能になるので、警告が出たら早めに対処しましょう。
② 容量が足りなくなってきたとき
写真・動画のバックアップが増え続けて「残り10%以下」のアラートが出始めたら、大容量HDDへの交換を検討する時期です。DS223Jは1台ずつ順番に交換していくことで、データを保持したまま容量を増やせます(後述)。
HDD交換で準備するもの
必要な道具
- 交換用HDD(3.5インチ SATA対応、NAS向けモデル)
- プラスドライバー(#2サイズ):HDDをトレイに固定するネジを外すのに使用
- 静電気防止手袋(推奨):HDDは静電気に弱いため
- 外付けHDDまたはUSBメモリ:交換前のバックアップ用(容量に余裕のあるもの)
DS223Jはトレイレスデザインではないため、HDDを取り出すにはネジを外す必要があります。ドライバーを用意しておきましょう。
交換用HDDのおすすめモデルと価格(2026年4月時点)
DS223Jには3.5インチ SATA接続のNAS向けHDDが適合します。通常のPC用HDDではなく、24時間連続稼働・振動対策に対応した「NAS向け」モデルを選ぶことが重要です。
Synologyの公式互換性リストで動作確認済みのおすすめモデルは以下のとおりです。
| メーカー・モデル | 容量 | 回転数 | 参考価格(Amazon) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Seagate IronWolf ST4000VN006 | 4TB | 5900rpm | 約17,000〜18,000円 | DS223J互換性リスト掲載。コスパ重視の定番モデル |
| Seagate IronWolf ST8000VN004 | 8TB | 7200rpm | 約27,000〜29,000円 | 大容量化に最適。転送速度も高速 |
| WD Red Plus WD40EFPX | 4TB | 5400rpm | 約16,000〜18,000円 | 省電力・静音重視。CMR方式で安定性高い |
| WD Red Plus WD80EFPX | 8TB | 5640rpm | 約25,000〜28,000円 | NAS向けの信頼性と省エネを両立 |
購入前に必ずSynology公式の互換性リストで確認してください。特に2TB以下の容量では対応型番が限られる場合があります。また、2025年以降にリリースされるSynologyの「Plusシリーズ」では自社認定HDDのみに制限される予定ですが、DS223J(無印Jシリーズ)では現状サードパーティ製HDDも利用可能です。
IronWolf vs WD Red Plus:どちらを選ぶ?
| 比較項目 | Seagate IronWolf | WD Red Plus |
|---|---|---|
| 回転数 | 5900〜7200rpm | 5400〜5640rpm |
| 転送速度 | やや速い | 標準的 |
| 発熱・騒音 | やや高め | 静音・低発熱 |
| 価格 | 同等〜やや安い | 同等〜やや高い |
| 保証期間 | 3年 | 3年 |
| こんな人に | コスパ重視・速度優先 | 静音重視・省電力優先 |
家庭用途での24時間稼働なら、静音性と省電力に優れたWD Red Plusが使い勝手よくおすすめです。動画編集データや大量ファイルを頻繁に転送するなら、IronWolfの高回転モデルが向いています。
交換前の注意事項(必ずお読みください)
HDD交換作業を始める前に、以下の点を必ず確認してください。
必ずバックアップを取ること
RAID 1 / SHR構成はあくまで「同じデータが2台に保存される」仕組みです。誤操作や手順ミスでデータが消えるリスクをゼロにするために、交換作業前に外付けHDDやクラウドへのバックアップを必ず取ってください。
バックアップには、Synology純正アプリ「Hyper Backup」が便利です。詳しくは「NASのバックアップ3-2-1ルール」もあわせてご覧ください。
その他の注意点
- DS223Jはホットスワップ非対応のため、電源をOFFにしてからHDDを取り外すこと
- 交換するHDDは現在使用中のHDDと同じ容量か、それ以上の容量を選ぶこと(小さい容量への交換はできません)
- 新しいHDDに事前データを入れておく必要はありません(フォーマット済みでなくてOK)
- 再構築中(12〜36時間程度)はNASに高い負荷がかかるため、重要な書き込み作業は控えることを推奨
- 作業は静電気が起きにくい環境で行い、HDDの基板部分(緑色の回路部分)には素手で触れないこと
DS223J HDD交換の全手順【6ステップ】
ここからは実際の交換手順を、RAID 1 / SHR構成(2台構成)を前提に解説します。1台目を交換して再構築を完了させてから2台目を交換する、という流れです。
Step 1:データのバックアップを確認する
- DSMにブラウザでアクセスし、メインメニューから「Hyper Backup」を開く
- 最新のバックアップタスクが正常に完了していることを確認する(最終バックアップ日時をチェック)
- バックアップが古い場合や未完了の場合は、今すぐ手動バックアップを実行する
- バックアップ先(外付けHDD / クラウド)に十分な空き容量があることを確認する
【画像:Hyper Backupのタスク一覧画面 ― 最終バックアップ日時と「成功」ステータスが表示されている状態】
Step 2:NASの電源を安全にOFFにする
DS223Jはホットスワップ非対応のため、HDD交換前に必ず電源をOFFにします。電源ボタンを長押しするのではなく、DSMの操作メニューから正しくシャットダウンしてください。
- DSMの右上にあるユーザーアイコン(人型アイコン)をクリックする
- メニューから「シャットダウン」を選択する
- 確認ダイアログで「シャットダウン」をクリックする
- NAS前面のLEDランプがすべて消灯するまで待つ(30秒〜1分程度)
- LEDが消えたことを確認してから電源ケーブルをNAS本体から抜く
- LAN ケーブルも抜いておくと安全(任意)
【画像:DSMのシャットダウンメニュー ― 右上のユーザーアイコンをクリックすると「シャットダウン」が表示される】
電源ボタン長押しによる強制終了はファイルシステムへの悪影響があるため避けてください。必ずDSMからシャットダウンするか、電源ボタンを一度短押しして正常終了を行います。
Step 3:古いHDDを取り外す
- DS223Jを安定した場所に置き、背面パネルのネジ(2本)をプラスドライバーで外す
- DS223Jの背面カバーをスライドさせて取り外す
- 交換するHDDのSATAケーブル・電源ケーブルをそっと抜く
- HDDの両脇にある固定ネジ(片側2本、計4本)を外す
- HDDを静かに取り出す(基板部分には触れないよう注意)
【画像:DS223Jの背面カバーを外した内部の様子 ― HDDが2台並んでいる状態とSATAコネクタの位置】
どちらのスロットのHDDを交換するか、必ず事前にDSMのストレージマネージャーで確認しておきましょう。スロット番号(ドライブ1・ドライブ2)を間違えないよう、メモしておくか、取り外す前に写真を撮っておくのがおすすめです。
Step 4:新しいHDDを取り付ける
- 新しいHDDをStep 3と逆の手順で正しいスロットに取り付ける
- HDDの固定ネジ(片側2本、計4本)をしっかり締める(ただし締めすぎに注意)
- SATAケーブル・電源ケーブルをしっかり差し込む(カチッとはまるまで)
- 背面カバーをスライドさせて取り付け、背面ネジを2本締める
- 電源ケーブルとLANケーブルを再接続する
【画像:新しいHDDを取り付けたDS223Jの内部 ― SATAコネクタが正しく差し込まれている状態】
Step 5:電源を入れてDSMの状態を確認する
- DS223Jの電源ボタンを押して起動する
- 前面LEDが安定して点灯するまで待つ(1〜3分程度)
- ブラウザでDSMにアクセスする(
http://[NASのIPアドレス]:5000またはfind.synology.com) - DSMのメインメニューから「ストレージマネージャー」を開く
- ストレージプールの状態が「劣化」になっていることを確認する(正常な表示)
- ドライブ一覧に新しいHDDが「未使用」または「初期化済み」として認識されていることを確認する
【画像:DSMのストレージマネージャー画面 ― ストレージプールが「劣化」、新しいドライブが「未割り当て」と表示されている状態】
この時点でストレージプールが「劣化」と表示されるのは正常です。残った1台にデータが保護されていますので、慌てずに次のステップへ進んでください。
Step 6:ストレージプールの修復(RAID再構築)を開始する
- ストレージマネージャーで「ストレージプール」を選択する
- 劣化状態のストレージプールを選択し、「アクション」ボタンをクリックする
- ドロップダウンメニューから「修復」を選択する
- 使用可能なドライブ一覧に新しいHDDが表示されていることを確認し、チェックを入れる
- 「次へ」をクリックし、確認画面で「OK」をクリックする
- ストレージプールのステータスが「修復中」に変わることを確認する
【画像:ストレージマネージャーの「アクション」→「修復」メニュー ― 劣化中のストレージプールに対して修復操作を行う画面】
【画像:修復するドライブの選択画面 ― 新しく取り付けたHDDにチェックが入った状態】
再構築(修復)の所要時間はHDDの容量によって大きく異なります。4TBで12〜24時間、8TBで24〜36時間程度かかることが多いです。再構築中もNASは通常どおり使用できますが、パフォーマンスは低下します。
再構築が完了すると、ストレージプールのステータスが「正常」に戻ります。DSMの通知設定でメール通知をONにしておくと、完了時に自動でメールが届いて便利です。
【画像:ストレージマネージャーの「修復中」ステータス画面 ― 進捗パーセントが表示されている状態】
容量アップ時の注意点(2台とも交換する場合)
「2TBのHDDを2台 → 4TBのHDDを2台へ」のように、容量アップを目的としてHDDを交換する場合は、以下の点に注意が必要です。
1台ずつ順番に交換する(同時交換はNG)
RAID 1 / SHR構成では、2台のHDDを同時に取り外すとデータがすべて失われます。必ず1台目を交換して再構築が完了してから、2台目を交換するという順番を守ってください。
容量拡張のタイミング:再構築完了後に自動適用される
SHR構成の場合、2台ともより大きな容量のHDDに交換し終えると、DSMが自動的に拡張可能な容量を検出します。
- 2台目の再構築が完了したら、ストレージマネージャーを開く
- 「ストレージプール」→「アクション」→「容量の拡張」が選択できるようになる
- ウィザードに従って操作するだけで、新しい容量が使えるようになる
RAID再構築 vs 新規構成:どちらが良い?
| 方法 | メリット | デメリット | おすすめの場面 |
|---|---|---|---|
| 1台ずつ交換(再構築) | データを保持したまま容量アップできる | 作業に2〜3日かかる。再構築中の負荷がかかる | 既存データを消したくない場合 |
| 2台同時に交換して新規構成 | 短時間(数時間)で完了する。クリーンな状態になる | 既存データがすべて消える。事前に完全バックアップが必要 | 完全バックアップがある場合、設定をリセットしたい場合 |
データの安全を最優先にするなら1台ずつ交換する方法を強くおすすめします。万が一のためにバックアップを取った上で、じっくり進めましょう。
交換後の確認ポイント
RAID再構築が完了したら、以下の項目をチェックして問題がないことを確認しましょう。
- ストレージプールのステータスが「正常」になっている(ストレージマネージャーで確認)
- ボリュームの状態が「正常」になっている(ストレージマネージャー → ボリューム)
- 新しいHDDのS.M.A.R.T.情報が正常(ストレージマネージャー → HDD / SSD → 対象ドライブを選択 → S.M.A.R.T.テスト)
- 容量アップした場合は、使用可能容量が増えていることを確認(コントロールパネル → 情報センター)
- 重要ファイルが正常に読み書きできることをテストする
- Hyper Backupの次回バックアップを手動実行して、新しいHDDへの書き込みが正常か確認する
【画像:ストレージマネージャーの「正常」ステータス ― 再構築完了後にすべての項目が「正常」になった状態】
よくある質問(FAQ)
Q1. DS223JでHDD交換中にNASにアクセスできますか?
A. 交換後の再構築(修復)中はアクセス可能ですが、電源OFFからHDD換装中はアクセスできません。DS223Jはホットスワップ非対応のため、HDD交換時は必ず電源をOFFにする必要があります。新しいHDDを取り付けて電源を入れ、修復を開始した後はNASに通常どおりアクセスできます。ただし修復中はパフォーマンスが低下するため、重い作業は避けることをおすすめします。
Q2. 再構築(修復)中に停電やシャットダウンが起きたらどうなりますか?
A. 再構築が中断されますが、データは失われません。Synologyのストレージマネージャーは再構築の途中状態を記録しているため、電源が復旧して再起動すると自動的に修復が再開されます。万が一再開されない場合は、ストレージマネージャーから手動で「修復」を再実行してください。
Q3. 現在の4TBのHDDを8TBのHDDに交換して容量アップできますか?
A. はい、可能です。SHR構成では、1台目を8TBに交換して再構築が完了した後、2台目も8TBに交換して再構築を完了させます。両方の交換が完了したら、DSMのストレージマネージャーから「容量の拡張」を実行することで、増えた容量(4TB分)が使えるようになります。ただし、交換前のHDDより小さい容量への交換はできませんのでご注意ください。
Q4. HDDメーカーはSeagateとWD、どちらが信頼性が高いですか?
A. どちらも信頼性の高いNAS向けHDDです。長年のデータセンター運用データをもとにした故障率調査(Backblaze等)では、いずれも実用上問題のない故障率で推移しています。選ぶポイントは「Synologyの互換性リストに掲載されているか」「目的の容量が揃っているか」「現時点での価格」の3点が優先されます。同一機種の2台購入の場合、同じロットで購入するのは避けた方が無難(同時期に故障するリスクを下げるため)という意見もありますが、基本的には同一モデルを2台揃えるのが管理しやすく安心です。
Q5. 交換後に「ストレージプールが劣化」のままで「修復」が選べません。どうすれば良いですか?
A. 新しいHDDが正しく認識されているか確認してください。まずストレージマネージャーの「HDD / SSD」タブを開き、新しいHDDが「正常」または「未割り当て」として表示されているか確認します。認識されていない場合は、電源OFFでHDDのSATAケーブル・電源ケーブルの接続を確認し再起動してください。それでも解決しない場合は、HDD自体の初期不良の可能性があります。別のHDDで試すか、購入店へ問い合わせてください。
まとめ
Synology DS223JのHDD交換は、手順さえ守れば初心者でも安全に行えます。今回の内容をまとめます。
- DS223Jはホットスワップ非対応のため、交換前に必ず電源をOFFにする
- 交換前のバックアップは必須。Hyper Backupで外付けHDD / クラウドへ保存しておく
- 交換用HDDはSynology互換性リスト掲載のNAS向けモデル(WD Red Plus / Seagate IronWolf など)を選ぶ
- SHR / RAID 1構成の場合、1台ずつ順番に交換し、各交換後に再構築を完了させる
- 容量アップ時は2台の再構築完了後に「容量の拡張」をDSMから実行する
- 再構築には4TBで12〜24時間、8TBで24〜36時間程度かかる。再構築中もNASは使用可能
HDDは消耗品です。突然の故障に備えて日ごろからS.M.A.R.T.情報を確認し、警告が出たら早めに交換する習慣をつけておくと安心です。この記事が、DS223Jをより長く安全に使い続けるお役に立てば幸いです。
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