用語解説

RAIDとSynology SHRの違いは?

raid-vs-shr
yamakashi

RAID(Redundant Array of Independent Disks)とSynology SHR(Synology Hybrid RAID)は、どちらも複数のハードディスクを組み合わせて耐障害性や性能向上を図る技術ですが、設計思想や使い勝手に大きな違いがあります。以下に体系的に整理して説明します。


1. RAIDの概要

RAIDは複数のHDDやSSDを仮想的に1台のストレージのように扱う仕組みで、主に次の目的があります:

  • 耐障害性の向上(ミラーリングやパリティ)
  • 性能の向上(ストライピング)
  • 大容量化(複数ディスクの統合)

主なRAIDレベル

RAIDレベル特徴耐障害性容量効率最小ドライブ数
RAID 0ストライピングで高速化。冗長性なし。×100%2台
RAID 1ミラーリングで冗長性。50%2台
RAID 5パリティ付きストライピング。1台障害まで耐える。(N-1)/N3台
RAID 62重パリティで2台障害まで耐える。(N-2)/N4台
RAID 10RAID 1 + RAID 0のハイブリッド。50%4台

※容量効率は合計HDD容量に対する使用可能な割合


2. Synology SHRの概要

**SHR(Synology Hybrid RAID)**は、Synology製NASに搭載されている独自のRAID管理方式で、以下の特徴があります。

SHRの特徴

特徴内容
異なる容量のHDDを効率的に活用可能RAIDでは無駄になる大きな容量も活用可能。
RAID 1/5/6に類似した保護機能SHR(1重保護)≒RAID 1/5、SHR-2(2重保護)≒RAID 6
自動構成と柔軟な拡張初心者でも簡単に設定でき、後からディスクを追加しても柔軟に容量拡張可能。
ディスクの増設が簡単新しい大容量ディスクを追加するだけで自動で最適化される。

3. RAIDとSHRの比較表

項目標準RAIDSynology SHR
互換性多くのRAID対応NAS/OSで使用可能Synology NAS専用
異容量ディスク対応基本的に不可(容量は小さいHDDに合わせられる)対応可(容量無駄が最小限)
管理の容易さ手動設定が必要なことが多い自動構成・ガイド付き
拡張性一部RAIDレベルでは難しいSHRは拡張が容易
信頼性RAIDレベルに依存SHR/SHR-2はRAID相当の信頼性あり
柔軟性低い(HDDは同容量推奨)高い(容量・構成自由度大)

4. どちらを選ぶべきか?

使用者のタイプ推奨方式理由
NAS初心者・家庭用途SHR自動構成・拡張が簡単で、異容量HDDも有効活用できるため。
エンタープライズ・RAID経験者RAID細かい設定制御や他社NASとの互換性を重視するならRAIDが適している。
HDDの将来的な増設を考えているSHR1台ずつ追加していくような拡張に柔軟に対応可能。

5. 補足:SHRにおける容量計算の例

例えば、以下の3台のHDDを使った場合:

  • 4TB + 3TB + 2TB

RAID 5の場合:

  • 全ディスクで最小サイズ(2TB)× (台数 – 1) = 4TBが使用可能

SHRの場合:

  • 約6TB前後使用可能(残りは保護領域に)

SHRは異容量でも無駄が少なくなるように最適化されます。


まとめ

観点RAIDSynology SHR
標準規格×(独自)
異容量対応×
拡張性
構成の簡単さ
柔軟性
導入難易度やや高い低い(初心者向け)

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