RAIDとは?
yamakashi
ありがとNAS
RAID(Redundant Array of Independent Disks)とSynology SHR(Synology Hybrid RAID)は、どちらも複数のハードディスクを組み合わせて耐障害性や性能向上を図る技術ですが、設計思想や使い勝手に大きな違いがあります。以下に体系的に整理して説明します。
RAIDは複数のHDDやSSDを仮想的に1台のストレージのように扱う仕組みで、主に次の目的があります:
RAIDレベル | 特徴 | 耐障害性 | 容量効率 | 最小ドライブ数 |
---|---|---|---|---|
RAID 0 | ストライピングで高速化。冗長性なし。 | × | 100% | 2台 |
RAID 1 | ミラーリングで冗長性。 | ◎ | 50% | 2台 |
RAID 5 | パリティ付きストライピング。1台障害まで耐える。 | ○ | (N-1)/N | 3台 |
RAID 6 | 2重パリティで2台障害まで耐える。 | ◎ | (N-2)/N | 4台 |
RAID 10 | RAID 1 + RAID 0のハイブリッド。 | ◎ | 50% | 4台 |
※容量効率は合計HDD容量に対する使用可能な割合
**SHR(Synology Hybrid RAID)**は、Synology製NASに搭載されている独自のRAID管理方式で、以下の特徴があります。
特徴 | 内容 |
---|---|
異なる容量のHDDを効率的に活用可能 | RAIDでは無駄になる大きな容量も活用可能。 |
RAID 1/5/6に類似した保護機能 | SHR(1重保護)≒RAID 1/5、SHR-2(2重保護)≒RAID 6 |
自動構成と柔軟な拡張 | 初心者でも簡単に設定でき、後からディスクを追加しても柔軟に容量拡張可能。 |
ディスクの増設が簡単 | 新しい大容量ディスクを追加するだけで自動で最適化される。 |
項目 | 標準RAID | Synology SHR |
---|---|---|
互換性 | 多くのRAID対応NAS/OSで使用可能 | Synology NAS専用 |
異容量ディスク対応 | 基本的に不可(容量は小さいHDDに合わせられる) | 対応可(容量無駄が最小限) |
管理の容易さ | 手動設定が必要なことが多い | 自動構成・ガイド付き |
拡張性 | 一部RAIDレベルでは難しい | SHRは拡張が容易 |
信頼性 | RAIDレベルに依存 | SHR/SHR-2はRAID相当の信頼性あり |
柔軟性 | 低い(HDDは同容量推奨) | 高い(容量・構成自由度大) |
使用者のタイプ | 推奨方式 | 理由 |
---|---|---|
NAS初心者・家庭用途 | SHR | 自動構成・拡張が簡単で、異容量HDDも有効活用できるため。 |
エンタープライズ・RAID経験者 | RAID | 細かい設定制御や他社NASとの互換性を重視するならRAIDが適している。 |
HDDの将来的な増設を考えている | SHR | 1台ずつ追加していくような拡張に柔軟に対応可能。 |
例えば、以下の3台のHDDを使った場合:
SHRは異容量でも無駄が少なくなるように最適化されます。
観点 | RAID | Synology SHR |
---|---|---|
標準規格 | ◎ | ×(独自) |
異容量対応 | × | ◎ |
拡張性 | △ | ◎ |
構成の簡単さ | △ | ◎ |
柔軟性 | △ | ◎ |
導入難易度 | やや高い | 低い(初心者向け) |