更新日:2026年8月5日|カテゴリ:HDD・SSD・ストレージ選び

「NAS本体は決めたけど、HDDをどれにするかで止まっている…」

NASのHDD選びは、本体選び以上に データの寿命を左右する重要工程です。本記事では執筆時点(2026年8月)のNAS用HDDを 6つの選定基準 で整理し、迷わず選べる完全ガイドをお届けします。

結論:HDD選びの6つの判断軸

  • 記録方式:必ずCMR(SMRはRAIDでリビルド失敗実例多数)
  • 容量:現使用量の2〜3倍。家庭用は4TB or 6TB
  • 回転数:5400rpm(静音)か7200rpm(高速)
  • メーカー:WD・Seagate・Toshiba・Synologyの4択
  • 保証年数:3年が標準、Pro系は5年
  • 価格:1TBあたり ¥6,000〜¥8,000台が2026年の標準(容量が小さいほど割高)

迷ったら:WD Red Plus 4TB(実売型番はWD40EFZZ)32,500円前後

価格は執筆時点で当サイトが確認した実勢です。HDDは2026年に入って値上がりが続いており、この金額も動きます。最新の相場と容量別の1TB単価はHDD値上がりはいつまで?NAS用の相場と買い時で毎月更新しています。

選定基準① 記録方式は「必ずCMR」

これが最重要。HDDの記録方式は CMR(Conventional Magnetic Recording)SMR(Shingled Magnetic Recording) の2つがあり、SMRはNAS(特にRAID環境)では絶対に避けるべき地雷です。

項目CMR(推奨)SMR(NAS非推奨)
書き込み性能常に安定連続書き込みで失速
RAID適性×(リビルド失敗実例多数)
価格やや高い安い
代表例WD Red Plus/IronWolf/N300WD Red無印(EFAX)/WD Blue一部

2020年WD Red SMR混入事件

2020年、Western Digitalが WD Red(無印)2〜6TBに秘密裏にSMRを採用していたことが判明し、RAIDリビルド失敗が多発。批判を受け「Red Plus」(全容量CMR)と「Red」(SMR混在)に分離されました。NAS用途では必ず「Red Plus」(型番末尾EFPX/EFZX/EFZZ)を選んでください。

選定基準② 容量は「3〜5年後」を見据えて選ぶ

NASのHDDは簡単に増設できません(特にRAID環境ではデータ移行が大変)。現在の使用量の2〜3倍を目安に選びましょう。

現在の総データ量推奨HDD容量RAID 1実効容量2本合計価格想定用途
〜500GB4TB4TB65,000円前後文書・写真
500GB〜1.5TB6TB6TB82,000円前後家族写真・動画
1.5〜3TB8TB8TB100,000円前後4K動画・RAW写真
3TB以上12〜14TB12〜14TB当サイト未確認(相場記事参照)SOHO・動画編集

2本合計はWD Red Plus(CMR)1本の実勢を2倍した目安です。値上がりが続いている最中なので、購入時は必ずご自身でも金額をご確認ください。12TB以上は当サイトの価格データベースに未登録のため金額を掲載していません。

選定基準③ 回転数は「用途で選ぶ」

項目5400rpm7200rpm
代表製品WD Red Plus/IronWolf 4〜8TB/HAT3300N300/WD Red Pro
転送速度150〜180MB/s180〜260MB/s
消費電力(アイドル)3〜4W5〜7W
騒音静かやや大きい
家庭用適性◎ 鉄板○ 動画編集向け

家庭の2ベイNASは 1Gbps LAN(実効110MB/s) の壁があるため、5400rpmで実用上問題なし。動画編集・複数ユーザー同時アクセスなら7200rpmを検討しましょう。

選定基準④ メーカーは「主要4社」から選ぶ

メーカー主力シリーズ特徴家庭用おすすめ度
Western DigitalRed Plus / Red Pro世界シェアトップ、国内流通豊富★★★★★
SeagateIronWolf / IronWolf ProRescue Data Recovery 3年付き★★★★★
ToshibaN300 / MG国内メーカー、7200rpm中心の高速モデル★★★★☆
SynologyHAT3300 / HAT5300純正で互換性保証。DSM 7.3以降はサードパーティHDDもプール作成可★★★★☆

Western Digital(WD)

  • WD Red Plus(WD40EFZZ/WD60EFPX等):1〜8ベイ向け。全容量CMR。家庭用の鉄板
  • WD Red Pro(WD8004FFBX等):8〜24ベイ向け。7200rpm、5年保証、振動対策強化
  • 注意:「WD Red」(無印、EFAX型番)はSMR混在のため避ける

4TBは「買える型番」が入れ替わりました(2026年8月2日確認)

長く定番だったWD40EFPX(キャッシュ256MB)は、価格.comの掲載が0店になり、当サイトが確認した範囲(価格.com掲載店・ツクモ・ドスパラ)では在庫が見つかりませんでした。いま「WD Red Plus 4TB」として実際に買えるのは、同シリーズのWD40EFZZ(キャッシュ128MB・CMR・5400rpm)で、こちらは20店超が在庫を持っています。どちらもRed PlusなのでCMR=NAS用途の要件は満たします。本記事の4TBの価格・おすすめはWD40EFZZを前提にしています。

Seagate

  • IronWolf(ST4000VN006/ST6000VN006等):1〜8ベイ向け。CMR、Rescue Data Recovery 3年無料付帯
  • IronWolf Pro(ST10000NT001等):商用環境向け。5年保証、ワークロード300TB/年
  • SkyHawk(監視用)はNAS用途ではないので注意

Toshiba

  • N300(HDWG440等):4〜18TB、7200rpm、CMR、3年保証
  • MGシリーズ(MG09ACA18TE等):エンタープライズ向け、最大22TB
  • 国内メーカーの安心感があり、7200rpm・CMRで速度を求める構成に向く

Synology純正HDD

  • HAT3300-2T/4T/6T:5400rpm、CMR、3年保証、Synology NAS完全互換性保証
  • HAT3320-8T/HAT3310-12T・-16T/HAT3320-20T同じPlus HDDシリーズでも8TB以上は7200rpmで型番が分かれます(旧HAT3300-8Tからの置き換え)
  • HAT5300-8T/12T/16T:7200rpm、エンタープライズ向け
  • 2025年モデル(DS225+/DS425+/DS925+)もDSM 7.3(2025年10月8日公開)でサードパーティHDDのストレージプール作成に対応。純正必須ではありません
  • 純正HDDは「『未検証』表示とサポート範囲の違いを避けたい人」向け。執筆時点では純正のほうが1本あたり約8,500円高い(2ベイなら約17,000円の上乗せ)
  • M.2 SSD(キャッシュ用)は引き続き互換性リスト掲載品が必要なので、HDDと同じ感覚で選ばないこと

選定基準⑤ 保証年数とアフターサポート

シリーズ保証MTBFワークロード付帯サービス
WD Red Plus3年100万時間180TB/年
WD Red Pro5年100万時間300TB/年
Seagate IronWolf3年100万時間180TB/年Rescue Data Recovery 3年
Seagate IronWolf Pro5年120万時間300TB/年Rescue 5年
Toshiba N3003年100万時間180TB/年
Synology HAT33003年100万時間180TB/年

家庭用は 3年保証で十分。長期保管・SOHO用途なら5年保証のPro系(WD Red Pro/IronWolf Pro)を検討しましょう。

選定基準⑥ 価格相場と購入時の注意

NAS用HDDの相場(1TB単価・2026年8月2日確認)

  • 4TB:1TB当たり 8,125円前後(WD Red Plus 4TBが32,500円前後)
  • 6TB:1TB当たり 6,833円前後(WD Red Plus 6TBが41,000円前後)
  • 8TB:1TB当たり 6,250円前後(WD Red Plus 8TBが50,000円前後)
  • 12TB以上:1TB当たり ¥5,267〜¥5,750(2026年7月18日調査の秋葉原最安ベースの参考値・12TB〜18TB/銘柄で前後)

2026年は「小さく買う」がいちばん損をします

値上がりの影響は容量帯によって差があり、2TB・4TBの1TB単価がとくに割高になりました。上のとおり1TB単価は4TB→6TB→8TBと下がり、8TB以上でおおむね5,000〜6,000円台/TBのプラトーに入ります。ここから先(12TB以上)の単価改善はゆるやかなので、予算が届くなら8TBが合理的です。実際、WD Red Plus 6TBは秋葉原最安で24,200円(1月10日)→41,800円(7月18日)=+72.7%、8TBは+52.1%と記録されています。

なお、一本調子の値上がりは7月下旬でいったん止まりました(WD Red Plus 6TBは7月23日の48,620円をピークに7月27日以降40,980円で横ばい)。ただし8TBは49,980円で高止まり、IronWolf 6TBは8月1日に上昇しており、下落トレンド入りしたと言える材料は当サイトが確認した範囲ではありません。相場の推移と買い時の判断はHDD値上がりの原因と買うべき容量帯で毎月更新しています。

1TB単価は当サイトの価格データベース(執筆時点の実勢)から算出。12TB以上の参考値はAKIBA PC Hotline! 相場調査 2026年7月22日公開(調査期間 7月11日〜18日)の秋葉原最安値をもとに当サイトが計算した値です。

購入時の3つの注意点

  • ① 必ず「正規代理店品」を選ぶ:CFD販売、アスク、テックウインド等。並行輸入品はRMAが英語対応。
  • ② 型番でCMRを再確認:WD Red Plus = EFPX/EFZX/EFZZ、IronWolf = VN006、N300 = HDWG。
  • ③ 届いたHDDを検査せずに使い始めない:販売店の初期不良交換は当サイト確認で最短「到着から7日」。2本同時に買って構いません(同時に届けば期限内に2本とも検査できます)。手順は初期不良チェックへ。

用途別おすすめ早見表

用途第1候補容量2本合計価格
家族の写真バックアップWD Red Plus 4TB(WD40EFZZ)4TB65,000円前後
動画コレクション保管WD Red Plus 8TB(WD80EFPX)8TB100,000円前後
4K動画編集ワークステーションIronWolf Pro 12TB12TB当サイト未確認
コスパ重視・初NASIronWolf 4TB(ST4000VN006)4TB54,000円前後
Synology純正で安心HAT3300 4TB(HAT3300-4T)4TB82,000円前後
SOHOファイルサーバーWD Red Pro 6TB×4(RAID 5)6TB×4164,000円前後(Red Plus換算・Pro実売は当サイト未確認)

「12TB」「Pro系」など当サイトの価格データベースに未登録の製品は、金額を掲載していません(確認できていない値を書かない方針です)。容量別の最新相場はHDD値上がりはいつまで?NAS用の相場と買い時をご覧ください。

「Synology純正のほうが安い」は執筆時点では逆転しています

HAT3300 4TBは41,000円前後で、WD Red Plus 4TB(32,500円前後)より1本あたり約8,500円高いのが執筆時点の実勢です。2ベイで揃えれば差額は約17,000円。純正を選ぶ理由は「価格」ではなく「互換性リスト掲載品であること(=『未検証』表示にならず、サポートも通常どおり)」だと整理してから判断してください。なお両者とも値動きが続いており、差額そのものが月単位で変わります(2026年7月25日時点の差額は約12,000円でした)。

こんな人にはこれがおすすめ

WD Red Plusが向いている人

  • 初心者で失敗したくない
  • 家庭用で静音・省電力重視
  • 2〜4ベイの小型NASユーザー
  • 長期保管中心の用途

Seagate IronWolfが向いている人

  • 少しでも価格を抑えたい
  • Rescueデータ復旧サービスが欲しい
  • 8TB以上の大容量を検討
  • Synology NASでIronWolf Health Mgmt使いたい

よくある質問(FAQ)

Q1. デスクトップ用HDD(WD Blue等)は本当にダメ?

A. 「動かない」わけではありませんが、24時間稼働・RAID環境を想定していないため、数ヶ月〜1年でRAIDから切り離される、代替セクタ急増、異音などの症状が出ます。NAS用HDDの単価差(数千円〜1万円)はデータ保全の保険料と考えるべき。家庭の写真・思い出を失ってからでは遅いです。

Q2. 異容量・異メーカーHDDをRAIDで混ぜていい?

A. SynologyのSHRなら異容量混在可能ですが、回転数・振動特性が違うメーカー混在は共振トラブルの原因になります。同一モデルで揃えるのが最も管理しやすい選択です(ロットを分けるかどうかは、それを裏づける定量的な公開データを当サイトでは確認できていないため、こだわらなくて構いません)。WD Red Plus 4TBで2本揃え、後日6TBにアップグレードするなら2本同時に交換が原則です。

Q3. NASのHDDは何年で交換すべき?

A. 3〜5年が一般的な交換目安。SMARTの「代替セクタ数」「読み書きエラー率」「通電時間」をDSM/QTSで定期チェックし、警告が出たら即交換。Backblazeの統計では、稼働3〜5年で年間故障率が1.5〜2.5%に上昇する傾向があります。

Q4. NASにSSDは使うべき?

A. 家庭用はHDDメインでOKです。容量単価がHDDより高いうえ、2026年7月時点はNANDフラッシュ高騰でSATA SSDの4TBクラスが在庫なし(同月25日確認)。M.2キャッシュ用の定番だったWD Red SN700も全容量が在庫切れで、代替のNVMe 1TBクラスは3万円台=NAS用HDD 1本とほぼ同額です。まずはHDD 4TB×2でRAID 1を組み、SSDキャッシュは価格と在庫が落ち着いてからが現実的。詳しい事情はNAS用SSDの選び方にまとめています。

Q5. Synology純正HDD(HAT3300)は本当に必要?

A. 必須ではありません。2025年モデル(DS225+/DS425+/DS925+)のドライブ互換性ポリシーは2025年10月のDSM 7.3でほぼ撤回され、互換性リスト未掲載の3.5インチHDDでもストレージプールを作れます(M.2 SSDは引き続き互換性リスト掲載品が必要)。ただし未掲載のドライブはストレージマネージャで「未検証」ステータスとして表示され、Synologyのテクニカルサポートが限定的になる場合があると公式KBに記載されています。この表示とサポート範囲の違いを避けたいならHAT3300ですが、執筆時点では純正のほうが1本あたり約8,500円高くなっています。WD Red Plus / IronWolfも動作し、プール作成も可能です。線引きの詳細はSynologyの純正HDD縛りは結局どうなったか、製品選びはNAS用HDDのおすすめ記事をご覧ください。

筆者も2ベイのSynology DS223j(RAID 1構成)を自宅で実運用しています。HDDを実際に交換したときの手順とつまずきはDS223jのHDD交換 実体験記事にまとめているので、購入後の作業イメージづくりにどうぞ。

まとめ:迷ったら「WD Red Plus 4TB」

NAS用HDD選びの最終結論

  • 初心者の鉄板:WD Red Plus 4TB(実売型番はWD40EFZZ)×2本(65,000円前後)
  • 価格+復旧サービス重視:Seagate IronWolf 4TB(ST4000VN006)×2本(54,000円前後)
  • Synology純正派:HAT3300-4T×2本(82,000円前後)=サードパーティより高いので、互換性の安心にお金を払う選択と理解して選ぶ
  • 避けたいもの:WD Red無印(EFAX)/デスクトップ用HDD/監視カメラ用HDD
  • 型番でCMRを必ず確認:EFPX / EFZX / EFZZ / VN006 / HDWG / HAT3300
  • 価格はいずれも2026年8月2日確認の実勢。HDDは値上がりが続いており、購入前に最新相場の確認をおすすめします

NAS用HDDは「安物買いの銭失い」が最も起きやすいパーツです。家族の写真・書類を守る保険料として、定番のCMRモデルを選ぶのが結局一番コスパの良い選択になります。

参考ソース