yamakashi
CMR(Conventional Magnetic Recording)とSMR(Shingled Magnetic Recording)は、データの書き込み方式の違いによって分類される技術です。それぞれの特徴を以下の観点から体系的にまとめます。
NAS用にはCMRを使用します。
🔧 1. 構造と動作の違い
項目 | CMR(Conventional Magnetic Recording) | SMR(Shingled Magnetic Recording) |
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構造 | 各トラックが独立し、重ならない | トラックを屋根瓦のように一部重ねて記録 |
書き込み方式 | ランダムアクセスでも即書き込み可能 | 一部エリアを書き直す必要がある(順次書き込みが前提) |
読み取り | 高速で安定して読み取れる | 読み取りはほぼ同等だが、更新を伴う操作は遅い |
📈 2. 性能面の違い
項目 | CMR | SMR |
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書き込み速度 | 高速 | 遅い(特にランダム書き込み) |
読み取り速度 | 安定・高速 | CMRとほぼ同等 |
連続書き込み | 高性能 | 得意だが、更新が増えると性能劣化 |
ランダム書き込み | 安定 | 著しく遅い(再配置処理が発生) |
📦 3. 容量とコスト面
項目 | CMR | SMR |
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記録密度 | 標準 | 高密度(同じディスク面積で大容量化) |
製造コスト | 高い(面積効率が低い) | 低い(高密度で低コスト) |
市場価格 | やや高い | 安価な傾向がある |
🛠️ 4. 用途・適用場面
用途・環境 | CMR が適している | SMR が適している |
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NAS(RAID構成) | ◎ 推奨(安定・ランダムI/Oに強い) | × 非推奨(RAID再構築が遅く不安定) |
監視カメラ録画 | ○(ランダムI/O多い場合は注意) | △ 長時間連続録画なら可 |
バックアップ用 | ○ | ◎(書き込み頻度が低く連続なら) |
一般PC用途 | ◎ | △(使用状況による) |
📋 5. メリット・デメリット
✅ CMRのメリット
- ランダム書き込みが高速
- 安定したパフォーマンス
- RAIDやNAS用途に最適
❌ CMRのデメリット
✅ SMRのメリット
- 容量が大きい(高密度)
- コストパフォーマンスが良い
- バックアップやアーカイブに適する
❌ SMRのデメリット
- ランダム書き込みに弱い
- 書き換え頻度が高い用途に不向き
- RAIDやZFSなどのシステムと非互換なことも
🔍 6. 見分け方と注意点
- 製品仕様で「SMR」と明記されない場合が多いため、公式サイト・製品データシートの確認が必須。
- 特に大容量で安価なHDD(例:6TB~14TBなど)はSMRの可能性がある。
- NAS用途なら必ずCMRと記載されたモデルを選ぶこと。
📝 7. 代表的なモデル(2025年時点の例)
メーカー | CMRモデル例 | SMRモデル例 |
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Western Digital | WD Red Plus / Red Pro | WD Red(無印) 2~6TB |
Seagate | IronWolf / Exos | Barracuda 8TB(SMR)、Archiveシリーズ |
Toshiba | N300 | P300(一部SMRあり) |
✅ 結論:NAS用にはCMRを使用します。
- CMR: 書き換え頻度が高い、常時稼働するNAS・RAID・監視録画向け
- SMR: バックアップ保存用、大容量を低コストで確保したい用途向け
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