用語解説

ext4とBtrfsの違いは?

ext4 vs Btrfs
yamakashi

ext4とBtrfs(Butter File System)は、Linuxで使用されるファイルシステムですが、設計思想と機能に大きな違いがあります。以下に、両者の違いを体系的にまとめて説明します。


🔷 ext4 と Btrfs の比較表

項目ext4Btrfs
開発元LinuxコミュニティOracle主導で開発(Linuxコミュニティが継続)
リリース年2008年2009年(安定版はその後)
ファイルシステム種別従来型(ジャーナリング)次世代型(コピー・オン・ライト、COW)
安定性非常に安定・信頼性高い安定してきているが一部機能は注意が必要
パフォーマンス高速、軽量高機能だが、用途によってはext4より遅い
スナップショット❌ 非対応✅ 標準対応(非常に強力)
RAID機能❌ OS側で実装(mdadm等)✅ 内蔵(RAID 0, 1, 10, 5/6は非推奨)
圧縮機能❌ なし✅ あり(zlib, zstd, lzo)
自動修復❌ なし✅ チェックサムで自動修復可能
ファイルシステム拡張✅ オンライン拡張可能✅ 柔軟な拡張(マルチディスク対応)
ファイル最大サイズ16 TiB16 EiB(理論上)
ファイルシステム最大サイズ1 EiB16 EiB
既存システムとの互換性✅ 非常に高い△ ext4から移行には再フォーマット必要

✅ ext4 の特徴(Extended Filesystem v4)

長所:

  • 非常に安定しており、長年の実績あり
  • パフォーマンスがよく、リソース消費も少ない
  • シンプルな構造でトラブル時の復旧が比較的容易

短所:

  • スナップショットや圧縮などの高度な機能がない
  • RAIDや冗長性はOS任せ

✅ Btrfs の特徴(Butter File System)

長所:

  • スナップショット:瞬時に状態保存が可能(差分バックアップに最適)
  • 自己修復機能:メタデータのチェックサムによりエラー検出と修復が可能
  • 圧縮:保存容量を削減できる(zstdなど)
  • RAID内蔵:複数ディスク構成に柔軟対応(ただしRAID5/6は非推奨)
  • サブボリューム:仮想的に分割されたボリューム管理が可能

短所:

  • RAID5/6はまだ完全には信頼できない(公式に「実験的」とされている)
  • 高負荷環境や古いカーネルでは安定性に注意
  • システム修復が複雑(btrfs checkは慎重に扱う必要あり)

✅ 用途別おすすめ

用途推奨ファイルシステム理由
安定・高速が最優先(Webサーバーなど)ext4軽量・実績多数
スナップショット・バックアップ重視Btrfs差分保存が可能
自作NAS・ホームサーバーBtrfs(RAID1推奨)柔軟な管理と自己修復機能
低スペックPCext4負荷が軽い
高機能ストレージ(圧縮・冗長化)Btrfs多機能でモダンな設計

✅ まとめ:どちらを選ぶべきか?

  • ext4
    • シンプル・高速・とにかく安定重視
    • 特に理由がなければこれで十分
  • Btrfs
    • スナップショット・圧縮・自己修復など先進機能を活かしたいとき
    • NAS用途やサーバーのバックアップ運用にも向く

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