この記事の速度は、運営者が自宅で2026年9月4日(iperf3)・9月8日(SMB 10GB)・9月14日(SMB 1GB/4GB)・9月15日(SSDボリューム)に実測した値です。測定はPC ─ 2.5Gbps対応ハブ ─ NASの1経路のみで、ルーター直結・CrystalDiskMark・小ファイル多数のコピーは測っていません。測った条件と測っていない条件は、本文中でそのつど明示します。
NASのカタログには「2.5GbE対応」と書いてある。ハブとPC側を替えれば2.5倍速くなるのか。答えはファイルの大きさとストレージで変わります。同じNAS・同じハブで回線速度だけを切り替え、1GB・4GB・10GB、HDDとSSDで測りました。遅い原因の切り分けはNASが遅い原因と改善方法へ。
結論:回線は2.5倍。倍率はファイルの大きさとストレージで分かれる
- 回線帯域(iperf3)は 953Mbps → 2.38Gbps=2.50倍。2.5GbEの理論値の95%が出ていて、回線側はほぼ設計どおりに広がりました
- NASのメモリに収まる1GB級は、1本目の書込が2.11倍・読出が2.63倍(読出は3回中2回。1回は100.6MB/sでした)。1GBの読出にかかる時間は約9.5秒→3.6秒です
- 4GB以上はHDDが壁。10GBは書込1.24倍・読出1.37倍。SSDボリュームなら280MB/s前後(約2.5倍)が出ました。ただし安い256GB SSDは連続約50GBの書込で失速します
1. 実測値:2.5GbEと1GbEを同じ機材で比べた
同じPC・同じハブ・同じNASで、PC側のリンク速度だけを2.5Gbpsと1.0Gbpsで切り替えた結果です。各3ラウンド測り、代表値は中央値を採ります(最高値は使いません)。
| 測定項目 | 2.5GbEリンク | 1GbEリンク | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 回線帯域(iperf3・送信) | 2.38 Gbps | 953 Mbps | 2.50倍 |
| 1GB 書込(1本目) | 238.1 MB/s | 112.7 MB/s | 2.11倍 |
| 1GB 読出(メモリから) | 282.2 MB/s | 107.5 MB/s | 2.63倍(3回中2回) |
| 10GB 書込 PC→NAS | 139.7 MB/s | 112.4 MB/s | 1.24倍 |
| 10GB 読出 NAS→PC | 148.5 MB/s | 108.4 MB/s | 1.37倍 |
| SSD 1GB 書込/読出 | 280.2/282.4 MB/s | 112.7/113.1 MB/s | 2.49倍 |
測定条件:PC ─ エレコム EHC-LQ01-8(2.5Gbps対応8ポートハブ)─ UGREEN NASync DXP2800(2.5GbE×1・HDD 2本のRAID 1・RAM 8GB)。乱数で作ったファイルA・BをSMBで転送し、各3ラウンド実施。SSDの行はSilicon Power P34A60 256GB(DRAMレス)の単独ボリューム(9月15日測定)です。1GBはA・B計2GBでNASのRAM 8GBに収まるため、読出はHDDではなくNASのメモリから返る条件です(10GBではBの書き込みでキャッシュを押し出しています)。1GbE側はPCのLANアダプターを1.0Gbps固定にした対照条件です(2026年9月4日・9月8日・9月14日・9月15日実測)。
1GBの読出2.63倍は3回中2回の値で、残る1回は100.6MB/sと1GbE(107.5MB/s)を下回りました。「2.5GbE対応」は帯域の話で、HDDのままではコピーが2.5倍になりません。
2. 測定環境(機材と接続)
| 役割 | 機材 | 備考 |
|---|---|---|
| NAS | UGREEN NASync DXP2800 | 2.5GbE×1・共有はSMB(UGOS Pro) |
| NASのHDD | WD Blue 3.5インチ×2(容量表示3.6TB)・RAID 1 | SSDキャッシュなし |
| NASのSSD(9月15日のみ) | Silicon Power P34A60 256GB(M.2 NVMe・DRAMレス) | 単独ボリューム |
| ハブ | エレコム EHC-LQ01-8 | 全8ポート2.5Gbps対応・金属筐体・ファンレス・ACアダプター |
| PC側LAN | バッファロー LGY-PCIE-MG3/N の前世代 LGY-PCIE-MG2(10GbE PCIeボード) | 相手が2.5Gbpsのためオートネゴで2.5Gbpsリンク |
| ケーブル | 手持ちのLANケーブル(Cat5e以上) | 買い替えなし |
買い足したのは2.5Gbps対応のハブ1台だけです(ケーブルとPC側のボードは手持ちを流用しました)。最新価格・在庫をチェック:

ハブの仕様はエレコム EHC-LQ01-8 公式製品ページで確認しました(全ポート2.5Gbps対応・ファンレス・金属筐体・ACアダプター・IEEE 802.3az対応・ループ検知機能/2026年9月8日確認)。
PC側のLANボードは、現行のLGY-PCIE-MG3/Nではなく前世代のLGY-PCIE-MG2です。どちらも10GBASE-T対応で、今回はNAS側が2.5GbEのため2.5Gbpsでリンクしています(10GbEボードを2.5GbEとして使った測定です)。
NAS本体の仕様・実機レビューはUGREEN NASync DXP2800レビューにまとめてあります。
3. 測り方(同じ手順で再現できます)
測定は2種類に分けています。回線がどれだけ広がったかと、実際のファイルコピーがどれだけ速くなったかは別物だからです。
- 回線帯域=iperf3:NAS側でiperf3サーバーを動かし、PCから10秒間の単一ストリームで測定。ディスクを一切使わないので、回線の実力だけが出ます
- 実転送=SMBでファイルをコピー:乱数ファイルA・Bを A書込 → B書込 → A読出 の順で3ラウンド(10GB・4GB・1GB)。10GB・4GBはBでNASのメモリキャッシュを押し出してから読み、1GB(計2GB)はRAM 8GBに収まる=読出がメモリから返る条件です
- 共有への接続:ゲストではなくNASのユーザーアカウントでSMB接続(SMB3)
- 1GbE側の作り方:ハブもNASも替えず、PCのLANアダプターの設定で「1.0Gbps 全二重」に固定。回線速度だけを変えた対照条件です
乱数ファイルを使うのは、圧縮や重複排除が効いて速く見えるのを避けるためです。ゼロ埋めのファイルで測ると、環境によっては実力より速い数字が出ます。


4. 結果①:回線は設計どおり2.5倍に広がった
iperf3の結果です(10秒・単一ストリーム)。
| 項目 | 2.5GbE | 1GbE |
|---|---|---|
| 送信(sender) | 2.38 Gbits/sec | 953 Mbits/sec |
| 受信(receiver) | 2.37 Gbits/sec | 949 Mbits/sec |
| 1秒ごとの揺れ | 2.37〜2.40 Gbps | 949〜966 Mbps |
| 理論値に対する比率 | 約95% | 約95% |
どちらも理論値の95%で、比率は2.50倍。ハブもケーブルもボードも、2.5GbEの帯域をきちんと通していました。ここでつまずいていたら、この先の話は成立しません。
iperf3の値は2026年9月4日に10秒×1回で測定したものです。ケーブルは手持ちのものをそのまま使い、買い替えていません。出典:iperf3公式サイト
5. 結果②:10GBファイルは1.24〜1.37倍、1GBファイルは2倍超
まず10GBのファイルを実際にコピーした結果です(MB/s・3ラウンド)。
| ラウンド | 2.5GbE 書込A | 2.5GbE 書込B | 2.5GbE 読出 | 1GbE 書込A | 1GbE 書込B | 1GbE 読出 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 153.7 | 139.1 | 144.2 | 112.4 | 112.9 | 108.5 |
| 2回目 | 152.3 | 135.3 | 148.5 | 113.0 | 112.0 | 108.4 |
| 3回目 | 155.8 | 139.7 | 149.5 | 111.8 | 113.1 | 104.5 |
代表値は、書込がA・B計6本を小さい順に並べた中央付近の値(2.5GbE 139.7/1GbE 112.4MB/s)、読出が3本の中央値(148.5/108.4MB/s)です。読み取れることが2つあります。
1つ目:1GbEは完全に回線が壁でした。書込111.8〜113.1MB/s、読出104.5〜108.5MB/sと3回とも張り付き、理論値125MB/sの約9割です。NASもHDDも余力を残したまま回線で止められているので、2.5GbE化するとその分だけ素直に速くなります。
2つ目:2.5GbEでは、書き込みが途中で落ちます。1本目(A)は152.3〜155.8MB/sなのに、続けて書く2本目(B)は135.3〜139.7MB/sへ下がりました(3ラウンドとも)。1GBでも3回とも2本目が110〜140MB/sへ落ちています。NAS側の書き込みキャッシュが効かなくなった、と読めますが、HDDの内周・外周やファイル配置でも差は出るため原因は断定しません。
代表値に139.7MB/sという低いほうの値を採ったのは、この落ち込みを含めた「続けて使ったときの速度」のほうが実感に近いからです。1本目だけを取れば153.7MB/sで1.37倍になります。


ファイルサイズで倍率が変わる(1GB・4GBの追加実測)
同じ経路で、ファイルの大きさだけを1GB・4GBに変えて測り直しました。倍率はファイルの大きさで分かれます。
| ファイル | 書込1本目 | 書込2本目 | 読出 | 1GbE対照(書込/読出) |
|---|---|---|---|---|
| 1GB | 238.1 | 125.5 | 282.2 | 112.7/107.5 |
| 4GB | 151.2 | 130.1 | 139.4 | 測っていません |
| 10GB | 153.7 | 139.1 | 148.5 | 112.4/108.4 |
単位はMB/s、各3ラウンドの中央値です(1GB・4GBは2026年9月14日、10GBは9月8日実測)。4GBは1GbE側の対照を測っていないため、4GBの倍率は出していません。表は書込を1本目・2本目に分けています(本文の10GB代表値139.7はA・B計6本を小さい順に並べた中央付近の値)。
1GBでは、1本目の書込が2.11倍・読出が2.63倍(238.1÷112.7、282.2÷107.5)。読出の282.2MB/sは回線の実力(実測で約296MB/s相当)の95%で、ここだけは回線をほぼ使い切っています。所要時間は読出が9.1〜9.7秒→3.6秒、書込1本目が9.1秒→4.3秒でした。
ただし、この2倍超には条件が付きます。
- 読出2.63倍は3回中2回です。3回の値は282.2・282.3・100.6で、最後の1回は1GbE(107.5MB/s)を下回りました。直前の書き込みがHDDへ流れ続けていた可能性はありますが、原因は断定しません
- 4GBでは1GBのような値は出ません。書込1本目151〜157MB/s・読出136〜143MB/sと、10GBとほぼ同じ挙動でした
1GBが速いのはNASのRAM 8GBが書き込みを受け止め、読み出しもメモリから返しているため、4GBで消えるのはメモリに溜められる量が数GBより小さいため、と読めます(未確認)。2倍超が出る条件は「NASのメモリに収まる大きさ・1本目・読み出しは直後」と押さえてください。



SSDボリュームなら回線を使い切る(9月15日の追加実測)
M.2スロットにSilicon Power P34A60 256GB(DRAMレスのTLC)を挿し、HDDとは別の単独ボリュームへ同じ手順で転送しました。
- 1GBは書込280.2・読出282.4MB/s(3回ともほぼ同じ)。回線の実力(約296MB/s)の95%で、2.5GbEをほぼ使い切りました
- 10GBも最初の5本(約50GB)は書込270〜282MB/s=HDDの139.7MB/sの約2倍。ところが6本目で39.1MB/s(261.8秒)に急落し、続く4GBも2ラウンド目から48.3/37.6MB/sとHDDより遅くなりました。約8分後の1GBは280MB/sに戻りました
- 1GbE固定でも同じ位置で失速(112.1→58.1→41.9MB/s)。読出は110MB/s前後で回線が壁
SSDの温度は転送中も32℃(UGOSの表示)で、熱による失速ではありません。DRAMレスの256GBは書込を先に受ける高速領域(pSLCキャッシュ)が小さく、それを使い切ると素の書込速度に落ちる、と読めます。容量の大きいSSDやDRAM搭載品は未計測です。単一の安価なSSDは冗長性がなく、データ置き場としては勧めません。

6. なぜ大きいファイルは2.5倍にならないのか
2.5GbEの帯域は、iperf3の実測2.37〜2.38Gbpsを換算すると約296〜297MB/s相当です。1GBの読出は282.2MB/sで約95%まで迫りましたが、4GB以上の転送は最大でも157MB/s(4GB書込1本目)=帯域の半分ほどしか使えていません。メモリに収まらない大きさはHDDへ流れるからです。
- 4GBでも10GBでも、書込は1本目151〜157MB/s・2本目129〜140MB/s、読出136〜149.5MB/sの狭い範囲に収まります。ファイルを2.5倍の大きさにしても頭打ちの位置が動かない=HDD側の上限で止まっていると読めます
- RAID 1は書き込みが2本同時です。同じデータを2台のHDDへ書くため、書き込み側に余裕が生まれる構成ではありません
- したがって2.5GbEにしても回線側に140MB/s前後の余りが出る。使い切るには、NAS側のストレージを速くするしかありません
M.2 NVMe SSDのボリュームでは実測で280MB/s前後まで出ました(第5章)=回線の余りを使えるのはストレージを速くしたときだけです。NASに入れるHDDの選び方(CMR方式・容量別の実売)はNAS用HDDのおすすめに整理してあります。
今回測っていないこと:
- ルーター直結(ハブを通さない経路)との差
- 写真1,000枚のような小さいファイルを大量にコピーしたときの速度
- 1GbEでの4GB転送(4GBは2.5GbE側だけの測定です)
- SSDキャッシュ(HDDプールにSSDをキャッシュとして足す構成)の効果
7. 2.5GbE化に必要なものと、向く人・向かない人
2.5GbEはNAS・ハブ(またはルーターのポート)・PC側・ケーブルの4つがすべて2.5Gbps以上でないと成立しません。1か所でも1GbEなら、そこに全体がそろいます。
| 場所 | 必要なもの | 今回の構成 |
|---|---|---|
| NAS | 2.5GbE対応のLANポート | DXP2800(2.5GbE×1) |
| 中継 | 2.5GbE対応ハブ、またはルーターのマルチギガポート | エレコム EHC-LQ01-8 |
| PC | 2.5GbE対応のLANポート・USBアダプター・PCIeボード | LGY-PCIE-MG2(10GbEボード) |
| ケーブル | Cat5e以上でよい(買い替え不要のことが多い) | 手持ちを流用 |
ハブの選び方はNASは有線でつなぐ|ハブの選び方へ。Aterm WX11000T12のようにLAN1が2.5Gbps対応のルーターなら、ハブを買わずに1台だけつなぐ手もあります(この経路は未計測)。
向く人・向かない人
2.5GbE化で体感が変わる人
- いま1GbEで110MB/s前後に張り付いている人(回線が壁=伸びしろがそのまま出ます)
- 数百MB〜1GB級のファイルを1回ずつやりとりする人(写真の書き出し・書類・ISOイメージ1本など)。NASのメモリに収まる大きさなら、1本目の書込で2.11倍、読出で2.63倍(3回中2回)が出ました。ただし写真1,000枚のような小さいファイルを大量にコピーする速度は測っていません
- 数GB〜数十GBの動画・RAW写真をNASと日常的にやりとりする人
- NASにSSDボリュームを載せている、または載せる予定がある人(実測280MB/s前後。安い256GBは連続50GBで失速)
急がなくてよい人
- HDD 2本のRAID 1構成で、扱うのが4GB以上の大きいファイル中心の人。1GbEを卒業済みなら伸びしろは10GBあたり書込15〜25秒・読出23〜29秒です
- NASが1GbE専用機の人(Synology DS223j・BUFFALO LS220Dなど)。NAS側が対応していない以上、ハブとPCだけ替えても何も変わりません
- 主な用途がスマホ・タブレットからの写真閲覧や、Wi-Fi経由のアクセスの人(無線側が先に頭打ちになります)
速度が出ない原因が回線なのかHDDなのか分からないときは、買う前にNASが遅い原因と改善方法の切り分け手順から始めてください。買い替えずに直る原因のほうが多いからです。
PC側:USBアダプターかPCIeボードか
デスクトップPCでPCIeスロットが空いているならボード、ノートPCならUSB 3.0の2.5GbEアダプターが選択肢です。USBアダプターは数千円台、PCIeボードはそれより高くなりますが、いずれも実売は動くため各販売ページでご確認ください。
今回使ったのは10GbE対応のバッファロー LGY-PCIE-MG2(前世代)で、現行品はLGY-PCIE-MG3/Nです。10GbEボードは2.5GbEでも動きますが、HDD 2本のNASでは4GB以上のファイルで2.5GbEすら埋まりません(DXP2800 GTとDXP2800の比較)。
なお、今回測定したNAS(UGREEN NASync DXP2800)の実売は約47,900円です(2026年10月21日確認・価格.com 掲載18店のうち在庫ありの4店がこの価格)。
UGREEN公式は2026年9月にDXP2800を含む一部製品の価格改定(値上げ)を告知し、9月3日時点でメーカーの通常価格は改定後の定価65,880円になり、ヨドバシ.com・パソコン工房も同じ価格でした。改定前価格の在庫が残る店もある過渡期なので、購入前に現在価格をご確認ください。出典:UGREEN公式「価格改定のお知らせ」/UGREEN NASync DXP2800 公式製品ページ(いずれも2026年9月3日確認)
機種ごとの2.5GbEポート構成(1ポートか2ポートか・M.2を挿せるか)と本体価格の比較は、2.5GbE対応NASのおすすめ比較にまとめています。この記事は「何倍速くなるか」の実測、比較記事は「どれを選ぶか」の担当です。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 回線は2.5倍(953Mbps→2.38Gbps)。実転送の倍率はファイルの大きさで分かれます
- NASのメモリに収まる1GB級は1本目の書込2.11倍・読出2.63倍(読出は3回中2回・1回は100.6MB/s)。1GBの読出は約9.5秒→3.6秒でした
- 4GB以上はHDDが壁。10GBの実転送は書込1.24倍・読出1.37倍。SSDボリュームなら280MB/s前後(約2.5倍)ですが、安い256GB SSDは連続約50GBで失速しました
- 必要なのはNAS・ハブ・PC側・ケーブルの4点そろえ。ケーブルはCat5e以上なら流用可で、買い替えが要るのはハブとPC側です
- ルーター直結・小ファイル多数・1GbEでの4GB転送・SSDキャッシュ構成は未計測です