更新日:2026年9月8日|カテゴリ:活用術(写真・メディア)
この記事の速度は、運営者が自宅で2026年9月4日(iperf3)と9月8日(SMB転送)に実測した値です。測定はPC ─ 2.5Gbps対応ハブ ─ NASの1経路のみで、ルーター直結・CrystalDiskMark・小ファイル多数のコピーは測っていません。測った条件と測っていない条件は、本文中でそのつど明示します。
NASのカタログには「2.5GbE対応」と書いてある。ハブとPC側を替えれば2.5倍速くなるのか。この疑問に、同じNAS・同じハブ・同じファイルで回線速度だけを切り替えた実測で答えます。いま使っているNASが遅い原因の切り分けはNASが遅い原因と改善方法にまとめてあり、この記事は2.5GbE化で速度がどれだけ変わるかの実測だけを扱います。
結論:回線は2.5倍に広がる。でも実際のコピーは1.24〜1.37倍
- 回線帯域(iperf3)は 953Mbps → 2.38Gbps=2.50倍。2.5GbEの理論値の95%が出ていて、回線側はほぼ設計どおりに広がりました
- 10GBファイルの実転送は、書込 112.4 → 139.7MB/s(1.24倍)、読出 108.4 → 148.5MB/s(1.37倍)。回線が2.5倍になっても、転送は1.2〜1.4倍しか伸びません
- 壁は回線ではなくHDDです。2.5GbEの帯域は約296MB/s相当ありましたが、HDD 2本のRAID 1では読出148.5MB/s(最高でも149.5MB/s)で頭打ち=帯域のほぼ半分しか使えていません
- 得をするのは、いま1GbEで110MB/s前後に張り付いている人。1GbEは書込112.4MB/s・読出108.4MB/sで、理論値125MB/sの約9割=回線が壁になっていました
- 10GBのコピーで縮む時間は書込で15〜25秒・読出で23〜29秒(書込91秒→66〜76秒、読出94〜98秒→69〜71秒)。この差に投資する価値があるかで判断が分かれます
1. 実測値:2.5GbEと1GbEを同じ機材で比べた
同じPC・同じハブ・同じNAS・同じ10GBファイルで、PC側のリンク速度だけを2.5Gbpsと1.0Gbpsで切り替えた結果です。各3ラウンド測り、代表値は中央値を採ります(最高値は使いません)。
| 測定項目 | 2.5GbEリンク | 1GbEリンク | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 回線帯域(iperf3・送信) | 2.38 Gbps | 953 Mbps | 2.50倍 |
| SMB書込 PC→NAS | 139.7 MB/s | 112.4 MB/s | 1.24倍 |
| SMB読出 NAS→PC | 148.5 MB/s | 108.4 MB/s | 1.37倍 |
| 10GB書込の所要時間 | 66〜76秒 | 91秒前後 | 15〜25秒短縮 |
| 10GB読出の所要時間 | 69〜71秒 | 94〜98秒 | 23〜29秒短縮 |
測定条件:PC ─ エレコム EHC-LQ01-8(2.5Gbps対応8ポートハブ)─ UGREEN NASync DXP2800(2.5GbE×1・HDD 2本のRAID 1)。乱数で作った10GBファイルをSMBで転送し、各3ラウンド実施。代表値は読出が3本の中央値、書込は1ラウンドで2本書くためA・B計6本を小さい順に並べた中央付近の値です。1GbE側はPCのLANアダプターを1.0Gbps固定にした対照条件です(2026年9月4日・9月8日実測)。
回線は2.5倍、中身は1.3倍前後。この差が、この記事でいちばん伝えたい事実です。「2.5GbE対応」は帯域の話であって、ファイルコピーが2.5倍になるという意味ではありません。
2. 測定環境(機材と接続)
| 役割 | 機材 | 備考 |
|---|---|---|
| NAS | UGREEN NASync DXP2800 | 2.5GbE×1・共有はSMB(UGOS Pro) |
| NASのHDD | WD Blue 3.5インチ×2(容量表示3.6TB)・RAID 1 | SSDキャッシュなし |
| ハブ | エレコム EHC-LQ01-8 | 全8ポート2.5Gbps対応・金属筐体・ファンレス・ACアダプター |
| PC側LAN | バッファロー LGY-PCIE-MG3/N の前世代 LGY-PCIE-MG2(10GbE PCIeボード) | 相手が2.5Gbpsのためオートネゴで2.5Gbpsリンク |
| ケーブル | 手持ちのLANケーブル(Cat5e以上) | 買い替えなし |
買い足したのは2.5Gbps対応のハブ1台だけです(ケーブルとPC側のボードは手持ちを流用しました)。最新価格・在庫をチェック:



ハブの仕様はエレコム EHC-LQ01-8 公式製品ページで確認しました(全ポート2.5Gbps対応・ファンレス・金属筐体・ACアダプター・IEEE 802.3az対応・ループ検知機能/2026年9月8日確認)。
PC側のLANボードは、記事執筆時点で購入できるLGY-PCIE-MG3/Nではなく、前世代のLGY-PCIE-MG2です。どちらも10GBASE-Tまで対応するボードで、今回はNAS側が2.5GbEのため2.5Gbpsでリンクしています。10GbEボードを2.5GbEとして使った測定である点は、そのまま読んでください。
NAS本体の仕様・実機レビューはUGREEN NASync DXP2800レビューにまとめてあります。
3. 測り方(同じ手順で再現できます)
測定は2種類に分けています。回線がどれだけ広がったかと、実際のファイルコピーがどれだけ速くなったかは別物だからです。
- 回線帯域=iperf3:NAS側でiperf3サーバーを動かし、PCから10秒間の単一ストリームで測定。ディスクを一切使わないので、回線の実力だけが出ます
- 実転送=SMBで10GBファイルをコピー:乱数で作った10GBのファイルA・Bを用意し、A書込 → B書込 → A読出を1ラウンドとして3回。読出はBを書いたあとにAを読む順にして、NAS側のメモリに残ったキャッシュを押し出しています
- 共有への接続:ゲストではなくNASのユーザーアカウントでSMB接続(SMB3)
- 1GbE側の作り方:ハブもNASも替えず、PCのLANアダプターの設定で「1.0Gbps 全二重」に固定。回線速度だけを変えた対照条件です
乱数ファイルを使うのは、圧縮や重複排除が効いて速く見えるのを避けるためです。ゼロ埋めのファイルで測ると、環境によっては実力より速い数字が出ます。


4. 結果①:回線は設計どおり2.5倍に広がった
iperf3の結果です(10秒・単一ストリーム)。
| 項目 | 2.5GbE | 1GbE |
|---|---|---|
| 送信(sender) | 2.38 Gbits/sec | 953 Mbits/sec |
| 受信(receiver) | 2.37 Gbits/sec | 949 Mbits/sec |
| 1秒ごとの揺れ | 2.37〜2.40 Gbps | 949〜966 Mbps |
| 理論値に対する比率 | 約95% | 約95% |
どちらも理論値の95%で、比率は2.50倍。ハブもケーブルもボードも、2.5GbEの帯域をきちんと通していました。ここでつまずいていたら、この先の話は成立しません。
iperf3の値は2026年9月4日に10秒×1回で測定したものです。ケーブルは手持ちのものをそのまま使い、買い替えていません。出典:iperf3公式サイト
5. 結果②:ファイルコピーは1.24〜1.37倍で頭打ち
同じ経路で10GBのファイルを実際にコピーした結果です(MB/s・3ラウンド)。
| ラウンド | 2.5GbE 書込A | 2.5GbE 書込B | 2.5GbE 読出 | 1GbE 書込A | 1GbE 書込B | 1GbE 読出 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 153.7 | 139.1 | 144.2 | 112.4 | 112.9 | 108.5 |
| 2回目 | 152.3 | 135.3 | 148.5 | 113.0 | 112.0 | 108.4 |
| 3回目 | 155.8 | 139.7 | 149.5 | 111.8 | 113.1 | 104.5 |
代表値は、書込がA・B計6本を小さい順に並べた中央付近の値(2.5GbE 139.7/1GbE 112.4MB/s)、読出が3本の中央値(148.5/108.4MB/s)です。読み取れることが2つあります。
1つ目:1GbEは完全に回線が壁でした。書込111.8〜113.1MB/s、読出104.5〜108.5MB/sと、3回ともほぼ同じ値に張り付いています。1GbEの理論値125MB/sの約9割で、NASもHDDもまだ余力を残したまま回線で止められている状態です。この人が2.5GbE化すると、その分だけ素直に速くなります。
2つ目:2.5GbEでは、書き込みが途中で落ちます。1本目(A)は152.3〜155.8MB/sなのに、続けて書く2本目(B)は135.3〜139.7MB/sへ下がりました。3ラウンドとも同じ傾向で、再現性があります。10GBを2本続けて書くとNAS側の書き込みキャッシュが効かなくなり、HDDの素の速度に落ちる——という読み方はできますが、HDDの内周・外周やファイルの配置でも差は出るため、原因は断定しません。事実として書けるのは「連続で書くと2本目が10%ほど遅い」までです。
代表値に139.7MB/sという低いほうの値を採ったのは、この落ち込みを含めた「続けて使ったときの速度」のほうが実感に近いからです。1本目だけを取れば153.7MB/sで1.37倍になりますが、その数字は10GBを1本だけ置いたときのものです。


6. なぜ2.5倍にならないのか
2.5GbEの帯域は、iperf3の実測2.37〜2.38Gbpsを換算すると約296〜297MB/s相当です。対して実転送は最大でも149.5MB/s。帯域のほぼ半分しか使えていません。
理由はNAS側のHDDにあります。
- 3.5インチHDDの連続転送は150〜180MB/s前後が一般的な水準です。今回の書込1本目152〜156MB/s、読出144〜150MB/sはこの範囲に収まっていて、HDDの上限で止まっていると考えると数字がそろいます
- RAID 1は書き込みが2本同時です。同じデータを2台のHDDへ書くため、書き込み側に余裕が生まれる構成ではありません
- したがって、2.5GbEにしても回線側に150MB/s近い余りが出る。この余りを使い切るには、NAS側のストレージを速くするしかありません
M.2 NVMe SSDでボリュームを組めば回線側の上限(約296MB/s)に近づく余地はありますが、これは当サイトの実測ではなく見込みです。今回のDXP2800はHDD 2本のみの構成で、SSD構成は測っていません。NASに入れるHDDの選び方(CMR方式・容量別の実売)はNAS用HDDのおすすめに整理してあります。
今回測っていないこと(この記事の数字が答えていない範囲):
- ルーター直結(ハブを通さない経路)との差
- CrystalDiskMarkなどのベンチマークソフトによるシーケンシャル/ランダム性能
- 写真1,000枚のような小さいファイルを大量にコピーしたときの速度
- NASのメモリキャッシュに載る小さいファイル(2〜4GB級)を続けて読んだときの速度
- SSDボリューム/SSDキャッシュを載せた構成の速度
いずれも測定できたら追記します。今の時点で言えるのは、「10GB級の大きいファイルを、HDD 2本のRAID 1でやりとりする」条件での数字です。
7. 2.5GbE化に必要なものと、向く人・向かない人
2.5GbEはNAS・ハブ(またはルーターのポート)・PC側・ケーブルの4つがすべて2.5Gbps以上でないと成立しません。1か所でも1GbEなら、そこに全体がそろいます。
| 場所 | 必要なもの | 今回の構成 |
|---|---|---|
| NAS | 2.5GbE対応のLANポート | DXP2800(2.5GbE×1) |
| 中継 | 2.5GbE対応ハブ、またはルーターのマルチギガポート | エレコム EHC-LQ01-8 |
| PC | 2.5GbE対応のLANポート・USBアダプター・PCIeボード | LGY-PCIE-MG2(10GbEボード) |
| ケーブル | Cat5e以上でよい(買い替え不要のことが多い) | 手持ちを流用 |
ケーブルを買い替えなくてよい根拠と、ハブの選び方はNASは有線でつなぐ|ハブの選び方に整理してあります。ルーターのマルチギガポートを使う手もあり、Aterm WX11000T12のようにLAN1が2.5Gbps対応のルーターなら、ハブを買わずに1台だけつなぐ選択肢もあります(ただしこの経路は今回測っていません)。
PC側:USBアダプターかPCIeボードか
デスクトップPCでPCIeスロットが空いているならボード、ノートPCならUSB 3.0の2.5GbEアダプターが選択肢です。USBアダプターは数千円台、PCIeボードはそれより高くなりますが、いずれも実売は動くため各販売ページでご確認ください。
今回使ったのは10GbE対応のバッファロー LGY-PCIE-MG2(前世代)で、現行品はLGY-PCIE-MG3/Nです。10GbEボードは2.5GbEでも動くので、将来10GbEへ上げる予定があるなら選択肢に入ります。ただし今回の測定が示すとおり、HDD 2本のNASでは2.5GbEですら埋まりません。10GbEが必要かどうかはDXP2800 GTとDXP2800の比較で扱っています。
向く人・向かない人
2.5GbE化で体感が変わる人
- いま1GbEで110MB/s前後に張り付いている人(回線が壁=伸びしろがそのまま出ます)
- 数GB〜数十GBの動画・RAW写真をNASと日常的にやりとりする人
- NASにSSDボリュームを載せている、または載せる予定がある人(HDDの上限に縛られません)
急がなくてよい人
- HDD 2本のRAID 1構成で、すでに1GbEを卒業済みの人。伸びしろは10GBあたり書込15〜25秒・読出23〜29秒です
- NASが1GbE専用機の人(Synology DS223j・BUFFALO LS220Dなど)。NAS側が対応していない以上、ハブとPCだけ替えても何も変わりません
- 主な用途がスマホ・タブレットからの写真閲覧や、Wi-Fi経由のアクセスの人(無線側が先に頭打ちになります)
速度が出ない原因が回線なのかHDDなのか分からないときは、買う前にNASが遅い原因と改善方法の切り分け手順から始めてください。買い替えずに直る原因のほうが多いからです。
なお、今回測定したNAS(UGREEN NASync DXP2800)の実売は約53,000円です(2026年9月8日確認・在庫あり最安は価格.com 掲載17店のうち3店の53,237円・改定前価格の在庫は薄れつつあります)。
UGREEN公式は2026年9月にDXP2800を含む一部NASync製品の価格改定(値上げ)を告知しており、当サイトが2026年9月3日に確認した時点で、Amazonの公式出品やヨドバシ.com・パソコン工房は改定後の定価65,880円へ移行済みでした。改定前価格の在庫を残す販売店もあり、購入先で価格が大きく変わる過渡期です。購入前に各販売店の現在価格を必ずご確認ください。出典:UGREEN公式「価格改定のお知らせ」/UGREEN NASync DXP2800 公式製品ページ(いずれも2026年9月3日確認)
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 回線は2.5倍(953Mbps→2.38Gbps)、実転送は1.24〜1.37倍(書込112.4→139.7MB/s、読出108.4→148.5MB/s)。「2.5GbE対応」はコピーが2.5倍になる意味ではありません
- 壁はHDD。2.5GbEの帯域は約296MB/s相当ありましたが、HDD 2本のRAID 1では最大149.5MB/sで止まりました
- 10GBのコピーで縮むのは書込15〜25秒・読出23〜29秒。1GbEで110MB/s前後に張り付いている人には効きますが、HDD構成のままなら伸びしろはここまでです
- 必要なのはNAS・ハブ・PC側・ケーブルの4点そろえ。ケーブルはCat5e以上なら流用可で、買い替えが要るのはハブとPC側です
- ルーター直結・小ファイル・SSD構成は未計測です。測定でき次第この記事に追記します