本記事の比較は、広告報酬の多寡ではなく、公式の仕様・各アプリの公式ドキュメント・運営者の実機での記録にもとづいています。運営者が持っていてDockerを動かしたことがあるのはDS223jとUGREEN NASync DXP2800です。DS225+とQNAP TS-264は実機を持っておらず、公式情報で書いています。

NASでDocker(アプリを「コンテナ」という単位で動かす仕組み)を使い、Jellyfin・Home Assistant・Immichなどを自宅で動かしたい。そのためにNASを選ぶなら、見るのはCPUの種類・メモリの量・あとから増やせるかの3つです。

結論から言うと、動画配信や写真のAI整理まで動かすならUGREEN NASync DXP2800、広告ブロックのような軽いコンテナ1〜2本ならSynology DS223jでも動きます。Synologyの管理画面と保証を優先するならDS225+が候補です。

この記事の結論

  • Jellyfin・Immichまで動かすならDXP2800。Intel N100とメモリ8GBで、両アプリの公式推奨(8GB)を標準構成で満たします(アプリ別の表)
  • Pi-holeなど軽いコンテナ1〜2本ならDS223jでも候補です(Container Managerの稼働は運営者の実機で確認。本数は見立て)。ただしメモリは1GBで、Immichの公式最小6GBには届きません
  • Synologyの使いやすさと3年保証を優先するならDS225+。標準2GBで、Docker用途ではメモリを最大6GBまで増やす前提で考えます

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Dockerを動かすNASで見る3つの条件

NASの仕様表は容量やベイ数が目立ちますが、Dockerの快適さを決めるのは次の3項目です。

① CPUの種類:Intel系(x86)か、スマホと同じARMか

Intel系CPUのNASなら、Docker Hubのイメージ(コンテナの元になるファイル)はほぼそのまま動きます。ARM CPUのNASで動くのは、ARM向け(arm64)の版が配布されているイメージだけです。

ただ、家庭で人気のアプリは主要なものほどARM版もあります。2026年10月13日にDocker Hubで配布アーキテクチャを確認した結果です。

イメージ 配布されている版
Jellyfin(jellyfin/jellyfin) amd64・arm64
Home Assistant(homeassistant/home-assistant) amd64・arm64
Plex(plexinc/pms-docker) amd64・arm64・arm/v7
Pi-hole(pihole/pihole) amd64・arm64 ほか4種
Immich 公式がamd64とarm64で動くと明記

出典:Docker Hub の各イメージのタグ情報(jellyfin/home-assistant/pms-docker/pihole)・Immich 公式 Requirements

amd64はIntel系、arm64は64bitのARMを指します。ARM機で詰まりやすいのは、イメージが無いことより次のメモリのほうです。使いたいイメージがamd64だけで配られていないかは、Docker Hubの「OS/ARCH」欄で確かめられます。

② メモリ:動かしたいアプリの公式要件で決める

Dockerのコンテナは、動かす本数のぶんだけメモリを使います。目安は各アプリの公式ドキュメントにあります。

アプリ 公式の要件(メモリ)
Pi-hole(広告ブロック) 512MB
Jellyfin(動画配信) 平均的な用途なら8GB以上を推奨(画面のないLinuxなら4GBで足りることもある)
Immich(写真管理) 最小6GB・推奨8GB(4GBなら機械学習を切れば動く)
Home Assistant(Container版) 公式に数値の記載なし

出典:Pi-hole Prerequisites/Jellyfin Hardware Selection/Immich Requirements/Home Assistant Linux(いずれも2026年10月13日確認)

Home Assistantでよく見る「2GB」は、HA OS(Home Assistant専用のOS)を仮想マシンで動かす場合の最小値です。Container版はページに数値がなく、アプリ(旧アドオン)が使えないという違いもあります。

③ あとから増やせるか:最初は1本でも、コンテナは増える

最初はPi-holeだけのつもりでも、慣れると2本目・3本目を入れたくなります。そのときメモリを増やせるかどうかで、本体を買い替えるかが分かれます。

  • DS223j:標準1GB。データシートにメモリスロットや最大容量の項目がなく、公式に増設手段の案内がありません
  • DS225+:標準2GB・スロット1本。純正4GB(D4NS01-4G)を足して最大6GB
  • DXP2800:標準8GB・スロット1本。16GBにするには8GBを外して載せ替えます(実機レビューの第3章)

安い2ベイには、Dockerが使えない機種もある

UGREENの2ベイでも、安いNASync DH2300(29,230円)は、UGREEN運営のFAQで「Dockerを公式にサポートしない」とされています。仮想マシンも、UGREENではDXPシリーズだけの機能です。Dockerが目的なら、価格だけでDH2300を選ばないでください。

出典:UGREEN NAS ソフトウェアFAQ(2026年10月13日確認)

Docker目線で比べた3機種+参考1機種のスペックと価格

2ベイで3〜9万円の価格帯から、Dockerを動かせる4機種を並べます。用途別に勧めるのは3機種で、TS-264はメモリ16GBまで増やしたい人向けの参考として載せています。

項目 DS223j DS225+ DXP2800 TS-264-8G(参考)
CPU Realtek RTD1619B(ARM・4コア1.7GHz) Intel Celeron J4125(x86・4コア) Intel N100(x86・4コア) Intel Celeron N5095(x86・4コア)
標準メモリ 1GB 2GB 8GB(DDR5) 8GB
メモリの上限 公式に増設の案内なし 最大6GB 最大16GB(交換) 最大16GB(2スロット)
LAN 1GbE×1 2.5GbE+1GbE 2.5GbE×1 2.5GbE×2
M.2 SSD なし なし NVMe×2 PCIe Gen3 x1×2
Dockerの管理アプリ Container Manager Container Manager UGOS ProのDocker Container Station
保証 2年 3年 2年 3年
本体の実売 33,820円 61,700円 47,900円 84,800円

スペックは各機の公式データシート・取扱説明書(DS223jは2025年8月5日版、DS225+は2025年7月31日版)。価格は2026年10月9日に価格.comで確認した在庫ありの実勢で、販売店・時期によって変わります。

価格を並べると、DXP2800はDS225+より13,800円安く、メモリは4倍です。ただしDXP2800は店による差が大きく、高い店では65,880円と、DS225+より4,180円高くなります。買う前に価格を確かめてください。DS223jとの差は14,080円です。

アプリ別:公式の要件に届くか

上の公式要件を、3機種の標準メモリに当てはめました。動作を保証する表ではなく、要件に届くかどうかの突き合わせです。

アプリ DS223j(1GB) DS225+(2GB→最大6GB) DXP2800(8GB)
Pi-hole 要件内 要件内 要件内
Jellyfin 推奨に届かない 6GBに増やしても推奨の8GBに届かない 推奨を満たす
Immich 最小6GBに届かない 6GBに増やせば最小値(推奨には届かない) 推奨ちょうど

Jellyfinは、メモリのほかにCPUにも公式の見解があります。動画の変換再生(スマホなど再生する側に合わせて、画質や形式を変えながら送る処理)に推奨するCPUの例にIntel N100が入る一方、J4125を含むIntelの第11世代以前のJ・M・N・Yシリーズは推奨から外れています。市販NASについては「Intel AtomやRealtekのARM CPUのような、遅すぎる低価格CPUを積んでいることがある」として、問題の出やすいハードウェアに分類しています。

DS225+は、2025年世代のSynologyではPlex・Jellyfinでの変換再生がDSMの標準状態で効かない点にも注意が必要です(DS225+とDS223jの比較の⑤)。

Immichは、データベースをネットワーク共有に置かず、ローカルのSSDに置くよう公式が勧めています。インストールにはdocker compose(v2)が必要です。

SynologyのDS223j・DS225+でDockerが動くかの確かめ方

DS223j・DS225+は、どちらもSynologyのDocker管理アプリ「Container Manager」が使えます(DS223jは運営者の実機で確認)。Container ManagerはIntel系のPlusシリーズだけでなく、64bit ARMの機種向けにも公式に配布されています。最新版(24.0.2-1706)の配布ファイルはarmv8向けとx86_64向けの2種類で、DS223jのCPU(RTD1619B)はSynologyの開発者向け資料でarmv8に分類されています。

出典:Container Manager 配布アーカイブ/Synology Developer Guide「Platform and Arch」(いずれも2026年10月13日確認)

データシートには「Container Manager」の項目がないので、ほかの機種はSynology公式のContainer Managerページの対応モデル欄で確かめてください。対応機種の調べ方とインストールから最初のコンテナまでの手順は、SynologyのNASでDockerを使う方法にまとめています。

QNAPのContainer Stationは、Intel系・64bit ARM・32bit ARMのどれでもDockerが動き、最小メモリは1GBです(QNAP公式)。

運営者の実機で動かしてわかったこと

DXP2800:コンテナ2本を24時間動かして、使用済みは1.77GB

DXP2800では、Docker Composeで組んだ2つのコンテナ(Tailscale用と、AIの開発ツールClaude Codeを動かす作業用)を、数か月間24時間動かしています(構築の記録)。

2026年8月31日に、Dockerとファイル共有を動かしたままメモリを見ると、合計7.51GBのうち使用済み1.77GB・キャッシュ5.28GB(使用率23.63%)でした。キャッシュはアプリが必要とすれば空けられる領域なので、この構成なら標準の8GBに余裕があります。CPU使用率は1%、温度は46℃で、これは負荷の軽い時間帯の1枚です。

UGOS Proのタスクマネージャー メモリタブ。合計7.51GB、使用率23.63%、使用済み1.77GB、キャッシュ5.28GB、残り463.36MBと表示されている
運営者のDXP2800のメモリ(2026年8月31日)。Dockerのコンテナ2本(Tailscale用・作業用)とファイル共有を動かしたままで使用済み1.77GB。Jellyfin・Immichは動かしていません。

つまずいたのは導入直後です。UGOS ProでDockerを入れたあと、ユーザーをdockerグループに追加しても、ログインし直すまでは権限エラー(permission denied)が出ました。大きなnpmビルドのような重い処理は、N100だと遅いと感じます。メモリは購入時の8GBのままで、16GBへの交換は試していません。

DS223j:Container Managerは動くが、メモリ1GBの壁がある

DS223jの実機でも、パッケージセンターにContainer Managerが表示され、2026年9月6日の時点で24.0.2-1543が稼働していました(DS223jの実機レビュー)。「ARMのNASではDockerが動かない」は、少なくともDS223jでは当てはまりません。

ただしメモリ1GBのため、家族が同時に操作するとDSMの管理画面がカクつきます(ファイルの同期は止まりません)。この体感から、DS223jで常に動かすのは軽いコンテナ1〜2本までと見ています。メモリ使用率を測った値ではなく、運営者の見立てです。

用途別:どれを買うか

やりたいこと 選ぶ機種 理由
Jellyfinで動画配信・Immichで写真整理 DXP2800 両アプリの公式推奨8GBを標準で満たし、N100はJellyfinの推奨CPUの例に入る
Pi-holeなど軽いコンテナ1〜2本 DS223j 実機でContainer Managerが稼働。本体33,820円
Synologyのアプリと3年保証を優先し、Dockerも使う DS225+ Intel系CPUでamd64のイメージがそのまま動く。メモリは6GBまで増やせる。Jellyfinの変換再生には向かない
Jellyfin・Immichに加えてコンテナを何本も常駐させ、8GBで足りなくなった DXP2800(16GBに交換)かTS-264 どちらもメモリ最大16GB

迷ったら、動かしたいアプリの名前を書き出して、上の公式要件と比べてください。Immichが1つでも入るなら、6GB以上のメモリを積める機種が前提です。

DS225+はDXP2800より高い一方、SynologyのDSMと3年保証が強みです。Docker用途で選ぶなら、本体価格に純正4GBメモリの代金も足して比べてください。

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軽いコンテナ1〜2本でよいと決めた人向けに、DS223jについては記事の最後で改めて紹介しています。

NAS全体の中から用途と予算で選び直したいときは家庭用NASおすすめランキングを、質問に答えて構成と総額を出したいときはNAS構成診断を使えます。

よくある質問

Q1. DS223jでDockerは使えますか?
A. 使えます。運営者のDS223jではContainer Manager 24.0.2-1543が稼働しています(2026年9月6日確認)。ただしメモリは1GBで、公式に増設手段の案内がありません。arm64版のあるイメージを、軽いものから1〜2本にとどめるのが無難です。
Q2. DS225+でDockerは使えますか?
A. Intel系CPU(Celeron J4125)なので、x86_64向けのContainer Managerが使えます。標準メモリは2GBです。Immichを動かすなら、純正4GBを足して6GB(公式の最小値)にする前提です。Jellyfinの動画の変換再生が目的なら、メモリ・CPU・標準設定の3点で不利なので、DXP2800を選ぶほうが無難です。当サイトはDS225+の実機を持っていません。
Q3. UGREENのNASならどれでもDockerが使えますか?
A. 使えない機種があります。UGREEN運営のFAQでは、DH2300はDockerを公式にサポートせず、DH4300 Plusと現行のDXPシリーズはサポートするとしています。仮想マシンはDXPシリーズだけです。
Q4. QNAPのNASでもDockerは使えますか?
A. 使えます。管理アプリはContainer Stationで、QNAP公式の動作要件はIntel系・64bit ARM・32bit ARM、最小メモリ1GBです。
Q5. ARMのNASでもJellyfinやHome Assistantは動きますか?
A. どちらもDocker Hubでarm64版が配布されています(2026年10月13日確認)。ただしJellyfin公式は、市販NASについて「Intel AtomやRealtekのARM CPUのような、遅すぎる低価格CPUを積んでいることがある」として、問題の出やすいハードウェアに分類しています。当サイトはDS223jでこの2つを試していません。

まとめ

  • Docker用のNASは、CPUの種類・メモリの量・あとから増やせるかの3つで選びます。Pi-holeのように軽いアプリと、JellyfinやImmichのように8GBを求めるアプリでは、必要な機種が変わります
  • Jellyfin・Immichまで動かすならDXP2800。両アプリの公式推奨8GBを標準で満たします
  • 運営者のDXP2800では、別のコンテナ2本(Tailscale用・作業用)を24時間動かして使用済みメモリ1.77GBでした。Jellyfin・Immichはまだ試していません
  • 軽いコンテナ1〜2本ならDS223jでも動きます。Synologyを使いつつメモリにも余裕がほしいならDS225+を6GBに増やして使います(Jellyfinの変換再生には向きません)
  • 安い機種にはDH2300のようにDockerが使えないものがあるので、メーカーの対応表で確かめてから買ってください

買ったあとの導入手順はSynologyのNASでDockerを使う方法に、DXP2800の実機の詳しい評価はDXP2800レビューにあります。

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