無印DXP2800は運営者が購入して24時間連続稼働させている実機です。いっぽう DXP2800 GTは当サイトでは保有しておらず、UGREEN公式の製品仕様と公開情報にもとづく比較になります。速度の実測値はすべて無印での計測で、GTを「実機で測った」と読める書き方はしていません。

結論:10GbEは本体を替えれば手に入る。でも「10GbEの速度」は本体を替えても手に入らない

UGREEN NASync DXP2800 GT(実売59,390円)と無印DXP2800(実売53,000円)の違いは、ネットワーク・CPU・メモリ上限の3点にほぼ集約されます。差額は6,390円です(無印9月8日・GT9月3日確認。当サイトの実勢基準値どうし)。

この差額は、いくらで買えるかによって変わります。無印は2026年9月の価格改定の移行期で、価格.comの在庫あり最安(53,237円)で買えれば差は6,000円台、Amazonの公式出品どうしなら4,000円です。どちらの買い方でもGTのほうが高く、逆転はしていません(詳しくは第3章)。

差が縮んでも、払って手に入るのは「10GbEポート」であって「10GbEの速度」ではありません。当サイトの無印DXP2800(HDD 2本のRAID 1)で10GBのファイルを転送すると、2.5GbE接続でも書き込み139.7MB/s・読み出し148.5MB/sでした(2026年9月8日実測・3ラウンドの中央値)。同じ経路の回線側はiperf3で2.38Gbps=約296MB/s出ていて、頭打ちの原因はネットワークではなくHDD側です。2.5GbEの帯域を半分しか使えていない機械を10GbEにつないでも、速くはなりません。

10GbEが効くのはデータ領域そのものをM.2 NVMe/U.2 SSDで組む構成だけで、しかもPC側のLANカードと、多くの場合は10GbE対応スイッチが要ります。本体差額を含めた上乗せは、スイッチを買うフル構成で約4万円、PCとNASを直結するなら約1.5万円(ケーブル代別・内訳は第3章)。

HDDでNASを組む多くの家庭では、無印DXP2800のままで困りません。差額が縮んだこと自体は、GTを選ぶ理由になりません。GTが活きるのは、SSD運用・10GbE環境あり・Docker/VMの多重稼働・メモリ64GB拡張のどれかに当てはまる人です(第4章)。

1. DXP2800 GTと無印DXP2800の違いは、実質3点だけ

違いは次の3点です。

  • LAN:2.5GbE×1 → 10GbE×1
  • CPU:Intel N100(4コア4スレッド) → AMD Ryzen Embedded R2514(4コア8スレッド)
  • メモリ上限:16GB → 64GB(ECC対応SO-DIMMは別途購入)

ベイ数・最大容量80TB・RAIDの選択肢・寸法・保証2年は同じです。公式仕様を並べます。

項目 無印DXP2800 DXP2800 GT
CPU Intel N100(4コア4スレッド・最大3.4GHz) AMD Ryzen Embedded R2514(4コア8スレッド・ブースト3.7GHz)
内蔵GPU Intel UHD Graphics(Quick Sync対応) AMD Radeon系(Intel Quick Syncは非搭載
メモリ DDR5 8GB/最大16GB DDR4 8GB/最大64GB(ECCメモリに対応)
ドライブベイ SATA×2 + M.2 NVMe×2 SATA×2 + M.2 NVMe×2(ベイはU.2 SSDにも対応)
最大容量 80TB(32TB×2+8TB×2) 80TB(32TB×2+8TB×2)
LAN 2.5GbE×1 10GbE×1
RAID JBOD/Basic/RAID 0/RAID 1 JBOD/Basic/RAID 0/RAID 1
消費電力 16.38W(アクセス時)/5.24W(休止時) 公式に記載なし=当サイトでは未確認
実売(無印9月8日・GT9月3日確認) 53,000円(改定後の価格で売る店は65,880円) 59,390円(Amazonの公式出品は69,880円)

出典:UGREEN NASync DXP2800 GT 公式製品ページUGREEN NASync DXP2800 公式製品ページ(いずれも2026年8月3日閲覧)。GTのプロセッサ(AMD Ryzen Embedded R2514)・最大ターボ3.7GHz・メモリ(SODIMM DDR4/ECC対応・最大64GB)・U.2×2対応・10GbE×1・RAIDの選択肢は、UGREEN公式の取扱説明書「DXP2800 GT 取扱説明書(A01)」13ページの仕様表で当サイトが確認しました(2026年8月20日)。記事内の価格の確認日は2026年9月3日です。

違い① ネットワークが2.5GbE → 10GbE

GTの一番の売りです。理論値では312.5MB/sから1,250MB/sへ、帯域が4倍になります。

ただし「読み込み1,250MB/s・書き込み315MB/s」という数字を見かけても、NASの実測値ではありません。リンク速度を割り算した理論値どうしの比較(10,000Mbps÷8=1,250MB/s、2,500Mbps÷8=312.5MB/s)で、「読み込みが速く書き込みが遅い機種」と読むのは誤りです。

運営者が24時間稼働させている無印UGREEN NASync DXP2800(右・黒)の背面。2.5GbEのLANポートが1つだけ搭載され、LAN緑LEDが点灯している
運営者所有の無印DXP2800の背面実機写真。LANは2.5GbE×1で、GTもポート数は同じく1つ(規格が10GbEになる)です。左の白い機体は同じ棚のSynology NAS。

違い② CPUがIntel N100 → AMD Ryzen Embedded R2514

4コア4スレッドから4コア8スレッドになり、ブーストクロックも3.4GHzから3.7GHzへ上がります。Dockerコンテナを何本も常駐させる、仮想マシンを動かすといった同時にいくつも処理を走らせる使い方では、スレッド数が倍のGTが有利になりやすいと考えられます。

いっぽうで内蔵GPUの性格は逆転します。無印のN100はIntel Quick Sync Videoに対応しますが、GTのCPUはAMD製なのでIntel Quick Syncは搭載していません(Quick SyncはIntel独自の技術です)。PlexやJellyfinのハードウェアトランスコードはQuick Syncを使う実装が多く、この用途では無印のほうが有利になりうるということです。

ただし「Quick Syncが無い」と「ハードウェアトランスコードが一切できない」は別の話です。AMDの内蔵GPUも独自のエンコード機構を持つため使える可能性は残りますが、PlexやJellyfinがGTのGPUを実際に使えるかは当サイトでは確認できていません。GTでのハードウェアトランスコードを当てにして買うのは避けてください。

CPUがAMD Ryzen Embedded R2514であることは公式取扱説明書(DXP2800 GT・A01)13ページで当サイトが確認しました(2026年8月20日)。Intel Quick Syncを搭載しないという記述は「AMD製CPUである」という事実からの帰結です。内蔵GPUがRadeon系という部分は海外レビュー(NASComparesAbsolute Geeks)の指摘で、公式仕様にGPU・TDPの記載はありません。

違い③ メモリ上限が16GB → 64GB、ECCメモリに対応

無印は16GBが上限です。GTはSO-DIMMを載せ替えて64GBまで増やせます。仮想マシンを複数動かす・大量の写真をAI解析するといった重い使い方を将来やるつもりなら、この差は効いてきます。

ECCは言葉の意味を正確に押さえてください。公式の表現は「ECCメモリによる高い信頼性も実現できます」で、標準で載っているメモリはECCではないと海外レビューが報告しています。ECC対応SO-DIMMを別途買って載せ替える必要があり、「GTを買えばECCが効く」ではありません。なお無印の「ODECC」はDDR5規格のオンダイECCで、NAS全体のデータ経路を守る本来のECCとは別物です。

変わらないところも押さえておく

  • 最大容量80TB・RAIDの選択肢・保証2年は同じ。2ベイなのでどちらもRAID 5/6は組めません
  • LANポートの本数は1つずつ。GTも10GbEが1ポートで、予備の2.5GbEはありません
  • SDカードリーダーはどちらも非搭載(上位のDXP4800 GTには搭載)

2. HDD 2本のNASでは、10GbEは埋まらない

ネットワークという管をいくら太くしても、そこへ水を送り出すポンプ(=ストレージ)が非力なら速度は出ません。ここが本記事の核心です。

RAID 1の書き込みはHDD 1本ぶんが上限

2ベイのRAID 1は、同じデータを2本のHDDへ同時に書きます。ということは、書き込み速度は速いほうではなく1本ぶんの速度で頭打ちになります。NAS用HDDのカタログ値(内部転送速度)は、WD Red Plusで180MB/s(4TB・6TB)〜215MB/s(8TB)の水準です。

出典:WD Red Plus HDD データシート(WD40EFZZ/WD60EFPX=180MB/s、WD120EFBX=196MB/s、WD80EFPX=215MB/s)。この数値はデータシートの公表値として各所に転載されているもので、当サイトはPDF本文の記載を目視確認できていません。メーカーのカタログ値で、実際のファイル転送ではこれより低い値で推移します。

つまりHDD 2本のRAID 1は、カタログ値でも毎秒200MB前後が上限ということです。2.5GbEの理論値312.5MB/sにすら届きません。

当サイトの実測:2.5GbEでも139〜148MB/s、回線は半分余った

実際に測りました。運営者宅の無印DXP2800(WD Blue 4TB×2(容量表示3.6TB)・RAID 1)をエレコム EHC-LQ01-8(2.5GbEハブ)経由でPC(Buffalo LGY-PCIE-MG2)につなぎ、10GBの乱数ファイルをSMBで転送した結果です。1GbEの列は同じPCのLANカードを1.0Gbps固定にした対照です。

測定 2.5GbE 1GbE 倍率
SMB 書き込み(PC→NAS) 139.7MB/s 112.4MB/s 1.24倍
SMB 読み出し(NAS→PC) 148.5MB/s 108.4MB/s 1.37倍
iperf3(回線そのものの帯域) 2.38Gbps(約296MB/s) 953Mbps(約119MB/s) 2.50倍

当サイトの実測です(SMB転送=2026年9月8日・各3ラウンドの中央値/iperf3=2026年9月4日・10秒×1回)。NASはUGREEN NASync DXP2800(無印・UGOS Pro)+WD Blue 4TB×2(容量表示3.6TB)のRAID 1、iperf3のサーバーはDXP2800上のDockerコンテナです。使ったドライブはNAS用のRed Plusではなく、連続転送150〜180MB/s級のWD Blueなので、上表より速いHDDならもう少し伸びます。それでも上限は毎秒200MB前後(前掲のカタログ値)で、2.5GbEの296MB/sには届きません。

回線だけを見れば2.5GbEは理論値の95%(2.38Gbps=約296MB/s)まで出ているのに、ファイル転送は139〜148MB/sと回線の半分に届いていません。1GbEから2.5GbEへ替えて伸びたのは1.24〜1.37倍で、回線の伸び(2.50倍)には遠く及びませんでした。壁はネットワークではなくHDD 2本のRAID 1のほうです。

回線が半分余っている以上、同じHDD構成のまま10GbEへ替えてもこの数字は動きません。データ領域をSSDにすれば回線側の上限(約296MB/s)まで伸びる余地はありますが、当サイトのDXP2800にSSDは積んでおらず、そこは実測していません(見込みの話です)。測定手順と全ラウンドの数値はNASの2.5GbE化は何倍速い?にまとめました。

いま遅いと感じているなら、原因はLANではないかもしれません

「NASが遅い」の原因は、LAN規格よりWi-Fi区間・SMBの設定・HDDの状態にあることが少なくありません。買い替える前に切り分けたほうが安く済みます。手順はNASが遅いときの改善手順にまとめました。

10GbEが効くのはSSDでデータ領域を組む構成だけ

GTはベイ1・2がU.2 SSDに対応し、M.2 NVMeスロットも2つあります。データ領域そのものをSSDにすれば、HDDのように毎秒200MBで頭打ちになりません。ここまでやって、はじめて10GbEが仕事を始めます。

ただしM.2スロットのPCIeレーン数は公式仕様に記載がなく、GTをNVMe SSD構成+10GbEで測った公開実測も、当サイトは執筆時点で見つけられていません。SSDでの速度を根拠に買うなら、実測レビューが出るまで待つ判断もあります。なおNVMe SSDはNANDフラッシュ高騰で1TBクラスでもNAS用HDD 1本に近い相場です(NAS用SSDの選び方NAS用HDDのおすすめ)。

3. 10GbEを実際に使うまでにかかるお金

10GbEはNAS単体では成立しません。PC側とその間の配線まで揃って、はじめて速度になります

必要なもの 金額(2026年9月3〜8日に確認) 備考
本体差額(GT − 無印) 6,390円 59,390円 − 53,000円。買う店によって変わります(下記)
10GBASE-Tが2ポート以上のスイッチ 25,062円 QNAP QSW-2104-2T-R2(10GbE×2+2.5GbE×4)
PC側の10GbE LANカード 8,999円〜 1万円前後から。QNAPなどのメーカー品は3万円台
Cat6Aケーブル 別途 実売価格は当サイト未確認
合計A:スイッチ経由(PCを複数台つなぐ) 40,451円(ケーブル代別) 各項目の安い側を積んだ試算。LANカードにメーカー品(3万円台)を選ぶと2万円以上増えます
合計B:PCとNASを直結(PC1台だけ) 15,389円(ケーブル代別) スイッチ代が不要。PC側にインターネット用の別LANポートが必要です

スイッチの価格は価格.com掲載の在庫あり最安(2026年9月3日確認)。LANカードの8,999円はAmazonで在庫のある10Gtek X540-T2相当(Intel X540搭載品)の価格で、価格.com掲載の同型は1店のみの出品です。LANカードは9,000〜34,000円の幅で見ておくことをおすすめします(上限側の目安はQNAP QXG-10G1T/Aの34,375円)。

無印DXP2800は2026年9月に値上げ(価格改定)=いまは移行期

UGREENは公式サイトで「価格改定のお知らせ」を出し、2026年9月から DH2300・DH4300 Plus・無印DXP2800・DXP4800 GT の4機種の販売価格を改定すると告知しました(理由は製造コストの上昇)。2026年9月3日時点で、Amazonの公式出品(販売元 Ugreen Japan)・ヨドバシ.com・パソコン工房は無印DXP2800を65,880円で売っていました。9月8日に価格.comを再確認すると、改定前価格の在庫が薄れて在庫あり最安は53,237円(掲載17店のうち3店)です。同じ機種が、店によって2つの価格帯に分かれています。

買い方 GT 無印 差額
価格.comの在庫あり最安で無印を買う 59,390円 53,237円 6,153円
Amazonの公式出品どうし(無印は改定後価格) 69,880円 65,880円 4,000円

GTは今回の価格改定の対象外で、69,880円は従来からのAmazon公式出品価格です。本記事が結論・費用表で使う差額6,390円は、実勢の基準値として採っている無印53,000円をもとにした値で、上表の6,153円(価格.com最安53,237円)と同じく「価格.comの在庫あり最安で買えた場合」の6,000円台です。初出(2026年8月3日)時点の差額は18,880円でした。改定前価格の在庫が捌ければ差はさらに縮む見込みですが、逆転はしていません。

差が近づくと「これだけの差ならGT」と考えたくなりますが、10GbEを活かせるかは本体価格ではなく中身で決まります。HDD 2本のRAID 1で組むかぎり、差額が4,000円でも6,000円台でも実測は139〜148MB/sのままです(第2章)。

出典:UGREEN 価格改定のお知らせ価格.com UGREEN DXP2800価格.com UGREEN DXP2800 GT(無印の価格.comは2026年9月8日、ほかは9月3日確認)。公式のお知らせに改定後の金額の記載はなく、上表の65,880円・69,880円は当サイトが販売各店の表示価格を確認した値です。価格は変動します。

スイッチ・ノートPC・買い替えで引っかかる点

  • 10GBASE-Tが1ポートだけのスイッチは2ポート機と価格が大差ないうえ、NASとPCの両方を10GbEでつなげません。2ポート以上のモデルを選んでください。
  • 使うPCが1台だけなら直結(合計B)が現実的です。PCに挿した10GbEカードとNASを1本のケーブルで結ぶ形で、スイッチ代が要りません。
  • ノートPCはThunderbolt/USB4対応のアダプタが必要で、PCIeカードより高くつくのが一般的です(実売価格は当サイトでは未確認)。
  • すでに無印を持っている人が出すのは差額ではなくGT本体の59,390円そのものです。手元の無印を売って戻る金額のぶんだけ差額に近づきます。

4. GTを選ぶ価値がある人/無印で十分な人

DXP2800 GTを選ぶ価値がある人

  • データ領域をM.2 NVMeやU.2 SSDで組むつもりがある(10GbEが効く唯一の構成)
  • すでに10GbE環境がある、またはスイッチとLANカードに3万円台〜を出せる
  • Dockerコンテナや仮想マシンを同時に複数動かしたい(4コア8スレッド)
  • 将来メモリを16GB超に増やす見込みがある(無印は16GBが上限)
  • ECC対応SO-DIMMを別途購入して長期のデータ整合性を高めたい

複数当てはまるなら、差額6,390円は使い切れる見込みがあります。本記事の59,390円は価格.com掲載店の在庫あり最安で、下のリンク先は2026年9月3日時点のAmazonの公式出品=69,880円ですいま実際にいくらで買えるかは下のボタンから確認できます(本記事の確認日は2026年9月3日です)。

無印DXP2800で十分な人(=買い替えなくていい人)

  • HDD 2本でRAID 1という一般的な使い方(10GbEは活かせません)
  • PlexやJellyfinでハードウェアトランスコードしたい(Quick Syncがあるのは無印)
  • 24時間つけっぱなしで消費電力を抑えたい(無印は公式値でアクセス時16.38W・休止時5.24W)
  • 家のネットワークが1GbE/2.5GbEのままで、当面変える予定がない
  • 本体の予算を抑えたい(価格.comの在庫あり最安なら5万円台)

無印はアクセス時の16.38Wで24時間365日動かし続けても、31円/kWhなら電気代は年およそ4,000〜5,000円です(計算のしかたはNASの電気代の計算)。GTの消費電力は公式に公開されておらず同じ試算ができないので、年間の電気代を先に知りたい人には不利な材料です。

無印は当サイトが24時間稼働させている実機です。下のリンク先(Amazonの公式出品)は2026年9月3日時点で改定後の65,880円で、本記事の53,000円は9月8日に確認した在庫あり最安帯の値です(第3章)。どちらの価格帯かは日々変わるので、現在の価格と在庫は下のボタンから確認できます

運営者宅の無印は2026年8月28日まで1GbE接続で、8月29日にルーターのマルチギガポートへつなぎ替えました。第2章の表は同じ機材で1GbE(NICを1.0Gbps固定)と2.5GbEを測り比べた値で、10GBを送る時間は書き込みで91秒→66〜76秒。写真や動画をまとめて移すときは体感できる差ですが、回線の伸び(2.5倍)どおりにはなりません。24時間連続稼働のClaude Code専用サンドボックスとしても、ネットワークが足を引っ張った場面はありません(DXP2800の実機レビューサンドボックス構築記録)。

5. GTを買う前に知っておきたい弱点

上位機種だから全部が良い、という話ではありません。当サイトが公開情報から拾った弱点を並べます。

  • 2ベイなのでRAID 5/6は組めない。冗長構成にすると容量は半分です
  • 10GbEは1ポートのみ。上位のDXP4800 Plusのような別系統のLANはありません
  • Plexが公式アプリストアに無い(Dockerでの導入は可能)
  • Intel Quick Syncを持たない。Quick Syncに依存するトランスコードでは無印が有利になりえます
  • OSはeMMC固定。他OSへの入れ替えはやりにくいです
  • 消費電力が公式に非公開。無印の16.38W/5.24Wと比べられません
  • 国内のユーザー評価がまだ少ない。価格.comのレビュー・クチコミは2026年9月3日時点で0件です(掲載16店)

弱点の多くは海外レビュー(Absolute Geeks・mightygadget・NASCompares)の指摘で、当サイトの実機確認ではありません。公式が示すファンの騒音値29〜34dBはファン単体の仕様で、HDDを積んだ実機の騒音とは別です。

GTは2026年7月3日発売で、日本語の実機レビューがほとんど出ていません。発売直後の製品は情報が出そろっていないぶんだけ判断材料が少ない点は、価格とは別のコストとして見ておいてください。なお2026年7月上旬の55,900円は予約記念価格で、現在は終了しています。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. DXP2800 GTと無印DXP2800の違いは何ですか?
A. ①LANが2.5GbE→10GbE ②CPUがIntel N100(4コア4スレッド)→AMD Ryzen Embedded R2514(4コア8スレッド) ③メモリ上限が16GB→64GB(ECCにはECC対応SO-DIMMの別途購入が必要・標準搭載は非ECC)の3点です。ベイ数・最大容量80TB・RAID・保証2年は同じ。実売の差額は6,390円(無印9月8日・GT9月3日確認)ですが、無印が価格改定の移行期のため買う店で変わります(Q3)。
Q2. 家庭用NASに10GbEは必要ですか?
A. HDDでデータ領域を組むなら、ほとんどの家庭で必要ありません。当サイトの無印DXP2800(HDD 2本のRAID 1)は2.5GbE接続でも書き込み139.7MB/s・読み出し148.5MB/sで(2026年9月8日実測)、回線側はiperf3で約296MB/s出ています。頭打ちの原因はHDDです。10GbEが効くのはM.2 NVMeやU.2 SSDをデータ領域にする構成です。
Q3. 無印DXP2800の値段が上がったと聞きました。GTとの差額はいくらですか?
A. どこで買うかで変わります。UGREENが2026年9月に無印DXP2800を含む一部製品の価格改定を告知し、Amazonの公式出品・ヨドバシ.com・パソコン工房は65,880円へ移りました。いっぽう価格.comの在庫あり最安は53,237円で、掲載17店のうち3店です(2026年9月8日時点)。この最安で買えればGTとの差は6,153円、Amazonの公式出品どうし(改定後の無印65,880円・GTは改定対象外の69,880円)なら4,000円で、どちらの買い方でもGTのほうが高い状態です
Q4. すでに無印DXP2800を持っています。GTに買い替えるべきですか?
A. HDD 2本で運用しているなら、買い替えても体感速度はほとんど変わらない可能性が高いです。当サイトの無印は2.5GbEでも書き込み139.7MB/s・読み出し148.5MB/sで、回線の帯域(約296MB/s)が半分余っているからです。買い替えで出ていくのは差額ではなくGT本体の59,390円で、10GbEを使うにはPC側のLANカード(直結しないなら10GbEスイッチも)が要ります。SSD運用に切り替える予定があるかが分かれ目です。

まとめ:迷っているなら、先に「中身」を決める

この記事の要点

  • 違いは10GbE・CPU・メモリ上限の3点。最大容量80TB・RAID・保証2年は同じ
  • 差額は6,390円(当サイトの実勢基準値どうし・無印9月8日・GT9月3日確認)。無印が9月の価格改定の移行期のため、Amazonの公式出品どうし(GTは改定対象外)なら差は4,000円
  • HDD 2本のRAID 1では10GbEは埋まらない。当サイトの無印の実測は2.5GbEでも書き込み139.7MB/s・読み出し148.5MB/sで、回線(約296MB/s)は半分余った=差額が縮んでもこの結論は変わらない
  • 10GbEを使うには本体差額を含めてスイッチ込みで40,451円、PC直結なら15,389円(ケーブル代別)
  • Intel Quick Syncがあるのは無印だけ(GTはAMD製CPU)。Plex用途では上位機が不利になりうる(GTのGPUを使えるかは当サイト未確認)
  • GTの消費電力は公式非公開=無印のような電気代の試算ができません

決める順番は本体ではなく中身からです。HDDで組むと決めているなら10GbEは持て余します。SSDでデータ領域を組む、Dockerと仮想マシンを何本も走らせる予定があるなら、GTの差額は投資として意味を持ちます。判断がつかないときは、まず無印で始めて足りなくなってからGTを検討しても遅くありません。NASは中身のHDDを載せ替えれば長く使える機器です。本体のグレードを上げるより、HDDの容量と冗長構成を先に決めたほうが後悔しにくい買い物になります。

参考・出典:
・UGREEN公式製品ページ:NASync DXP2800 GTNASync DXP2800(2026年8月3日閲覧)
UGREEN「価格改定のお知らせ」(2026年9月3日閲覧)
WD Red Plus HDD データシート(内部転送速度)
価格.com UGREEN DXP2800 GT同 DXP2800(無印)(GTは2026年9月3日、無印は9月8日確認)
mightygadget「UGREEN DXP2800 GT NAS Review」