結論:原因の切り分けが先。買うのはいちばん最後です

NASが遅い原因は①ネットワーク層(LAN・ルーター) ②ディスク層(HDD/SSD・RAID) ③NAS本体層(CPU・メモリ・ファームウェア)の3層に分かれます。どこが詰まっているか分からないまま機材を買うと、外れた層に払うことになります。

0円でできる切り分けの順序:
①今のリンク速度を確認(Windowsのアダプター状態/NASの管理画面。1.0Gbps表示ならLANのリンク速度が上限) → ②Wi-Fiなら有線で再測定 → ③大きな1ファイルと小さいファイル群でコピー速度を比べる(どちらも遅ければネットワーク層、小ファイル群だけならディスク・プロトコル側) → ④NASのCPU負荷とバックグラウンド処理(インデックス作成・スクラビング・バックアップ)を確認 → ⑤足りない所だけ買う(2.5GbE化はスイッチとPC側。ケーブルは劣化・断線・Cat5以下か新規配線のときにCat6A)。

LANが1GbEで頭打ちだと分かった場合、2.5GbE化で伸びる幅はHDDのNASなら10GB級のファイルで1.2〜1.4倍です(当サイト実測:書込112→140MB/s・読出108→149MB/s。NASのメモリに収まる1GB級は1本目が2倍超)。SSDボリュームなら回線の上限近くまで伸びます(当サイト実測280MB/s前後・2026年9月15日。ただし安い256GBのDRAMレスSSDは連続約50GBの書込で失速しました)。SSDキャッシュ導入は最後の手段です。2026年9月1日時点もキャッシュ用SSDは品薄で(定番のWD Red SN700は500GBが実質1店・35,000円、1TBと250GBは当サイトで実勢価格を確認できていません)、切り分けと2.5GbE化で伸ばすほうが確実です。

1. NASが遅くなる7つの原因(2026年版)

原因層改善コスト体感効果
無線Wi-Fi接続ネットワーク0円(有線化)★★★★
RAIDの整合性チェック中ディスク0円(待機)★★
ファームウェアが古いNAS本体0円★★
ルーター・スイッチが1GbE止まりネットワーク8,000円〜★★★★★
SMRハードディスクの使用ディスクHDD買替★★★
メモリ不足(2GB以下)NAS本体3,000円〜★★★
Cat5以下・劣化したLANケーブルネットワーク1,500円〜★★★★

本記事の価格は項目ごとに確認日が異なります。WD Red SN700は2026年9月1日、UGREEN NASync DXP2800は9月3日、NAS用HDD(WD Red Plus 4TB)とルーター2機種(Aterm WX11000T12・Aterm 19000T12BE)は8月21日、Synology DS225+は8月19日に確認した値です。それ以外(LANケーブル・スイッチ・USBアダプタ)は7月25日確認時点の参考実売で、記事内でこれが最も古い確認日です。とくにHDD・SSDは2026年に入って値動きが大きいため、購入前に各販売ページで最新の価格・在庫を必ずご確認ください。

2.5GbEの速度は当サイトが2026年9月8日に実測しました。PC─2.5Gハブ(エレコム EHC-LQ01-8)─UGREEN NASync DXP2800(WD Blue 4TB×2(容量表示3.6TB)・RAID 1)で10GBファイルを3回転送した中央値は、書込112.4→139.7MB/s・読出108.4→148.5MB/s。1GbE側は同じPCのNICを1.0Gbpsに固定した対照です。回線側はiperf3で953Mbps→2.38Gbps(2.5倍)に広がるので、頭打ちの原因はHDD側です。ルーター直結は未計測(SSDボリュームは9月15日に280MB/s前後を実測)で、条件の詳細はNASの2.5GbE化は何倍速い?に掲載しています。

2. まず0円で切り分ける(買う前のチェックリスト)

診断チェックリスト(上から順に確認)

  1. 今のリンク速度を確認:Windowsは「タスクマネージャー → パフォーマンス → イーサネット」、NASはDSMなら「コントロールパネル → ネットワーク → ネットワークインターフェース」。1.0Gbps表示ならLANのリンク速度が上限です(LANポートのLEDで色分け表示する機種もあります。色の意味は取扱説明書で確認)
  2. Wi-Fi接続なら有線でつなぎ直して再測定(0円。第3章)
  3. 大きな1ファイルと小さいファイル群でコピー速度を比べる:どちらも遅ければネットワーク層、小ファイル群だけ遅ければディスク・プロトコル側が原因です
  4. NASとPCが同じルーター直下にあるか(中継ハブがボトルネック化していないか)
  5. DSMリソースモニターでCPU/メモリ/ディスクI/Oを確認(インデックス作成・データスクラビング・バックアップの実行中は遅くなります)
  6. ストレージマネージャでHDDの「健康状態」が正常か(⚠️当サイトのDS223j〔DSM 7.2.2〕ではS.M.A.R.T.属性の一覧が画面にありません。DSM 7.2.1-69057 Update 1 で無効化されたと説明されており、7.3以降で戻ったという情報は当サイトでは未確認です。代替セクタ数などのRAW値を数字で追うには、HDDをPCに直結してCrystalDiskInfoで読む必要があります=S.M.A.R.T値の見方)
  7. RAIDステータスが「正常」になっているか
  8. 他のアプリ(Surveillance Station等)が帯域を食っていないか
  9. ファームウェアが最新か(型落ちだと2.5GbE未最適化のことあり)

ここまでで詰まっている層が分かってから、足りない所だけ買います。

3. Wi-Fi接続なら有線でつなぎ直す(0円)

Wi-Fi 6(実効600-900Mbps)・Wi-Fi 7(実効1.5-3Gbps)でも、有線LANと比べるとレイテンシと安定性で劣ります。大容量ファイル転送・動画編集は必ず有線で。

なお「有線にしたいが、ルーターのLANポートが空いていない」という物理的な問題は、この記事の担当外です。ハブの選び方・つなぐ順番・ループ対策はNASは有線でつなぐ|ルーターのポート不足とスイッチングハブの選び方にまとめています(あちらはつなぎ方、この記事は速度の改善という住み分けです)。

⚠ ノートPCで有線が使えない時
USB-Cイーサネットアダプタ(Anker PowerExpand USB-C to 2.5Gbps・約4,000円)で対応可能。Thunderbolt 4搭載機なら10GbEアダプタ(OWC 10G Ethernet・約28,000円)で本格的な速度が出ます。

4. 0円でできる設定の見直し(SMB・ファームウェア・PC側)

  • SMBマルチチャネル:DSM 7.1.1以降+SMB Service 4.15以降で利用可(x86モデル限定・ARMのDS223j等は非対応)。コントロールパネル→ファイルサービス→SMB→詳細設定で有効化し、LAN 2本・Wi-Fi+LANなど複数経路を束ねて転送速度を向上。
  • ファームウェア自動更新:DSMコントロールパネル→「更新と復元」→「重要な更新のみ自動インストール」を推奨。
  • アクセス集中時の対策:CPU使用率が100%近いなら、バックアップ・スナップショットの実行時刻を深夜へ変更。

「特定のフォルダ・特定の操作だけ遅い」ときに効く設定

ハードを買い替える前に、設定だけで効くことがあります。下記が原因のことが多いです。

  • 大量の小さいファイルのコピーが遅い:小ファイルの転送はプロトコルのオーバーヘッドで速度が落ちます。ZIP等にまとめてから転送すると改善します(HDDの物理特性上の制約であり、故障ではありません)。
  • PC側アンチウイルスのリアルタイムスキャン:ネットワークドライブを常時スキャンしていると読み書きが遅くなります。信頼できるNAS共有をスキャン対象から除外すると改善する場合があります(除外はセキュリティ上のリスクを理解したうえで自己責任で)。
  • Windowsの電源プラン:ノートPCが「省電力」だと有線LANやWi-Fiの性能が抑えられることがあります。大容量転送時は「高パフォーマンス(またはバランス)」に切り替えます。
  • メディアインデックス作成中:写真・動画を大量に追加した直後は、NASがサムネイル生成(インデックス作成)で一時的に重くなります。完了まで待てば通常速度に戻ります。

SMBの仕様上、細かいファイルを多数転送すると1ファイルあたりの往復通信が増え、大きな1ファイルより実効速度が落ちます(Microsoft/Synology の各ドキュメント参照)。

5. ケーブルは「壊れている・古すぎる」ときだけ交換する(新規配線ならCat6A)

Cat5e以上なら2.5GbEは規格上動作します(IEEE 802.3bzはCat5eで2.5Gbps・100m伝送を前提に策定)。交換で速くなるのは、劣化・断線・Cat5以下のケーブルを使っているときだけです。手持ちのCat5e/Cat6は、まずそのまま試してください。カテゴリ表示が読めない線・折れ曲がった線は交換の対象です。新しく買い足すときや新規配線なら、10GbEへの将来移行まで見てCat6A(最大10Gbps・100m)が家庭用の標準です。2.5GbE化でケーブルの買い替えが要らない根拠(メーカー公式の記載)はNASは有線でつなぐにまとめています。

規格最大速度最大距離家庭用実売価格(3m)新規購入時の推奨度
Cat5e1Gbps(規格上は2.5Gbpsも可・802.3bz)100m約400円△(手持ちは流用可)
Cat61Gbps(55mで10Gbps)55-100m約700円△
Cat6A10Gbps100m約1,500円◎標準
Cat710Gbps100m約2,500円△(不要・端子互換性に注意)
Cat840Gbps30m約4,000円×過剰
具体的おすすめ製品
・エレコム LD-GPAYT/BU30(Cat6A・3m・約1,480円)
・サンワサプライ KB-T6A-05BL(Cat6A・5m・約2,100円)
Cat7/Cat8は家庭用機器で本来の性能を出せず、端子の接地要件も厳しいためCat6Aで十分です。

買い足すときは、NASとルーター(またはハブ)の距離を測ってから長さを選んでください。ぴったりの長さだとコネクタ根元に無理がかかるため、実測より少し長めが扱いやすいです。下は同じエレコムのCat6A(ECLD-GFATBK20)で、リンク先は2mのSKUです。厚さ約1.4mmのフラットタイプ(Amazonの商品名は「スーパーフラット」)ですが、速度を決めるのは形状ではなく規格で、本製品はCat6A準拠・伝送帯域500MHz・最大10Gbpsです(エレコム公式直営店の製品仕様・2026年9月3日に当サイトが確認)。当サイトで使用・検証した製品ではありません。

6. 買うならここから:ルーター/スイッチを2.5GbE以上に

2026年現在、家庭用ルーターも2.5GbE・10GbE対応が普及しています。NAS本体が2.5GbE対応(Synology DS225+、UGREEN NASync DXP2800など)の場合、ルーターも揃えないと1Gbpsで頭打ちになります。

機器実売価格ポート備考
TP-Link TL-SG105-M2(5ポート2.5GbE)約8,000円2.5GbE×5アンマネージド・静音
NETGEAR MS305-100AJS約12,000円2.5GbE×5金属筐体・安定性重視
NEC Aterm WX11000T12(生産終了・流通在庫のみ)45,100円10GbE×2(WAN/LAN各1)+ 1GbE×3Wi-Fi 6E対応。後継はAterm 19000T12BE(69,100円)
バッファロー WXR-18000BE10P約55,000円10GbE×1 + 2.5GbE×1Wi-Fi 7対応
💡 コスパ重視の構成
2.5GbE対応のNAS(DS225+など)をすでに持っている場合、追加費用はスイッチ約8,000円(手持ちのケーブルがCat5e以上ならそのまま使えます。買い足すならCat6A約1,500円)。回線帯域は約2.5倍になりますが、当サイトの実測ではHDD 2本のNASの転送は10GBファイルで書込112→140MB/s・読出108→149MB/s(1.2〜1.4倍)でした。
ただし前提はNAS・PC・ルーター/ハブの3点すべてが2.5GbE以上であることです(ケーブルはCat5e以上で条件を満たします)。NAS本体が1GbE止まりならこの構成では上がりません。PC側が1GbE止まりの場合はUSB-C 2.5GbEアダプタ(約4,000円)が加わるため、実費は約1.2万円になります。

スイッチを買うときは、ポート数を先に数えてください。ルーターからの1本+NAS+PC+テレビ…と数えると、5ポートでは足りないことがよくあります。8ポートの2.5GBASE-T対応品もあり、下はその一例です(当サイトで使用・検証した製品ではありません)。

7. HDD/SSDの状態とSMR回避

項目NAS用HDD(CMR)NAS用SSD
読み書き速度(実効)180-240MB/s450-550MB/s(SATA)/3,500MB/s(NVMe)
4TB価格約32,500〜35,200円
(2026年8月21日確認)
4TBクラスは在庫なし
(確認できた表示価格はCrucial MX500 4TBで58,980円・2026年7月25日確認)
消費電力約5W約2W
ランダムアクセス遅い非常に速い
RAID再構築時間10-20時間2-4時間
寿命(TBW)ワークロード200TB/年600-1,800TBW

家庭用で高コスパなのはWD Red Plus 4TB(WD40EFZZ、CMR)約32,500円前後です(価格は2026年8月21日確認時点の参考実売で、2026年はNAS向けHDDが値上がり傾向のため、購入前に各販売ページで最新相場の確認を推奨します)。SMRモデル(旧・無印WD Red WD40EFAX等)はNASでRAID再構築時に極端に遅くなるため避けてください。なおWD Red SA500はNAS向けSATA SSDで、SMRとは無関係です。

いま入っているHDDがSMRで、入れ替えを検討する段階なら、容量別のCMRモデルと実売価格・保証年数はNAS用HDDのおすすめ比較にまとめてあります。RAID構成中の入れ替え手順は先に確認してから作業してください。

⚠ SSDキャッシュは効果はあるが、2026年9月時点もコストが見合いにくい
Synology DS425+やDS925+はM.2 NVMe SSDスロット×2を内蔵し、読み書きキャッシュを割り当てると同じデータへ繰り返しアクセスする場面(家族が同じ写真フォルダを何度も開くなど)でランダムアクセスが大きく改善します。
ただし定番だったWD Red SN700は、2026年7月25日に国内主要ショップ(ツクモ・ドスパラ・パソコン工房・価格.com掲載店)で確認した限り250GB・500GB・1TBの全ラインが在庫切れでした。8月上旬にいったん在庫のある店が戻りましたが、2026年9月1日に取り直すと再び流通が細っており、500GBは実質1店(35,000円)、1TBと250GBはマーケットプレイス出品しか掲載がなく、当サイトでは実勢価格を確認できていません。在庫のあるNVMe 1TBクラスも3万円台で、2枚構成にするとNAS本体1台分の出費になります。第2〜4章の0円の切り分けと、必要なら2.5GbE化を先に試すほうが、同じ予算での体感改善は見込めます。
※2025年以降のSynology機はM.2 NVMeドライブに互換性制限(対応リスト/HCL準拠が必要)がある場合があります。導入前にお使いの機種の互換性リストをご確認ください(HDD・2.5インチSATA SSDの制限はDSM 7.3で緩和済み)。全ライン在庫切れを確認したのは2026年7月25日、SN700の在庫・価格の最新確認は2026年9月1日時点の結果です。

8. RAID構成を見直す

RAID読み速度書き速度冗長性容量効率
RAID 0(2台)約2倍約2倍なし100%
RAID 1(2台)約1.3倍等倍1台故障可50%
RAID 5(3台以上)約2-3倍やや遅い1台故障可67-87%
RAID 6(4台以上)約3倍遅い2台故障可50-67%
SHR(Synology)柔軟柔軟1-2台故障可最適化
⚠ RAID整合性チェック中は遅いのが正常
SynologyのDSMは設定したスケジュールに従い「データスクラビング」を定期実行します(推奨は月1回〜。既定はストレージプール作成時の設定によります)。この間は最大50%速度が低下しますが、データ保全に必須のため中断しないでください。スケジュールは深夜に設定できます。

9. メモリ増設(SOHO・重い用途向け)

機種標準メモリ最大メモリ増設後の効果
Synology DS225+2GB6GB(2+4)仮想マシン・多数クライアント対応
Synology DS425+2GB6GB(2+4)SSDキャッシュ有効化に必須
UGREEN NASync DXP28008GB16GBDockerコンテナ多用で威力
UGREEN NASync DXP4800 Plus8GB64GBPlex 4Kトランスコード快適化

Synology純正メモリ「D4NESO-2666-4G」は約9,000円。サードパーティ製(Crucial・Kingston)は約3,500円ですが、純正外はメーカー保証対象外になる点に注意してください。

10. こんな人にはNAS買い替えを推奨

  • 現在のNASが2018年以前のモデル(1GbE止まり・メモリ2GB固定)
  • 写真・動画サムネイルの表示が10秒以上かかる
  • RAID再構築に2日以上かかる
  • 家族全員・複数デバイスが同時接続する環境

2026年9月現在、買い替え先の候補:
Synology DS225+(実売 64,000円前後・2.5GbE+1GbE・最大6GBメモリ)
UGREEN NASync DXP2800(実売 53,000円前後=改定前の在庫が薄れ、在庫あり最安は53,237円です。改定後の定価 65,880円に移行した店もあります・2.5GbE・M.2 NVMe×2・最大16GBメモリ)

価格はDS225+が2026年8月19日、DXP2800が9月8日に確認した値です。UGREEN は2026年9月3日に DXP2800 の定価を 65,880円へ改定しました。当サイトが9月8日に価格.comを確認した時点では、改定前価格の在庫が薄れて在庫あり最安が 53,237円(掲載17店のうち3店)まで上がり、改定後の定価(65,880円・ヨドバシなど・9月3日確認)に移行した店と並ぶ移行期です。購入前に各販売ページで最新の価格・在庫をご確認ください。

Dockerやメモリ拡張・SSDキャッシュを重視するならUGREEN NASync DXP2800、DSMアプリの安定性と2.5GbE+1GbEの二系統を重視するならSynology DS225+が候補です。

古いNASを「強化」するか「買い替え」るか、費用で判断する

  • 強化(約8,000円〜・PC側が1GbEなら+約4,000円):2.5GbEスイッチ(約8,000円)。ケーブルはCat5e以上ならそのままで、買い足す場合のみCat6A約1,500円が加わります。NAS本体が2.5GbE対応で、メモリ・ディスクに余裕がある場合はこれで十分伸びます。PC側が1GbE止まりならUSB-C 2.5GbEアダプタ(約4,000円)が加算されます。
  • 買い替え(本体のみ約5〜6.6万円・HDDは別途):本体が1GbE止まり・メモリ固定(2018年以前の機種など)で、強化しても頭打ちになる場合。上の2機種の実売がこの帯です。手持ちのHDDを移設できなければ、ここにHDD代(NAS用4TBが1本あたり約3.3万円・第7章の確認値)が加わります。

まず手持ち機種のリンク速度・メモリ・ディスクを確認し、上限に達していなければ「強化」から着手するのが無駄のない順序です。

強化で進めるなら、ハブの選び方・つなぐ順番・ループ対策はNASは有線でつなぐにあります。買い替えを選ぶなら本体と同時に入れるHDDも決めることになるので、容量別のCMRモデルと実売価格はNAS用HDDのおすすめ比較をご覧ください。

なお「古い機種だからサポートが切れているのでは」という不安は、機種の年齢ではなく動いているOSのバージョンの問題であることが多いです。2016年発売のSynology DS216jに今もDSMの更新ファイルが届いている実例はDS216jは10年目でも使えるかにまとめました。

本記事の推奨機種・構成は、アフィリエイト報酬の大小ではなく、2.5GbE対応・メモリ拡張性・実売価格・保証年数を基準に選定しています。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 2.5GbEに替えても速度が上がりません。
A. NAS・PC・ルーター/ハブの3点すべてが2.5GbE以上でなければ効果が出ません。1箇所でも1GbEだとその速度に揃います。ケーブルはCat5e以上なら規格上の条件を満たすので、まず買い替えずに確認してください(劣化・断線・Cat5以下は別)。Windowsの「タスクマネージャー → パフォーマンス → イーサネット」でリンク速度が2.5Gbpsか確認できます。
Q2. SSDキャッシュは容量が大きいほど速いですか?
A. 容量よりも「そもそも効く使い方か」が先です。技術的には家庭用なら500GB〜1TBで十分で、Synology DSMは「ホットデータ」を自動でキャッシュします。読み書き両用にする場合は2枚構成が必要(1枚故障でもデータ消失しない仕様)です。ただし2026年9月1日時点もキャッシュ用SSDの品薄は続いており(WD Red SN700 500GBは実質1店・35,000円。1TBと250GBはマーケットプレイス出品しか掲載がなく、当サイトでは実勢価格を確認できていません)、2枚構成の費用はNAS本体1台分に届きます(詳細はNAS用SSDの選び方)。
Q3. Wi-Fi 7ルーターに替えれば有線と同等になりますか?
A. ベストケースで2〜3Gbpsの実効速度が出ますが、距離・障害物・他機器との干渉で半減することがあります。安定性と遅延を重視するなら有線が依然として最適です。リビング据え置きNASなら有線LANを推奨します。
Q4. Synologyの「データスクラビング」は無効化できますか?
A. 技術的には可能ですが絶対に無効化しないでください。データ整合性チェックを怠ると、HDDのビットロット(物理的劣化による静かなデータ破損)を検出できません。実行時刻を深夜に設定するのが正解です。
Q5. NASが遅い時にベンチマークで計測する方法は?
A. CrystalDiskMark(無料)でNASの共有フォルダを指定し、シーケンシャルRead/Writeを計測します。1GbE環境なら112MB/s前後、2.5GbE環境の当サイト実測(HDD 2本・RAID 1・10GBファイル転送)は書込139.7MB/s・読出148.5MB/sでした。回線の理論値312.5MB/sに届かないのはHDDが壁だからで、この値を大きく下回る場合は別のボトルネックがあります。

まとめ:切り分けを先に、買い物は最後に

この記事の要点

  • 順序は①リンク速度の確認→②有線で再測定→③大ファイルと小ファイルの比較→④NASの負荷確認→⑤足りない所だけ購入
  • 買うなら2.5GbEスイッチ(+PC側アダプタ)が先。ケーブルはCat5e以上なら流用でき、交換が要るのは劣化・断線・Cat5以下・新規配線のとき
  • SMRハードディスクはNAS用途では避けること(RAID再構築が遅い)
  • SMBマルチチャネル+データスクラビングスケジュール調整も有効
  • 2018年以前のNASは買い替えた方がトータルで得