本記事の比較・おすすめは、広告報酬の多寡ではなく、公表スペックと技術的根拠にもとづいて選んでいます。速度の実測値は運営者宅の UGREEN NASync DXP2800(2.5GbE×1)+2.5Gbps対応ハブの1経路のみで、ほかの機種は公式データシート・公式製品ページの公表値で比較しています。

「2.5GbE対応」と書かれた家庭用NASは、本体4万円台から16万円台まで並んでいます。ただしポートが2.5GbEであることと、その2.5GbEを使い切れることは別の話です。当サイトの実測では、HDD 2本のRAID 1に10GBのファイルを書いたとき、2.5GbE化しても1GbEの1.24倍にとどまりました。この記事は「どの2.5GbE機なら速さが出るか」を、ポート構成・M.2スロット・本体価格の3点で並べます。

この記事の結論

  • 2.5GbEを使い切れるのはM.2 NVMeを挿せる機種。当サイトの実測ではSSDボリュームが280MB/s前後、HDD 2本のRAID 1では10GBの書込が139.7MB/s(1GbEの1.24倍)でした
  • 買い替えが効くのは、M.2にSSDを挿す人と、NASのメモリに収まる1GB級を何度も動かす人。HDDだけで10GB級を運ぶ使い方なら短縮は1回あたり書込15〜25秒・読出23〜29秒です(→1GbEのままで足りる人
  • 2ベイの本命は UGREEN DXP2800(本体約53,000円=改定前の在庫が残る店の目安。2026年9月3日の改定後の定価は65,880円・NVMe×2)、2.5GbEを2ポート使い分けるなら QNAP TS-264(約87,600円・NVMe×2)

▼ この記事の実測値(10GB書込139.7MB/s・SSDボリューム280MB/s前後)を出した当サイトの実機:UGREEN NASync DXP2800(2ベイ・Intel N100・メモリ8GB・2.5GbE×1)。M.2 NVMeが2枚挿せるので、HDDで足りなくなってから速さを足せます — 楽天・Amazonの価格と在庫はリンク先でご確認ください

2.5GbE化で実際に速くなったのはどこか

同じPC・同じハブ・同じNAS(DXP2800)で、PC側のリンク速度だけを2.5Gbpsと1.0Gbpsに切り替えて測った結果です。各3ラウンドの中央値で、機種選びに効く4項目だけを抜き出しました。

測定項目 2.5GbE 1GbE 倍率
回線帯域(iperf3・送信) 2.38 Gbps 953 Mbps 2.50倍
1GB 書込(1本目) 238.1 MB/s 112.7 MB/s 2.11倍
10GB 書込(PC→NAS) 139.7 MB/s 112.4 MB/s 1.24倍
SSDボリューム 1GB 書込 280.2 MB/s 112.7 MB/s 2.49倍

測定日:2026年9月4日(iperf3)・9月8日(10GB)・9月14日(1GB)・9月15日(SSDボリューム)。3ラウンド分の生データと測り方はNASの2.5GbE化は何倍速い?実測にあります。

読み取れることは3つです。

回線そのものは設計どおり広がります。2.5GbEの理論値は312.5MB/s(2,500Mbps÷8)で、実測の2.37〜2.38Gbpsは約296〜297MB/s相当=理論値の約95%でした。一方1GbE側は書込112〜113MB/s・読出104〜109MB/sに張り付きます。ここで頭打ちになっている人は、伸びしろがそのまま残っています。

HDD 2本のRAID 1では、4GB以上のファイルで回線の半分しか使えません。10GBの書込139.7MB/s・読出148.5MB/sは、2.5GbEの帯域(約296〜297MB/s)の半分前後にとどまります。壁は回線ではなくHDD側にあります。10GBあたりの短縮は書込で15〜25秒、読出で23〜29秒でした。

1GB級のファイルは2倍を超えることがあります。NASのメモリ(DXP2800は8GB)に収まる1GBの書込は1本目が238.1MB/s=2.11倍。ただし2本目は125.5MB/sまで落ち(3回とも)、読出の2.63倍は3回中2回で、残る1回は100.6MB/sと1GbEを下回りました。「1GBなら必ず2倍」ではありません。

M.2にSSDを挿してボリュームを作ると、280MB/s前後で回線を使い切ります。この値は検証機材(DXP2800+Silicon Power P34A60 256GB)での単独ボリュームのものです。同じSSDで10GBを連続で書いたところ、約50GBを超えた6本目で39.1MB/sまで落ちました(温度は32℃で、発熱が原因ではありません)。データ置き場として単体の安価なSSDを使うことは勧めません。

ポート構成は4つの型に分かれる

カタログの「2.5GbE対応」は、次の4つのどれかです。ここを読み違えると、買ってからポートが足りないと気づきます。

  • ① 2.5GbE×2:DS925+/DS925neo+・TS-264・ASUSTOR AS5402T/AS5404T・TerraMaster F4-424
  • ② 2.5GbE×1+1GbE×1:DS225+・DS725+・DS425+・TS-216G・TS-433
  • ③ 2.5GbE×1のみ:DXP2800・DH4300 Plus
  • ④ 10GbE混在:DXP4800 Plus(10GbE×1+2.5GbE×1)

家庭で1台のPCからコピーするだけなら、②か③で足ります。①の2.5GbE×2は、複数のポートを束ねたりLANを冗長化したりするための構成です。PC側のLANポートが1つなら、1本の転送が2倍になることはありません。ASUSTORは公式に「SMBマルチチャネルで2.5Gbps超」、TerraMasterは「リンクアグリゲーションで最大5Gb」と公表していますが、いずれもメーカーの公表値で、当サイトでは計測していません。運営者の実機は③のDXP2800(2.5GbE×1)で、ここまでの実測はすべてその1ポートで取っています。

出典:ASUSTOR AS5402T 仕様AS5404T 仕様TerraMaster F4-424 Specification(いずれも2026年9月20日確認。引用はメーカーの公表値で、当サイトの実測ではありません)。

2.5GbEを飛び越えて10GbEへ行く選択肢の UGREEN NASync DXP2800 GT は、10GbE×1のみで2.5GbEのポートを持ちません。10GbE側に合わせた機材が別途必要になるため、本記事の比較表には入れていません(DXP2800 GTと無印の比較)。

2.5GbE対応NASの比較表

当サイトが実売価格を把握している10機種です。価格は本体のみ・税込の実売目安(執筆時点)です。記事内の価格の確認日は、最も古いもので2026年8月23日です。

表の「M.2 NVMe」はスロットの数です。同じM.2でも、SSDでデータ用のボリュームを作れる機種と、読み書きの高速化に使うキャッシュ向けの機種があります。当サイトが280MB/s前後を実測したのはDXP2800にSSDでボリュームを作った構成で、TS-264は公式データシートがSSDキャッシュへの対応を明記しています。

2ベイ

機種 LAN構成 M.2 NVMe CPU メモリ(標準/最大) 本体価格の目安
QNAP TS-216G 2.5GbE×1+1GbE×1 なし ARM Cortex-A55 4コア 4GB(拡張不可) 約43,000円
UGREEN DXP2800 2.5GbE×1 ×2 Intel N100(4C/4T) 8GB/16GB 約53,000円
Synology DS225+ 2.5GbE×1+1GbE×1 なし Celeron J4125(4C) 2GB/6GB 約64,000円
QNAP TS-264-8G 2.5GbE×2 ×2 Celeron N5095(4C/4T) 8GB/16GB 約87,600円
Synology DS725+ 2.5GbE×1+1GbE×1 ×2 Ryzen R1600(2C/4T) 4GB ECC/32GB 約151,000円

4ベイ

機種 LAN構成 M.2 NVMe CPU メモリ(標準/最大) 本体価格の目安
UGREEN DH4300 Plus 2.5GbE×1 なし RK3588C(8コア) 8GB(拡張不可) 約48,300円
QNAP TS-433-4G 2.5GbE×1+1GbE×1 公式仕様表に記載なし ARM Cortex-A55 4コア 4GB(内蔵) 約65,000円
UGREEN DXP4800 Plus 10GbE×1+2.5GbE×1 ×2 Pentium Gold 8505(5C/6T) 8GB/64GB 約93,000円
Synology DS925neo+ 2.5GbE×2 ×2 Ryzen V1500B(4C/8T) 4GB non-ECC/32GB 約118,000円
Synology DS925+ 2.5GbE×2 ×2 Ryzen V1500B(4C/8T) 4GB ECC/32GB 約161,500円

価格は執筆時点の実売目安です。UGREENのDXP2800とDH4300 Plusは2026年9月3日に定価が65,880円へ改定され、上の価格は改定前の在庫が残る店の目安です。Amazonなど改定後の価格で売る店が混在するため、購入先で1万円以上の差が出ます。DS725+・DS925neo+も確認から日数が経っているため、購入前にリンク先で現在の価格をご確認ください。HDDは別途必要で、WD Red Plus 4TB(1本 約32,500円)を2本足すと、たとえばDXP2800は総額約118,000円、TS-264は約152,600円です(HDD選びはNAS用HDDのおすすめへ)。

仕様の出典:UGREEN DXP2800DXP4800 PlusDH4300 PlusQNAP TS-433Synology DS425+と、Synology・QNAPの各データシート(いずれも2026年9月20日確認)。

このほかに2.5GbEを備える機種として、Synology DS425+(2.5GbE×1+1GbE×1・M.2×2はキャッシュ用)、ASUSTOR AS5402T/AS5404T(2.5GbE×2・M.2×4)、TerraMaster F4-424(2.5GbE×2・M.2×2)、ASUSTOR FLASHSTOR 6 FS6706T(2.5GbE×2・M.2 NVMe×6でSATAベイなし)があります。いずれも公式仕様で2.5GbEを確認した機種ですが、当サイトでは実機検証も実売の調査もしていないため、比較表とは分けています。

▼ 2ベイのまま「あとからSSDボリュームを足して回線を使い切る」に備える1台:QNAP TS-264-8G(M.2 NVMe×2・メモリ8GB/最大16GB・Celeron N5095)。2.5GbEが2ポートあるので、有線を2系統に分けたい場合にも対応できます — 楽天・Amazonの価格と在庫はリンク先でご確認ください

用途別:この条件ならこの1台

M.2にSSDを入れて回線を使い切りたい

選ぶ条件はM.2 NVMeスロットがあることの一点です。2ベイならDXP2800(約5.3万円・NVMe×2)かTS-264(約8.8万円・NVMe×2)、4ベイならDXP4800 Plus(約9.3万円)かDS925neo+(約11.8万円)。当サイトの実測でSSDボリュームが280MB/s前後を出したのはDXP2800での値で、ほかの機種で同じ数字が出るかは確認していません。M.2をキャッシュとして使う構成(HDDプール+M.2キャッシュ)も未計測です。

M.2に挿すSSDの費用も見ておきます。当サイトが280MB/s前後を出したのは検証用の256GB(DRAMレス)で、約50GBを連続で書いた6本目に39.1MB/sまで落ちました。測ったのはこの1本だけで、ほかの製品で同じことが起きるかは測っていません。価格の目安は、一般的なM.2 NVMeの1TBクラス(Lexar NM790 1TB)で約30,596円、NAS専用をうたう製品(Synology SNV3410-400G・400GB)で約90,100円です(いずれも執筆時点)。NAS本体の総額にこの分が上乗せされること、機種側のスロット規格(M.2 2280など)が合うことを購入前に確認してください。なおSynologyのDS925+/DS925neo+はM.2キャッシュに互換性リスト掲載ドライブが必要で、汎用のNVMe SSDは基本的に使えません(NASのHDDとSSDの使い分け)。

DSMの使いやすさを優先する

SynologyのDSMを使いたい場合、2.5GbEの入口はDS225+(約6.4万円/HDD 4TB×2込みで約129,000円)です。ただしDS225+にM.2スロットはありません。HDD 2本のRAID 1で使うことになるので、当サイトのDXP2800での実測を当てはめると2.5GbEの効きは1.2〜1.4倍の側です(Synologyは社内テストでDS225+の読出282MB/s・書込217MB/sを公表していますが、当サイトはDS225+を計測していません)。M.2まで欲しければDS725+(約15.1万円)で、本体価格はDS225+の2倍を超えます。SynologyとQNAPで迷っているならSynologyとQNAPの比較の診断チャートが近道です。

予算を抑えて2.5GbEを手に入れる

比較表の10機種のうち本体価格がいちばん低いのはTS-216G(約4.3万円/HDD込み約108,000円)です。ARM系CPU・メモリ4GB固定・M.2なしで、用途はファイル共有とバックアップが中心になります。4ベイで安く済ませるならDH4300 Plus(約4.8万円)ですが、こちらもM.2はなくメモリは拡張できません。DH4300 PlusもDXP2800と同じく2026年9月3日に定価が65,880円へ改定された移行期で、購入先によって1万円以上の差が出ます。

4ベイで将来10GbEまで見ておく

DXP4800 Plus(約9.3万円/HDD 4TB×2込みで約158,000円)は10GbE×1と2.5GbE×1を両方持ち、M.2も2枚挿せます。ECCメモリとDSMを取るならDS925+(約16.1万円)、ECCを外して価格を下げるならDS925neo+(約11.8万円)で、公式仕様の差はECC・オプションメモリ・Hyper-V対応の3点です。

1GbEのままで足りる人

次のどれかに当てはまるなら、2.5GbE化の優先度は下がります。

  • 扱うのが4GB以上のファイル中心で、HDD 2本のRAID 1で使う:伸びは1.24〜1.37倍(10GBでの実測値。4GBは1GbE側を測っていないため目安)。10GBあたり書込15〜25秒・読出23〜29秒の短縮にとどまります
  • 主にスマホやノートPCからWi-Fi経由で使う:無線側が先に頭打ちになります
  • 手持ちのNASが1GbE専用機(DS223j・LS220D・DH2300など):ハブとPC側を2.5GbEにしても、NASが1GbEなら何も変わりません

最初の1台をどれにするかで迷っている段階なら、2.5GbEに絞る前に家庭用NASおすすめランキングで候補を作るほうが確実です。

2.5GbE化にそろえるもの

NAS本体だけ替えても速くなりません。NAS・中継(ハブまたはルーターのマルチギガポート)・PC側・ケーブルの4点がすべて2.5Gbps以上である必要があり、1か所でも1GbEなら全体がそこにそろいます。

  • ハブ:当サイトの実測にはエレコム EHC-LQ01-8(2.5GBASE-T×8・ファンレス)を使っています。ほかにPlanex FX2G-08EM2(2.5GBASE-T×8)も2.5GbE機器として扱っています。「新しい製品=2.5GbE」ではありません(2025年発売のBUFFALO LSW-8GSE/NBKは1GbE×8です)。選び方はNASの有線接続とスイッチングハブ
  • PC側:USBアダプタ(バッファロー LUA-U3-A2G/LUA-U3-A2G/C)かPCIeボード(バッファロー LGY-PCIE-MG3/N、TP-Link TX201)。運営者の実機は前世代のPCIeボード LGY-PCIE-MG2(10GbE)を2.5GbEとして使っています
  • LANケーブルCat5e以上で規格上まかなえます。BUFFALOも2.5GbEスイッチ LXW-2G5 の公式ページで「カテゴリー5e以上」と明記しています。手持ちのケーブルがCat5e以上なら、ここの出費はありません

出典:BUFFALO LXW-2G5 製品ページ(2026年8月12日確認)。

ハブとPC側アダプターの価格は、モデルと販売店で動くためリンク先でご確認ください。NASを替えたのに速度が変わらないときはNASが遅い原因と改善方法の切り分けが先です。

よくある質問(FAQ)

Q. 2.5GbE×2のNASなら、1台のPCとの転送が2倍になりますか?
A. PC側のLANポートが1つなら、なりません。ポート2つを束ねる設定(リンクアグリゲーション)はハブ側の対応も要り、SMBマルチチャネルもPC側に2.5GbE以上を2口用意して初めて意味を持ちます。当サイトはどちらも計測していません。家庭で1台のPCからコピーするだけなら2.5GbE×1で足ります。
Q. LANケーブルは買い替えが必要ですか?
A. Cat5e以上なら規格上まかなえます(BUFFALOが2.5GbEスイッチ LXW-2G5 の公式ページで明記)。カテゴリ表示が読めない線や傷んだ線があれば、そこだけ交換すれば足ります。全部を買い替えるより先に、ハブとPC側が2.5Gbpsに対応しているかを確認してください。
Q. NASだけ2.5GbE対応機にすれば速くなりますか?
A. なりません。どこが1GbEのままかは、Windowsなら「タスクマネージャー → パフォーマンス → イーサネット」のリンク速度、ハブとNASは型番の仕様欄(2.5GBASE-T対応の記載)で確かめられます。切り分けの手順はNASが遅い原因と改善方法にあります。
Q. HDDだけで使うなら、2.5GbE対応機を選ぶ意味はありますか?
A. 当サイトの実測では、HDD 2本のRAID 1で10GBのファイルが書込1.24倍・読出1.37倍でした(10GBあたり書込15〜25秒・読出23〜29秒の短縮)。NASのメモリに収まる1GB級なら1本目で2倍を超えることもありますが、2本目は125.5MB/sまで落ちました。あとからM.2にSSDを足せる機種を選んでおくと、伸びしろを残せます。

まとめ

  • 2.5GbEを使い切れるかはストレージ側で決まります。当サイトの実測ではSSDボリュームが280MB/s前後、HDD 2本のRAID 1では10GBの書込が139.7MB/s(1GbEの1.24倍)でした
  • 選定軸はM.2 NVMeスロットの有無。2ベイならDXP2800(約5.3万円=改定前在庫の目安・改定後の定価は65,880円)かTS-264(約8.8万円)、4ベイならDXP4800 Plus(約9.3万円)かDS925neo+(約11.8万円)
  • NAS・ハブ・PC側・ケーブルの4点がそろって初めて2.5Gbpsになります。ケーブルはCat5e以上で流用できます

▼ 4本のHDDを積みながら、将来10GbEへ上げる余地も残す1台:UGREEN NASync DXP4800 Plus(10GbE×1+2.5GbE×1・M.2 NVMe×2・メモリ8GB/最大64GB)— 楽天・Amazonの価格と在庫はリンク先でご確認ください