本記事のおすすめ・比較は、広告報酬の多寡ではなく、公表スペック・技術的根拠にもとづいて選定・評価しています。

更新日:2026年8月5日|カテゴリ:HDD・SSD・ストレージ選び

結論:2026年8月時点でも、NAS用SSDの新規購入・キャッシュ増設は「いったん見送り」が現実的

NANDフラッシュの価格高騰で、家庭用NASにSSDキャッシュを足す費用対効果は崩れています。NANDの契約価格は、2026年第2四半期に前四半期比 +70〜75%、第3四半期も +10〜15% 上昇する見通しが示されています(いずれもTrendForceの予測。店頭でも同時期に値上がりが確認できます=第1章)。定番だったWD Red SN700は、7月下旬の「全ライン在庫切れ」から在庫のある店が戻りました。ただし戻ってきた価格は500GBが36,500円・1TBが61,660円で、7月25日の表示価格より約1割高い水準です(2026年8月5日確認)。250GBは掲載店が1店だけに縮んでおり、当サイトでは実勢価格と呼べる水準を確認できていません。

いま押さえておく4点
①キャッシュに使えるNVMe 1TBの実勢は約30,800円〜(2026年7月25日確認)=NAS用HDD 1本とほぼ同額
②同じSSDを2枚1組にして片方が壊れても大丈夫にする構成(RAID1)だと約61,600円NAS本体1台分に届く出費になる
③そもそもSSDキャッシュは効く用途が限られる(家庭用の多くの使い方では体感が変わらない)
④Synologyの2025年モデルはM.2キャッシュに互換性リスト(HCL)掲載品が必須のまま。店頭の汎用SSDは基本的に選べない

つまり:手持ちのNASが遅くて困っているなら、SSDキャッシュに数万円を使う前に「そもそもキャッシュが効く使い方か」を確かめるのが先です。効かない使い方なら、同じ金額はHDDの増設か本体の世代交代に回したほうが、生活の中での体感は変わりやすくなります

価格・在庫は項目ごとに記載した確認日時点のデータです(WD Red SN700は2026年8月5日に再確認。記事内で最も古い確認日は2026年7月25日)。SSDは現在、数日単位で数千円動く相場のため、購入前に必ずリンク先で最新価格・在庫をご確認ください。

本記事は「NAS用SSDの選び方・HDD×SSDキャッシュ併用」に特化しています。HDDとSSDのどっちを選ぶかの意思決定はどっちを選ぶかガイドHDD単体のおすすめNAS用HDDのおすすめ容量の決め方容量ガイドへ。

1. なぜ「今は買い時ではない」と言えるのか(3つのデータ)

「SSDが高い」という体感を、数字で確かめます。根拠は供給側・販売側・値動きの3方向です。

供給側:NANDの契約価格は1四半期で7割上がる見通し

発表時期 内容
2026年3月31日 2Q26のNANDフラッシュ契約価格が前四半期比 +70〜75% の見通し(従来型DRAMは +58〜63%)
2026年7月3日 3Q26も+10〜15% の上昇見通し。上昇は続くが伸びは鈍化

出典:TrendForce プレスリリース 2026年3月31日2026年7月3日

契約価格とは、NANDメーカーがSSDメーカーへ供給するときの価格です。ここが上がれば、数か月遅れで店頭価格にも反映されていきます。「一部ショップが強気なだけ」ではなく、供給の川上から上がっているのがこの相場の性質です。

販売側:在庫は戻ったが、価格は上がって戻ってきた

2026年7月25日にツクモ公式通販で「M.2 NVMe 500GB」を検索したところ、該当24件のうち23件が「在庫なし」でした。この記事がずっと第一候補として挙げてきたWD Red SN700も、同日に確認した国内主要ショップ(ツクモ・ドスパラ・パソコン工房・価格.com掲載店)ではすべての容量が在庫切れでした。

2026年8月5日に取り直したところ、500GBと1TBは在庫のある店が戻っていました。ただし戻ってきた価格は7月25日の表示価格より約1割高い水準です。250GBは掲載が1店(マーケットプレイス出品)だけに縮んでおり、実勢価格と呼べる水準を当サイトでは確認できていません。

型番 容量 2026年8月5日の状況
WDS250G1R0C 250GB 価格.com掲載が1店のみ(マーケットプレイス出品)。当サイトでは実勢価格を確認できていないため、金額を掲載しません
WDS500G1R0C 500GB 36,500円(在庫あり2店・約3.5〜3.7万円の幅)
WDS100T1R0C 1TB 61,660円(在庫あり2店・上限は約6.6万円)

7月25日に本記事が掲載していた表示価格は500GB 32,920円・1TB 55,490円で、いずれも在庫切れのまま据え置かれた表示値でした。買える状態に戻った8月5日の価格は、そこから約1割上です。

出典(2026年8月5日確認):価格.com WD Red SN700 250GB500GB1TB 出典(2026年7月25日確認):パソコン工房 250GBツクモ 500GBドスパラ 500GBパソコン工房 500GBパソコン工房 1TBツクモ M.2 NVMe 500GB 検索結果

「小容量から試す」入口は、在庫が戻っても閉じたまま

「安く済ませるために250GBから試す」という入口は、2026年8月時点でも成立しません。掲載が1店だけの状態では、その提示額を相場として読者にお伝えできないからです(当サイトは金額を掲載しません)。

次に容量の小さい500GBは36,500円で、1GBあたり約73円。小容量ほどGB単価が割高なのはSSDでは平時からの傾向で、いま新しく順位が入れ替わったわけではありません。問題は水準です。3万円台後半は「とりあえず試す」金額ではありません。

値動き:数日で数千円動く

価格.comの価格推移では、WD Red SN700 500GBは6月26日の32,920円から7月12日には36,785円まで上昇しました。8月5日に在庫のある店で確認できた36,500円は、ほぼこの7月12日の水準です。Crucial P310 1TBは7月8日に前日比 +2,428円という動き方をしています(いずれも2026年7月時点の記録)。

出典:価格.com 価格推移 WD Red SN700 500GBCrucial P310 1TB

1TBの価格推移グラフには8月1〜3日に3万円台の安値記録が残っていますが、その出品は8月5日の掲載一覧に見当たりません。単発の出品とみて、本記事は在庫のある店の下限(61,660円)を採用しています。

この状況では、記事に書いた価格が翌週には合わなくなります。本記事の金額は「執筆時点のスナップショット」としてお読みください。

2. 費用対効果の算数:キャッシュ2枚=NAS本体1台分

この記事はもともと「数千円でNASの体感が底上げできる」ことを推していました。その前提が成立するか、いまの実勢価格で計算し直します。

項目 高騰前(本記事の旧前提) いまの実勢(確認日は下の注記のとおり)
キャッシュ用SSD 1枚 SN700 250GB 約6,000円 SN700 250GBは実質買えない(掲載1店)/在庫がある妥当品はNVMe 1TBの30,800円
キャッシュ用SSD 2枚(RAID1) 約18,000円 約61,600円
比較:NAS用HDD(WD Red Plus 4TB)1本 32,500円
比較:NAS本体(Synology DS225+) 64,000円

旧前提は250GB/500GB、実勢は在庫のある1TBクラスで置き換えています。同じ容量どうしで比べると、500GBは高騰前の約9,000円が36,500円(2026年8月5日確認)で、約4倍です。250GBは高騰前が約6,000円でしたが、いまは買える店がほぼ無く、比較できる実勢価格そのものがありません。

在庫ありのNVMe 1TB価格はツクモ公式通販「M.2 NVMe 1TB」検索結果で2026年7月25日に確認(Lexar NM790 1TB 30,800円Samsung 990 PRO 1TB 34,980円Crucial P310 1TB 32,980円)。HDD(WD Red Plus 4TB)は2026年8月2日、NAS本体は2026年7月25日に更新した本サイトの価格データに基づく目安です。

読み替えると、こうなります。

  • キャッシュ用SSD 1枚 ≒ NAS用HDD 1本(=容量を4TB増やすのと同じ出費)
  • キャッシュ用SSD 2枚 ≒ NAS本体1台分(=2ベイNASがもう1台買える出費)

この約61,600円は、在庫がある中で最も安い汎用NVMe(Lexar NM790 1TB 30,800円)で2枚組んだ場合の金額です。基準を変えると、金額は次のように動きます。

  • 最も安い汎用NVMeで組む場合:2枚で約61,600円(ただしNAS専用設計ではなく、Synology機ではHCLの制約で使えません)
  • 本記事が挙げてきた基準(NAS専用設計・高TBW)を守る場合:WD Red SN700 1TB×2で123,320円(在庫は戻りましたが、金額はNAS本体2台分に近づきました)
  • Synologyの2025年モデルの場合:HCL掲載のSNV3410が1枚で約9万円(第4章)

最も安い組み方でもNAS本体1台分に並び、基準を上げれば本体を超えるという結論は変わりません。

つまり、「数千円で体感を底上げできる」という本記事の売りは、2026年の価格水準では成立しません。最も安く見積もっても6万円かかるなら、同じ金額の使い道はこう変わります。

  • 写真や動画が入りきらないのが不満 → その6万円でHDDを2本足したほうが、容量の悩みが直接消えます
  • 転送が遅いのが不満 → 使っているNASが1GbE(有線1Gbps)世代なら、本体を2.5GbE対応に更新するほうが効きます。大きなファイルのコピー時間が素直に短くなります

後者が当てはまる方は少なくないはずです。SSDキャッシュは「同じデータに何度もアクセスする」場面で効く仕組みで、一度きりの大容量コピーは速くなりません(詳しくは次章)。

一方でネットワーク帯域を1GbE→2.5GbEに上げると、大きなファイルのコピーそのものが速くなります。1GbEは実効110MB/s前後が頭打ちで、2.5GbEでは実効280MB/s前後まで伸びます。HDD側の速度が追いつく範囲で、コピー時間は2倍前後まで短くなる計算です。数万円の使い道としては、こちらのほうが日常で分かりやすく変わります。

転送速度の目安はZOTAC 5GbE/2.5GbE/1GbE 転送速度検証および本サイトのDASとNASの比較に掲載した実効値。実際の速度はHDDの性能・ハブ・ケーブルの規格に左右されます。

Synology DS225+ は2.5GbEポートとクアッドコアCPUを搭載した2ベイ機で、実勢は64,000円前後。キャッシュ用SSD 2枚とほぼ同じ金額です。

※DS225+ はM.2スロット非搭載のため、NVMeキャッシュは組めません。「キャッシュを足す」ではなく「本体の世代を上げる」方向の選択肢です。いまお使いのNASが1GbE世代なら、こちらのほうが体感は変わりやすくなります(価格は変動します)。

3. そもそもSSDキャッシュは「効く用途」が限られる

ここがこの記事でいちばん大事な章です。高騰の話を抜きにしても、家庭用NASの使い方の多くではSSDキャッシュの体感差は出ません

効く用途 効きにくい用途
写真数万枚のサムネイル生成・一覧のスクロール 一度きりの大容量コピー(動画の吸い出しなど)
Plex・Immichなどメディアライブラリの読み込み アクセス頻度の低いデータのバックアップ保管
毎日開く共有フォルダ・小さいファイルの大量アクセス 週1回のPCまるごとバックアップ
DBを使うアプリ(メモ・写真管理)のメタデータ処理 単発の大きなファイル1本の書き込み

分かれ目はシンプルで、同じデータへ繰り返しアクセスするかです。キャッシュは「よく読むデータをSSDに置いておく」仕組みなので、一度読んで終わりのデータには出番がありません。

自分がどちらか、3秒で判定する

  • NASを開いて「写真アプリの一覧が出るまで待たされる」→ 効く側
  • NASを開いて「大きい動画のコピーが遅い」→ 効かない側(ここはネットワークとHDDの速度の問題)
  • 「効く側」と出た方も、2026年の価格では2枚で約61,600円かかります。次に取る手は第5章Dにまとめました

「遅い」の中身がネットワーク側なら、SSDキャッシュを足しても体感は変わりません。原因の切り分け手順はNASが遅いときの改善ガイド、速度差の数値の見方(公表スペックベース)はベンチマーク記事にまとめています(価格・相場については本記事の第1章が最新です)。

キャッシュはバックアップでも冗長化でもない

SSDキャッシュを足しても、データの保護は強くなりません。RAIDや世代バックアップは別途必要です。とくに読み書きキャッシュ(読み出しだけでなく、書き込みも一度SSDで受ける設定)は、1枚構成だとSSD故障時に、HDDへ書き終える前のデータへ影響が出る場合があります。だから2枚(RAID1相当)が推奨されるのですが、2026年はそれが約61,600円という話に戻ります。

4. Synologyユーザーの落とし穴:M.2はいまもHCL必須

「価格が下がったら買おう」と考えている方に、先に知っておきたい制約があります。

Synologyは DSM 7.3 で3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDのサードパーティ製品への制限を緩和しましたが、公式リリースの脚注には次の一文が残っています。

"Creation of M.2 based storage pool and cache still requires drives on the HCL."

(M.2ベースのストレージプールおよびキャッシュの作成には、引き続きHCL掲載ドライブが必要)

出典:Synology 公式ニュース DSM 7.3(2025年10月8日公開・脚注部分/2026年7月25日に脚注の存続を再確認)

つまり M.2スロットを持つSynologyの2025年モデル(DS425+/DS925+ など)では、M.2キャッシュだけは今も互換性リスト(HCL)掲載ドライブが必須です。店頭で買える汎用NVMe SSDは基本的に選べません。なおDS225+ など2ベイのエントリー機はM.2スロット自体を搭載しないため、そもそもNVMeキャッシュを組めません(第2章参照)。

該当する純正ドライブ Synology SNV3410-400G(400GB)は、2026年7月25日時点で88,800円〜90,101円。家庭用として推奨できる価格ではありません。

出典:価格.com SNV3410-400G(最安88,800円・9店)/ツクモ(90,101円・在庫わずか)

※HCLの掲載型番一覧は動的生成ページのため本記事では取得できていません。購入前にSynology公式の互換性リストをブラウザで直接ご確認ください。QNAP・UGREEN・TerraMasterに同種の制限があるかは、本記事では未確認です。

そもそも自分のNASにM.2スロットはあるか(対応表)

NVMeキャッシュを組めるかどうかは、まずNAS本体にM.2スロットがあるかで決まります。この対応表は価格相場と関係なく、2026年7月時点で有効です。

NASM.2 NVMe対応SSD高速化の方向性
Synology DS925+(2025年)M.2 ×2 搭載NVMeキャッシュ可(HCL掲載ドライブが必須)
UGREEN NASync DXP2800M.2 ×2 搭載NVMeキャッシュ可(ドライブ制限の有無は未確認)
QNAP TS-264M.2 ×2 搭載NVMeキャッシュ可(ドライブ制限の有無は未確認)
Synology DS225+/DS224+/DS223j(エントリー2ベイ)M.2 非搭載NVMeキャッシュ不可 → SATA SSDやオールフラッシュで高速化

5. では、いまどうするのが正解か(4つの現実解)

あなたの「困りごと」 取るべき手 目安の出費
特に困っていない A. 何もしない(相場を待つ) 0円
写真・動画が入りきらない B. NAS用HDDを足す 4TBで32,500円前後
大きなファイルのコピーが遅い C. ネットワーク/本体の世代を見直す ケーブル・ハブなら数千円〜/本体更新は64,000円前後
写真アプリの一覧表示がもたつく D. キャッシュが効く側。ただし価格を見て判断 2枚で約61,600円

A. 何もしない(多くの人の最適解)

いま困っていないなら、相場が落ち着くまで待つのが最も損をしません。NANDの上昇率は3Q26で+10〜15%まで鈍化する見通しで(TrendForce、2026年7月3日発表の予測)、需給が反転すれば価格は下がる余地があります。買わない判断も、立派な判断です。

B. 容量が足りないなら、SSDでなくHDDを足す

不満の中身が「容量」なら、SSDキャッシュは関係ありません。NAS用HDDは1本32,500円前後(4TB)から。キャッシュ用SSD 1枚とほぼ同額で、空きベイに1本足す構成(SHR/JBOD等)なら、保存できる写真・動画が4TB増えます(RAID1で冗長化する場合は2本必要で、増える実効容量は4TBです)。「そろそろ空き容量が赤い」というストレスは、これで直接消えます。

NAS用HDDは「①NAS専用モデル ②CMR方式(SMR回避) ③180TB/年以上の耐久」の3点で選びます。具体的なおすすめはNAS用HDDのおすすめ定番モデル、必要容量の決め方は容量ガイドへ。

なお、HDDも2026年に入って値上がり傾向です(本サイトの価格データでも、WD Red Plus 6TBが2週間で+41%動いた記録があります)。買うと決めたなら、在庫と価格を確認してから動くのが無難です。

容量は、まず4TB(32,500円前後)が基準。「数年でまた足すのが面倒」という方は、1本あたりのGB単価が下がる6TB(43,000円前後)も選択肢になります。どちらも値動きが大きいので、下のリンクで今日の実売を確認してください。

C. どうしても速度が要るなら、キャッシュ以外の手を先に試す

  • ネットワークを見直す:1GbEのハブ・LANケーブル(カテゴリ5e以下)がボトルネックなら、そこを直すほうが安く効きます(数千円で済むことも多い手順はNASが遅いときの改善ガイドにまとめています)
  • 本体の世代を上げる:2.5GbE対応機への更新(第2章)。機種ごとの比較は家庭用NASのおすすめランキング
  • メモリ増設:ただしDRAMの契約価格も上昇が見込まれており(3Q26は前四半期比 +13〜18% の予測/TrendForce、2026年7月3日発表)、こちらも安い逃げ道にはなりにくい状況です

それでもM.2キャッシュが必要な業務用途なら、Synology機はSNV3410(約9万円)、他社機は在庫のあるNVMe 1TB(30,800円〜)が選択肢になります。ただし家庭用として、この金額に見合う体感差が出る使い方かどうかは、第3章で必ず確認してください。

D. 「効く側」と判定された方へ(相場が戻るまでの待ち方)

第3章の3秒判定で「写真アプリの一覧が待たされる」=効く側と出た方は、キャッシュで体感が変わる可能性がある使い方をしています。ただし2026年7月の価格では、その体感に2枚で約61,600円(Synologyの2025年モデルならHCL掲載のSNV3410が1枚で約9万円)。写真一覧の待ち時間を縮めるために、NAS本体1台分を出す判断になります。

現実的な進め方は、この3つです。

  • いまは待つ:NANDの上昇率は3Q26で+10〜15%まで鈍化する見通しです(TrendForce、2026年7月3日発表の予測)。相場が落ち着いてから買っても、写真は逃げません
  • 再検討ラインを決めておく:本記事では「WD Red SN700 500GBが1万円台に戻ったら再検討」を目安と考えています(高騰前の実売は約9,000円。2026年8月5日時点は36,500円で、まだ遠い水準です)。第6章のスペック表を、そのときの判断材料にどうぞ
  • 同じ約6万円の使い道を並べる:本体そのものを新しくする道もあります(第2章)。本体を替えるとCPUの世代も上がるため、写真一覧やサムネイル生成そのものが速くなることがあります。どちらが自分の不満に効くかを比べてから決めてください

6. 相場が落ち着いたら、どう選ぶか(スペックの見方は今も有効)

ここから先は、価格相場と関係なく使える「NAS用SSDの選び方」です。買うのは先でも、見るポイントを知っておくと、相場が戻ったときに迷いません。

NAS用SSDは「用途」で選ぶ(NVMe vs SATA)

NAS用SSDは「速度を足したいのか、容量を足したいのか」で選ぶタイプが分かれます。

タイプ形状主な用途向いている人
NVMe M.2 SSDスティック状(M.2スロット)読み書きキャッシュ・高速化HDDのNASを体感で速くしたい
SATA SSD2.5インチ(ドライブベイ)ストレージプール・オールフラッシュ無音・省電力・作業用領域が欲しい

NAS対応SSDの選び方(3つのチェックポイント)

チェック項目見るところ家庭用NASの目安
接続方式NVMe(M.2)かSATA(2.5インチ)かキャッシュ=NVMe/容量=SATA
耐久性(TBW)総書込量。キャッシュは書き換えが激しいキャッシュ用は500TBW以上が安心
NAS対応・互換性NAS専用設計か、本体HCL対応かM.2プールはHCL確認必須
なぜ「NAS用」や高TBWを選ぶのか
SSDキャッシュは、NASが頻繁にデータを出し入れする領域です。書き換え回数が多いため、TBW(総書込量)の小さい安価なSSDだと寿命を早く迎えることがあります。WD Red SN700のようなNAS専用SSDは、連続稼働と高い書込量を想定して設計されています。

参考:主要NVMe SSDのスペックと価格・在庫

以下のスペックは各社の公表値です。価格・在庫はWD Red SN700が2026年8月5日、それ以外が2026年7月25日に確認した値です。

モデル容量ReadWriteTBW価格・在庫(確認日)
WD Red SN700250GB3,100MB/s1,600MB/s500TBW掲載1店のみ・実勢を確認できず(8/5)
WD Red SN700500GB3,430MB/s2,600MB/s1,000TBW36,500円・在庫あり(8/5)
WD Red SN7001TB3,430MB/s3,000MB/s2,000TBW61,660円・在庫あり(8/5)
Synology SNV3410800GB3,100MB/s1,000MB/s1,022TBW400GBモデルが88,800円〜90,101円(7/25/800GBは未確認)
Samsung 990 PRO1TB7,450MB/s6,900MB/s600TBW34,980円・在庫あり(7/25)
⚠ 通常のNVMe SSDをキャッシュに使う際の注意
Samsung 990 PROは家庭用NASキャッシュでも動きますが、NAS用の連続稼働耐性・電源断(停電)時の挙動の面ではWD Red SN700・Synology SNV3410のようなNAS専用設計が安心です。キャッシュは書き換え頻度が高いため、TBW(総書込量)の大きいモデルを選んでください。
なお、2026年7月時点で在庫がある1TBクラスにはQLC採用モデル(Crucial P310・KIOXIA EXCERIA BASICなど)が含まれます。QLCはTBWが小さい傾向があり、書き換えの激しいキャッシュ用途には向きません。

参考:主要SATA SSDのスペックと価格・在庫(2026年7月時点)

無音・省電力のオールフラッシュNASや、動画編集の作業領域にはSATA SSD、という考え方は有効です。ただし2026年7月25日時点で、ツクモの「SSD 4TB 2.5インチ」検索に該当した製品はすべて在庫なしでした。総額の提示は撤回しています。

モデル容量ReadWriteTBW保証2026年7月25日時点
Samsung 870 EVO4TB560MB/s530MB/s2,400TBW5年在庫なし(表示314,980円=終息在庫のプレミア値と見られ、実勢とは言えない)
Crucial MX5004TB560MB/s510MB/s1,000TBW5年在庫なし(表示58,980円)
Synology SAT52101.92TB530MB/s500MB/s4,800TBW5年実勢・在庫は未確認
Kingston DC600M3.84TB560MB/s530MB/s7,008TBW5年実勢・在庫は未確認

出典:ツクモ「SSD 4TB 2.5」検索結果(2026年7月25日確認)

DRAMレスSSDの位置づけ
Crucial BX500のような一般向け(DRAMレス)モデルは、読み出し中心の保存領域や、書き込みが軽い用途に向きます。書き込みが続く用途では速度が落ちやすいため、キャッシュや書き込みの多い作業領域には、NAS向けNVMeや高TBWモデル(MX500・DC600M)を優先してください。

SSD導入時の注意点(相場に関係なく有効)

⚠ 失敗しがちなポイント
  • キャッシュに低TBWの安価SSDを使わない:書き換えが多く寿命を早める。キャッシュはNAS向け・高TBWを選ぶ
  • 読み書きキャッシュは1枚だと故障時にデータ影響が出る場合がある:重要データを扱うなら2枚でRAID1相当に
  • M.2プールはHCL確認:Synology 2025年モデルはDSM 7.3以降もHCL掲載品が必須
  • SSDキャッシュはRAIDやバックアップの代わりではない:冗長化・世代バックアップは別途必要
  • 中古・並行輸入品は保証対象外になる場合あり。SSDは書込寿命があるため新品が安全

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年の今、NAS用SSDは買い時ですか?
A. 買い時とは言えません。NANDフラッシュの契約価格は、2026年第2四半期に前四半期比70〜75%(TrendForce 2026年3月31日発表)、第3四半期も10〜15%(同7月3日発表)上昇する見通しが示されています。NAS用の定番だったWD Red SN700は、2026年8月5日時点で500GB・1TBの在庫が戻りましたが、価格は500GBが36,500円・1TBが61,660円と7月下旬より約1割高い水準です(250GBは掲載1店のみで実勢を確認できていません)。代替となるNVMe 1TBも30,800円前後(2026年7月25日・ツクモ確認)。急ぎでなければ相場が落ち着くまで待つことをおすすめします。
Q2. SSDキャッシュは本当に効果がありますか?
A. 用途によります。効果が大きいのは、写真数万枚のサムネイル生成・検索や、Plex・Immichのメディア再生など同じデータへ繰り返しアクセスする用途です。逆に、一度きりの大容量コピーやアクセス頻度の低いバックアップでは体感差が出にくく、その場合はHDDのみで十分です。まず自分の「遅い」がどちらなのかを確かめてください。
Q3. キャッシュ用SSDは1枚と2枚、どちらがいいですか?
A. 技術的には、読み書きキャッシュなら2枚でRAID1相当が安心です(1枚だと故障時に書き込み途中のデータへ影響が出る場合があります)。ただし2026年7月時点では2枚で約61,600円かかり、NAS本体1台分に相当します。この金額を出す価値がある用途か、先に見極めてください。
Q4. NVMeとSATA、どちらのSSDを買えばいいですか?
A. 考え方自体は変わりません。速度を足したい(キャッシュ)ならNVMe(M.2)容量や作業領域を足したい(オールフラッシュ・動画編集)ならSATA(2.5インチ)です。ただし2026年7月時点では、NVMe・SATAともに品薄と値上がりが続いています。SATAの4TBクラスは、ツクモの検索結果では該当製品がすべて在庫なしでした。
Q5. 全SSD構成(オールフラッシュNAS)はアリですか?
A. 静音・省電力・RAID再構築が速いというメリット自体は健在ですが、2026年7月時点では現実的ではありません。ツクモで「SSD 4TB 2.5インチ」を検索すると、該当製品はすべて在庫なしでした。価格表示もSamsung 870 EVO 4TBが314,980円、Crucial MX500 4TBが58,980円。以前の相場から大きく乖離しています。本記事が以前掲載していた「約84,000円」という総額は撤回します。
Q6. Synology機に市販のM.2 SSDをキャッシュとして使えますか?
A. 2025年モデルでは基本的に使えません。DSM 7.3で3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDのサードパーティ制限は緩和されました。ただし公式リリースの脚注には、「M.2ベースのストレージプールおよびキャッシュの作成には引き続きHCL掲載ドライブが必要」と明記されています。購入前にSynology公式の互換性リストを必ず確認してください。

※HDDとSSDの「どちらを選ぶか」で迷っている方はどっちを選ぶかの意思決定ガイド、速度・耐久性の数値比較(公表スペックベース)はベンチマーク記事をご覧ください。

まとめ:2026年の答えは「買わずに、使い方を見極める」

この記事の要点

  • 2026年8月時点でも、NAS用SSDの新規購入・キャッシュ増設はいったん見送りが現実的
  • 理由は価格:キャッシュ用SSD 1枚 ≒ NAS用HDD 1本、2枚 ≒ NAS本体1台分
  • 定番のWD Red SN700は500GB・1TBの在庫が戻ったが、価格は7月下旬より約1割上昇(250GBは掲載1店のみで実勢を確認できず)
  • そもそもキャッシュが効くのは同じデータへ繰り返しアクセスする用途だけ
  • 容量が不満ならHDD増設、コピーが遅いならネットワーク・本体世代の見直しが先
  • Synology 2025年モデルのM.2キャッシュは今もHCL掲載品が必須(純正は400GBで約9万円)
  • 価格・在庫は変動します。購入前に必ず最新の実売をご確認ください

「容量を足す」方向に決めた方は、まずNAS用HDD 4TBの今日の実売を確認するところからです。キャッシュ用SSD 1枚とほぼ同じ金額で、写真・動画の置き場が4TB増えます。

HDDも値動きがあります。上のリンクで最新価格・在庫を確認してからご判断ください(金額は2026年7月25日時点の目安)。


訂正の記録:2026年前半までに掲載していた内容について

⚠ 以下は、本記事が2025年8月〜2026年前半に掲載していた内容の訂正記録です
当時の価格・在庫・おすすめ構成は2026年8月時点では成立しません(WD Red SN700は在庫が戻った8月5日時点でも、500GBが高騰前の約4倍の水準)
オールフラッシュ構成・プレミアム構成の総額提示は撤回しました(該当製品がすべて在庫なしのため)
TBW・転送速度などのスペックと「選び方の考え方」は今も有効のため、第6章へ移して現役の内容として掲載しています
現時点で有効な結論については、本記事の前半(第1〜7章)をご覧ください。容量を足すなら NAS用HDDのおすすめ もどうぞ。

撤回した記述の一覧(2026年7月25日に撤回・金額は2026年8月5日に更新)

旧記述 撤回・訂正の理由
「家庭用の第一候補は HDD+NVMe SSDキャッシュ」 価格高騰で費用対効果が崩れたため、結論を「いったん見送り」へ変更
「まずは250GBクラスの1枚から試す」 WD Red SN700 250GBは価格.comの掲載が1店まで縮小し、当サイトでは実勢価格を確認できていない(少額で試す入口として成立しない)
「まず試す構成(キャッシュ追加・数千円〜)」 構成ごと廃止。該当製品が流通していない
「快適構成 SN700 500GB×2 約18,000円」 在庫は戻ったが、36,500円×2=73,000円。構成として非推奨へ
「オールフラッシュ構成 約84,000円」 Samsung 870 EVO 4TBが在庫なし・表示価格314,980円。総額を撤回
「プレミアム構成 約136,000円〜」 同上。SATA 4TBクラスが全滅のため総額を撤回
FAQ「SN700 500GB×2は費用対効果の高い出発点」 撤回(価格高騰で費用対効果が成立しない)
SN700 1TB「約16,000円」 61,660円へ訂正(2026年8月5日・在庫のある店で確認)
Synology SNV3410「約30,000円」 400GBモデルで88,800円〜90,101円へ訂正(800GBの実勢は未確認)
▼ (旧)HDD×SSD併用構成の実例(2026年前半までの掲載内容・保存用)
併用構成の基本形(2ベイ+M.2×2のNAS)
・データ領域:NAS用HDD ×2 でRAID1(容量単価が優秀)
・高速化:NVMe SSD ×2 を読み書きキャッシュに割り当て
→ 写真サムネイル生成・検索・Plexのランダムアクセスが軽くなる

構成の考え方自体は今も有効ですが、2026年7月時点ではキャッシュ用SSD 2枚の費用が約61,600円=NAS本体1台分になるため、本記事では推奨していません。