本記事のおすすめ・比較は、広告報酬の多寡ではなく、公表スペック・技術的根拠にもとづいて選定・評価しています。

結論:2026年9月時点でも、NAS用SSDの新規購入・キャッシュ増設は「いったん見送り」が現実的

NANDフラッシュの価格高騰で、家庭用NASにSSDキャッシュを足す費用対効果は崩れています。NANDの契約価格は2026年第2四半期に前四半期比 +70〜75%、第3四半期も +10〜15% 上昇する見通しです(TrendForceの予測。店頭の値上がりも第1章で確認しています)。定番だったWD Red SN700は8月上旬に在庫が戻りましたが、9月に入っても流通は細ったままです。500GBは実質1店(在庫表示は「確認」で裏取りできず、当サイトの目安は35,047円)、1TBと250GBはマーケットプレイス出品しか掲載がなく、実勢価格を確認できていません(1TBは9月1日、250GBは9月2日確認)。買える/買えないが週単位で入れ替わる状態です。

いま押さえておく4点
①キャッシュに使えるNVMe 1TBの実勢は30,596円〜34,980円(2026年9月10日確認)=NAS用HDD 4TB 1本(32,500円)と同じ水準
②片方が壊れても大丈夫にする2枚1組(RAID1)だと約61,192円NAS本体1台分(64,000円)とほぼ同額
③そもそもSSDキャッシュは効く用途が限られる(家庭用の多くの使い方では体感が変わらない)
④Synologyの2025年モデルはM.2キャッシュに互換性リスト(HCL)掲載品が必須。店頭の汎用SSDは選べない

つまり:手持ちのNASが遅くて困っているなら、数万円を使う前に順番があります。①0円の切り分け=遅いのは「同じデータの読み直し」か「大きなファイルの転送」か(第3章の3秒判定)→②HDDの空きと状態を確認→③それでも転送が遅いならネットワークの世代。③の2.5GbE化で速くなるのは、当サイトの実測で10GB級のファイルなら1.2〜1.4倍、NASのメモリに収まる1GB級なら1本目が2倍超です(2.5GbE化の実測)。大きいファイルでは2倍にはなりませんが、効くかどうか分からないSSDキャッシュに数万円を出すより、伸び幅がはっきりしています。

価格・在庫は各項目に記載した確認日時点のデータです(記事内で最も古い確認日は2026年9月3日)。数日で数千円動く相場のため、購入前に必ずリンク先で最新価格・在庫をご確認ください。

本記事は「NAS用SSDの選び方・HDD×SSDキャッシュ併用」に特化しています。どっちを選ぶか意思決定ガイドHDD単体のおすすめNAS用HDDのおすすめ容量の決め方容量ガイドへ。

1. なぜ「今は買い時ではない」と言えるのか(3つのデータ)

「SSDが高い」という体感を、供給側・販売側・値動きの3方向の数字で確かめます。

供給側:NANDの契約価格は1四半期で7割上がる見通し

発表 内容
2026年3月31日 2Q26のNAND契約価格が前四半期比 +70〜75%(従来型DRAMは +58〜63%)
2026年7月3日 3Q26も+10〜15% の上昇見通し(伸びは鈍化)

出典:TrendForce プレスリリース 2026年3月31日2026年7月3日

契約価格はNANDメーカーがSSDメーカーへ供給するときの価格で、上がれば数か月遅れで店頭に反映されます。「一部ショップが強気なだけ」ではなく、供給の川上から上がっているのがこの相場の性質です。

販売側:在庫が戻っては、また消える

2026年7月25日にツクモ公式通販で「M.2 NVMe 500GB」を検索したところ、該当24件のうち23件が「在庫なし」。第一候補のWD Red SN700も、同日の国内主要ショップ(ツクモ・ドスパラ・パソコン工房・価格.com掲載店)で全容量が在庫切れでした。8月5日には500GBと1TBに在庫のある店が戻りましたが、9月に入って戻りは続いていません

型番 容量 直近の確認結果
WDS250G1R0C 250GB 掲載が1店のみ(マーケットプレイス出品)。実勢価格を確認できないため金額を掲載しません(9月2日確認)
WDS500G1R0C 500GB 35,047円(当サイトの目安=9月1日確認値を9月10日も据え置き。実質Amazonの1店だけで、在庫表示は「確認」=在庫を裏取りできていません/8月23日は2店で34,800円)
WDS100T1R0C 1TB マーケットプレイス出品のみで、実勢価格を確認できないため金額を掲載しません(9月1日確認/8月5日は在庫あり2店で61,660円)

1TBの金額を載せていないのは、載せられる数字が無いからです
9月1日のSN700 1TBの出品は、同じ商品なのに7万円台から13万円台まで開いており、いずれもマーケットプレイス出品でした。これは「相場」ではなく「相場が無い状態」です。「250GBから安く試す」入口も、掲載1店では成立しません。次に小さい500GBは35,047円=1GBあたり約70円で、「とりあえず試す」金額ではありません。

出典(価格.com 掲載ページ・2026年8月5日に初回確認、9月1〜2日に再確認):価格.com WD Red SN700 250GB500GB1TB/(2026年7月25日確認)ツクモ M.2 NVMe 500GB 検索結果

値動き:数日で数千円動く

WD Red SN700 500GBは6月26日の32,920円から7月12日に36,785円へ上がり、8月23日は34,800円。9月10日の掲載はAmazon 1店のみ(表示32,511円・在庫表示は「確認」=在庫を裏取りできず)で、掲載1店だけの表示価格は実勢として採らない方針のため、本記事は9月1日に確認した35,047円を目安として据え置いています(7月25日比 約6%上)。1か月半、下げても上げても数千円の幅で往復しているだけです。Crucial P310 1TBは7月8日に前日比 +2,428円という動き方をしています。本記事の金額は「執筆時点のスナップショット」としてお読みください。

出典:価格.com 価格推移 WD Red SN700 500GBCrucial P310 1TB

2. 費用対効果の算数:キャッシュ2枚=NAS本体1台分

この記事はもともと「数千円でNASの体感が底上げできる」ことを推していました。その前提が成立するか計算し直します。

項目 高騰前(本記事の旧前提) いまの実勢(確認日は下の注記のとおり)
キャッシュ用SSD 1枚 SN700 250GB 約6,000円 SN700は250GB・1TBとも実質買えない/在庫がある妥当品はNVMe 1TBの30,596円〜34,980円
キャッシュ用SSD 2枚(RAID1) 約18,000円 約61,192円
比較:NAS用HDD(WD Red Plus 4TB)1本 32,500円
比較:NAS本体(Synology DS225+) 64,000円

旧前提は250GB/500GB、実勢は在庫のある1TBクラスで置き換えています。同容量で比べると500GBは高騰前の約9,000円が35,047円で約3.9倍、250GBは比較できる実勢価格がありません。

NVMe 1TBは2026年9月10日に再確認(Lexar NM790 1TBは30,596円=7月25日の30,800円と同じ水準。楽天の4万円台後半〜5万円台は転売とみて採用していませんSamsung 990 PRO 1TBは34,980円で8店同値)。HDDは9月8日、NAS本体は9月3日に更新した本サイトの価格データに基づく目安です。

  • キャッシュ用SSD 1枚 ≒ NAS用HDD 4TB 1本(NM790 30,596円/990 PRO 34,980円に対し、HDDは32,500円)
  • キャッシュ用SSD 2枚 ≒ NAS本体1台分(NM790 2枚61,192円/990 PRO 2枚69,960円に対し、DS225+ 本体は64,000円)

2枚1組の総額は、選ぶ銘柄でNAS本体1台分の上下にまたがります(NM790 2枚なら本体より2,808円安く、990 PRO 2枚なら5,960円高い)。どちらにしても、増設の出費がNAS 1台と同じ桁になることは変わりません。

この約61,192円は、耐久(TBW 1,000TB)が確保できるLexar NM790 1TBを2枚組んだ場合です。基準を変えても、どの組み方もNAS本体1台分(64,000円)と同じ桁の出費になります

  • 別の1TBクラスで組む9月10日時点のSamsung 990 PRO 1TBは34,980円(8店同値)でNM790より高く、2枚なら69,960円。TBWも600TBとNM790の6割で耐久が見劣りします(どちらもNAS専用設計ではなく、Synology機ではHCLの制約で使えません)
  • NAS専用設計・高TBWを守る:WD Red SN700は1TBの実勢価格を確認できず、見積もり自体が立ちません(第1章)。500GBで2枚組んでも70,094円で容量は半分。Synologyの2025年モデルならHCL掲載のSNV3410が1枚で約9万円(第4章)

つまり、「数千円で体感を底上げできる」という本記事の売りは、2026年の価格水準では成立しません。いちばん安く組んでも6万円台(NM790 2枚で61,192円)かかり、ほぼ同じ金額でHDDを2本足せば(65,000円)RAID 1でも置き場が4TB増えます。転送が遅いという不満のほうは、そもそもSSDキャッシュでは解決しません(一度きりの大容量コピーは速くならない=第3章)。効くのはネットワークとHDDの側です。

2.5GbE化で速くなるのは10GB級で「1.2〜1.4倍」(当サイト実測)

ネットワークを1GbE→2.5GbEに上げると、大きなファイルのコピーそのものが速くなります。ただし回線の広さの分(2.5倍)は出ません。当サイトがUGREEN DXP2800(HDD 2本・RAID 1)で10GBのファイル転送とiperf3を実測した値です。

方向 1GbE 2.5GbE 倍率
書込 PC→NAS 112.4 MB/s 139.7 MB/s 1.24倍
読出 NAS→PC 108.4 MB/s 148.5 MB/s 1.37倍
回線帯域(iperf3) 953 Mbps 2.38 Gbps 2.50倍

回線はiperf3で2.5倍に広がっているのに、実転送は1.24〜1.37倍で止まりました。頭打ちの原因は回線ではなくHDDです(2.38Gbpsは約296MB/s相当で、その半分ほどしか使えていません)。10GBのコピーで縮む時間は書込15〜25秒・読出23〜29秒。SSDでドライブを組めば回線の上限に近づく余地はありますが、当サイトはSSD構成を実測していません(見込みです)。

実測はNASの2.5GbE化は何倍速い?(2026年9月4日・9月8日測定/PC─2.5Gハブ─DXP2800の1経路・10GB×3ラウンドの中央値)。速度はHDDの性能・ハブ・ケーブルの規格に左右されます。

この1.2〜1.4倍をどう見るかです。Synology DS225+ は2.5GbEポートとクアッドコアCPUの2ベイ機で実勢64,000円前後。キャッシュ用SSD 2枚(約61,192円)とほぼ同額なので、同じ予算で本体を丸ごと新しくする選択肢があります。CPU世代も上がるため、写真一覧やサムネイル生成の待ち時間にも効きます。

※DS225+ はM.2スロット非搭載でNVMeキャッシュは組めません。「本体の世代を上げる」方向の選択肢です(価格は変動します)。

3. そもそもSSDキャッシュは「効く用途」が限られる

高騰の話を抜きにしても、家庭用NASの使い方の多くではSSDキャッシュの体感差は出ません

効く用途 効きにくい用途
写真数万枚のサムネイル生成・一覧のスクロール 一度きりの大容量コピー(動画の吸い出しなど)
Plex・Immichなどメディアライブラリの読み込み アクセス頻度の低いデータのバックアップ保管
毎日開く共有フォルダ・小さいファイルの大量アクセス 週1回のPCまるごとバックアップ

分かれ目は同じデータへ繰り返しアクセスするかです。キャッシュは「よく読むデータをSSDに置いておく」仕組みなので、一度読んで終わりのデータには出番がありません。

自分がどちらか、3秒で判定する

  • 「写真アプリの一覧が出るまで待たされる」→ 効く側
  • 「大きい動画のコピーが遅い」→ 効かない側(ネットワークとHDDの速度の問題)
  • 「効く側」と出た方も、2026年の価格では2枚で約61,192円。次に取る手は第5章Dへ

「遅い」の中身がネットワーク側なら、SSDキャッシュを足しても体感は変わりません。原因の切り分け手順はNASが遅いときの改善ガイド、速度差の数値の見方はベンチマーク記事へ。

キャッシュはバックアップでも冗長化でもない

SSDキャッシュを足してもデータの保護は強くなりません。RAIDや世代バックアップは別途必要です。とくに読み書きキャッシュ(書き込みも一度SSDで受ける設定)は、1枚構成だとSSD故障時に、HDDへ書き終える前のデータへ影響が出る場合があります。だから2枚(RAID1相当)が推奨されるのですが、2026年はそれが約61,192円という話に戻ります。

4. Synologyユーザーの落とし穴:M.2はいまもHCL必須

「価格が下がったら買おう」という方に、先に知っておきたい制約があります。Synologyは DSM 7.3 で3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDのサードパーティ製品への制限を緩和しましたが、公式リリースの脚注には次の一文が残っています。

"Creation of M.2 based storage pool and cache still requires drives on the HCL."

出典:Synology 公式ニュース DSM 7.3(2025年10月8日公開・脚注部分/2026年7月25日に脚注の存続を再確認)

つまり M.2スロットを持つSynologyの2025年モデル(DS425+/DS925+ など)では、M.2キャッシュだけは今も互換性リスト(HCL)掲載ドライブが必須です。店頭で買える汎用NVMe SSDは基本的に選べません。DS225+ など2ベイのエントリー機はM.2スロット自体が無く、そもそもNVMeキャッシュを組めません。該当する純正ドライブ Synology SNV3410-400G(400GB)は、2026年9月10日時点で90,100円前後(実売の帯は90,099円〜91,590円)。家庭用として推奨できる価格ではありません。

出典:価格.com SNV3410-400G 検索結果(2026年9月10日確認・9出品のうち5出品が上記の帯に密集)。HCLの掲載型番一覧は動的生成ページのため取得できていません。購入前にSynology公式の互換性リストをご確認ください。QNAP・UGREEN・TerraMasterの同種の制限は未確認です。

そもそも自分のNASにM.2スロットはあるか(対応表)

NVMeキャッシュを組めるかどうかは、まずNAS本体にM.2スロットがあるかで決まります(2026年7月時点)。

  • M.2 ×2 搭載:Synology DS925+(キャッシュにHCL掲載ドライブが必須)/UGREEN NASync DXP2800・QNAP TS-264(ドライブ制限の有無は未確認)
  • M.2 非搭載:Synology DS225+/DS224+/DS223j などエントリー2ベイ機。NVMeキャッシュ不可=SATA SSDやオールフラッシュで高速化する方向になります

5. では、いまどうするのが正解か(4つの現実解)

あなたの「困りごと」 取るべき手 目安の出費
特に困っていない A. 何もしない(相場を待つ) 0円
写真・動画が入りきらない B. NAS用HDDを足す 4TBで32,500円前後
大きなファイルのコピーが遅い C. ネットワーク/本体の世代を見直す ケーブル・ハブなら数千円〜/本体更新は64,000円前後
写真アプリの一覧表示がもたつく D. キャッシュが効く側。ただし価格を見て判断 2枚で約61,192円

A. 何もしない(多くの人の最適解)

いま困っていないなら、相場が落ち着くまで待つのが最も損をしません。NANDの上昇率は3Q26で+10〜15%まで鈍化する見通しで(TrendForce、2026年7月3日発表の予測)、需給が反転すれば下がる余地があります。買わない判断も、立派な判断です。

B. 容量が足りないなら、SSDでなくHDDを足す

不満の中身が「容量」なら、SSDキャッシュは関係ありません。NAS用HDDは1本32,500円前後(4TB)で、キャッシュ用SSD 1枚(30,596円〜34,980円)とほぼ同じ金額です。空きベイに1本足せば写真・動画の置き場が4TB増えます(RAID1で冗長化するなら2本必要)。選ぶ基準は「①NAS専用モデル ②CMR方式(SMR回避) ③180TB/年以上の耐久」の3点。おすすめはNAS用HDDのおすすめ、容量の決め方は容量ガイドへ。

まず4TBが基準で、GB単価が下がる6TB(42,980円前後)も選択肢です。HDDも値上がり傾向のため(WD Red Plus 6TBが2週間で+41%動いた記録があります)、購入前に今日の実売を確認してください。

C. 速度が要るなら、キャッシュ以外の手を先に試す

  • まず0円で切り分ける:1GbEのハブ・LANケーブル(カテゴリ5e以下)がボトルネックなら、そこを直すほうが安く効きます(手順はNASが遅いときの改善ガイド
  • 本体の世代を上げる:2.5GbE対応機への更新。ただしHDDのままなら大きいファイルは1.2〜1.4倍と割り切る(第2章の実測。メモリに収まる1GB級は1本目が2倍超)。機種比較は家庭用NASのおすすめランキング
  • メモリ増設:DRAMの契約価格も上昇見込みで(3Q26は前四半期比 +13〜18% の予測/TrendForce)、安い逃げ道にはなりにくい状況です

D. 「効く側」と判定された方へ(相場が戻るまでの待ち方)

3秒判定で「写真アプリの一覧が待たされる」と出た方は、キャッシュで体感が変わる可能性があります。ただし2026年9月10日の価格では、写真一覧の待ち時間を縮めるために2枚で約61,192円=NAS本体1台分に近い金額を出す判断になります。進め方は2つです。

  • 再検討ラインを決めて待つ:本記事の目安は「WD Red SN700 500GBが1万円台に戻ったら再検討」(高騰前の実売は約9,000円、9月10日時点の当サイトの目安は35,047円)
  • 同じ予算で本体を替える:CPUの世代も上がるため、写真一覧やサムネイル生成そのものが速くなることがあります(第2章)。どちらが自分の不満に効くかを比べてから決めてください

6. 相場が落ち着いたら、どう選ぶか(スペックの見方は今も有効)

ここから先は、価格相場と関係なく使える「NAS用SSDの選び方」です。

選び方の3チェックポイント

  • 接続方式:速度を足す(キャッシュ)ならNVMe M.2、容量・作業領域ならSATA 2.5インチ
  • 耐久性(TBW):キャッシュは書き換えが激しいので500TBW以上が安心
  • NAS対応・互換性:NAS専用設計か、本体のHCL対応か(M.2プールはHCL確認必須

参考:主要NVMe SSDのスペック

以下は各社の公表値です。価格・在庫の状況は第1章(SN700)・第2章(990 PRO/NM790)にまとめています。

モデル容量ReadWriteTBW
WD Red SN700250GB3,100MB/s1,600MB/s500TBW
WD Red SN700500GB3,430MB/s2,600MB/s1,000TBW
WD Red SN7001TB3,430MB/s3,000MB/s2,000TBW
Synology SNV3410800GB3,100MB/s1,000MB/s1,022TBW
Samsung 990 PRO1TB7,450MB/s6,900MB/s600TBW
⚠ 通常のNVMe SSDをキャッシュに使う際の注意
Samsung 990 PROは家庭用NASキャッシュでも動きますが、連続稼働耐性・電源断(停電)時の挙動ではSN700・SNV3410のようなNAS専用設計が安心です。在庫のある1TBクラスにはQLC採用モデル(Crucial P310・KIOXIA EXCERIA BASICなど)が含まれ、QLCはTBWが小さい傾向のため書き換えの激しいキャッシュ用途には向きません。中古・並行輸入品は保証対象外になる場合があり、書込寿命のあるSSDは新品が安全です。

参考:主要SATA SSDのスペックと価格・在庫(2026年7月時点)

無音・省電力のオールフラッシュNASや動画編集の作業領域にはSATA SSD、という考え方は有効です。ただし2026年7月25日時点で、ツクモの「SSD 4TB 2.5インチ」検索の該当製品はすべて在庫なしでした(総額の提示は撤回)。DRAMレスの一般向けモデル(Crucial BX500など)は書き込みが続くと速度が落ちやすく、高TBWのMX500・DC600Mクラスを優先してください。

モデル容量ReadWriteTBW保証2026年7月25日時点
Samsung 870 EVO4TB560MB/s530MB/s2,400TBW5年在庫なし(表示314,980円=終息在庫のプレミア値)
Crucial MX5004TB560MB/s510MB/s1,000TBW5年在庫なし(表示58,980円)
Synology SAT52101.92TB530MB/s500MB/s4,800TBW5年実勢・在庫は未確認
Kingston DC600M3.84TB560MB/s530MB/s7,008TBW5年実勢・在庫は未確認

出典:ツクモ「SSD 4TB 2.5」検索結果(2026年7月25日確認)

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年の今、NAS用SSDは買い時ですか?
A. 買い時とは言えません。NANDの契約価格は2026年第2四半期に前四半期比70〜75%、第3四半期も10〜15%上昇する見通しです(TrendForce)。定番のWD Red SN700は9月10日時点で500GBが実質1店(在庫は裏取りできず、当サイトの目安は35,047円)、1TBと250GBは実勢価格を確認できていません。代替のNVMe 1TBは30,596円〜34,980円で、NAS用HDD 4TB 1本と同じ水準です。急ぎでなければ相場が落ち着くまで待つことをおすすめします。
Q2. SSDキャッシュは本当に効果がありますか?
A. 用途によります。効果が大きいのは、写真数万枚のサムネイル生成・検索やPlex・Immichのメディア再生など同じデータへ繰り返しアクセスする用途です。一度きりの大容量コピーやアクセス頻度の低いバックアップでは体感差が出にくく、HDDのみで十分です。まず自分の「遅い」がどちらかを確かめてください。
Q3. キャッシュ用SSDは1枚と2枚、どちらがいいですか?
A. 読み書きキャッシュなら2枚でRAID1相当が安心です(1枚だと故障時に書き込み途中のデータへ影響が出る場合があります)。ただし2026年9月10日時点では2枚で約61,192円かかり、NAS本体1台分(64,000円)に迫ります。この金額を出す価値がある用途か見極めてください。
Q4. 全SSD構成(オールフラッシュNAS)はアリですか?
A. 静音・省電力・RAID再構築が速いというメリットは健在ですが、2026年7月時点では現実的ではありません。ツクモの「SSD 4TB 2.5インチ」検索は該当製品がすべて在庫なし、価格表示もSamsung 870 EVO 4TBが314,980円と相場から乖離しています。以前掲載していた「約84,000円」という総額は撤回します。
Q5. Synology機に市販のM.2 SSDをキャッシュとして使えますか?
A. 2025年モデルでは基本的に使えません。DSM 7.3で3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDのサードパーティ制限は緩和されましたが、公式リリースの脚注には「M.2ベースのストレージプールおよびキャッシュの作成には引き続きHCL掲載ドライブが必要」と明記されています。購入前にSynology公式の互換性リストを必ず確認してください。

まとめ:2026年の答えは「買わずに、使い方を見極める」

この記事の要点

  • 2026年9月時点でも、NAS用SSDの新規購入・キャッシュ増設はいったん見送りが現実的
  • 理由は価格:キャッシュ用SSD 1枚 ≒ NAS用HDD 4TB 1本、2枚 ≒ NAS本体1台分(2枚で約61,192円/DS225+ 本体64,000円)
  • 定番のWD Red SN700は9月10日時点でも流通が細ったまま、500GBは実質1店(当サイトの目安35,047円)、1TBと250GBはマーケットプレイス出品のみで実勢価格を確認できていません
  • そもそもキャッシュが効くのは同じデータへ繰り返しアクセスする用途だけ。Synology 2025年モデルのM.2キャッシュは今もHCL掲載品が必須(純正は400GBで約9万円)
  • 容量が不満ならHDD増設、コピーが遅いなら0円の切り分け→ネットワーク・本体世代の見直しが先。2.5GbE化の伸びは当サイト実測で10GB級なら1.24〜1.37倍、1GB級なら1本目が2倍超実測記事。回線ではなくHDDが壁)
  • 価格・在庫は変動します。購入前に必ず最新の実売をご確認ください

「容量を足す」方向に決めた方は、NAS用HDD 4TBの今日の実売を確認するところからです。キャッシュ用SSD 1枚より安く、写真・動画の置き場が4TB増えます。

HDDも値動きがあります。上のリンクで最新価格・在庫を確認してからご判断ください(本文のHDD価格は2026年9月8日・9月10日確認の目安)。


訂正の記録:過去に掲載していた内容の訂正

本記事が2025年8月〜2026年前半に掲載していた内容のうち、現在は成立しないものです。

旧記述 撤回・訂正の理由
「家庭用の第一候補は HDD+NVMe SSDキャッシュ」「250GBから試す」 価格高騰で費用対効果が崩れ、「いったん見送り」へ変更
「快適構成 SN700 500GB×2 約18,000円」 35,047円×2=70,094円(9月10日)。非推奨へ
「オールフラッシュ構成 約84,000円」「プレミアム構成 約136,000円〜」 SATA 4TBクラスが全滅。総額を撤回
SN700 1TB「約16,000円」/SNV3410「約30,000円」 前者は61,660円へ訂正後、9月1日に掲載を停止。後者は400GBで約9万円へ訂正(9月10日時点の帯は90,099円〜91,590円=第4章)
NVMe 1TB(Lexar NM790)の実勢「約36,300円」 当サイトが検索結果側の別出品を拾った取り違えで、実勢の下落ではありません。正規の製品ページ基準で30,596円へ訂正(9月10日)。これに伴い「2枚1組=約72,600円」も61,192円へ訂正し、NAS本体との大小関係が変わっています
「1GbE→2.5GbEでコピー時間は2倍前後」 当サイトの実測(HDD 2本・RAID 1・10GBファイル)は1.24〜1.37倍。2026年9月8日に訂正(第2章)。9月14日の追加実測で、NASのメモリに収まる1GB級のファイルは1本目の書込2.11倍・読出2.63倍(3回中2回)と判明