更新日:2026年8月2日|カテゴリ:HDD・SSD・ストレージ選び

NASを買うとき、HDDの容量で悩む方はとても多いです。「4TBで足りる?」「8TBにしておくべき?」——容量が少ないと後悔し、多すぎると無駄になります(NASそのものの基礎はNASとは?仕組みとできることへ)。

結論:家庭用NASなら、写真・動画メインの場合は1台あたり4〜8TBを2本(=合計8〜16TB)がおすすめです。ただしNASは2本1組で組み、片方が壊れてもいいように半分を予備に回す(RAID 1)のが基本なので、合計16TBでも実際に使えるのは約8TB。用途で必要量は変わるので、下の「早わかり診断」で自分に必要な容量を確かめましょう。

🔍 早わかり診断:あなたは何TB?(2ベイ・RAID 1前提=HDD2本で実効は半分)

  • スマホ写真・書類が中心(動画はときどき)→ 4TB×2本(実効4TB)。家族3〜4人の写真5〜10年分に十分
  • 写真+子どもの動画もしっかり残したい8TB×2本(実効8TB)。最も多くの家庭の“正解ライン”
  • 4K動画を日常的に撮る/一眼RAW大量/テレビ録画もNASに12TB×2本(実効12TB) または4ベイへ
  • 動画編集・クリエイター用途→ 実効16TB以上(4ベイで拡張余地を確保)

迷ったら「写真中心は8TB×2、動画も多いなら12TB×2」を選ぶのがおすすめです。

用途別・必要容量の目安

用途 データの目安 必要容量の目安
スマホ写真の保存(家族3人・5年分) 写真1枚=約4〜8MB、年間3,000枚/人 約200〜400GB
デジカメ写真(RAWデータ・5年分) 1枚=約25MB、年間5,000枚 約600GB〜1TB
動画(スマホ4K・家族5年分) 1分=約350MB(4K30fps) 2〜4TB
PCバックアップ(1台) PCの使用容量と同程度 500GB〜2TB
Time Machine(Mac 1台) Macストレージの2倍以上(Apple推奨) 500GB〜2TB
Blu-ray・DVD動画コレクション Blu-ray 1枚=25〜50GB コレクション数×50GB

出典:Apple サポート「Time Machine のバックアップディスクには Mac の2倍以上の容量を推奨」

合算してみよう:家族3人・写真も動画もPCバックアップも全部やる場合
・スマホ写真(3人・5年分):約300GB
・子どもの4K動画(5年分):約3TB
・PC2台のバックアップ:約1TB
→ 合計 約4.3TB。これを「×2倍」で将来に備えると実効8TB前後=8TB×2本が安心ラインです。

RAID構成別・実効容量の計算方法

ここでは容量計算の観点からRAIDを扱います(RAIDの仕組み自体や耐障害性・書き込み性能の違いは、RAIDレベルの比較SHRとRAIDの違いで詳しく解説しています)。2ベイNASを買う方は「RAID 1」の行だけ見ればOK(RAID 5/6は3〜4ベイ以上の人向けなので読み飛ばして大丈夫です)。

RAID構成 必要HDD台数 実効容量の目安 耐障害性
RAID 0(ストライピング) 2台以上 合計容量×100% なし(1台でも壊れたら全データ喪失)
RAID 1(ミラーリング) 2台 合計容量÷2 1台までの故障に耐える
RAID 5 3台以上 (N-1)台分(例:4TB×4→実効12TB) 1台までの故障に耐える
RAID 6 4台以上 (N-2)台分(例:4TB×4→実効8TB) 2台までの故障に耐える
SHR(Synology独自) 1台以上 RAID 1/5相当・容量の違うHDDも混在OK 1台までの故障に耐える

たとえば4TBのHDDを2台搭載した2ベイNASでRAID 1を組むと、実効容量は4TBになります。8TB×2台=16TBではなく8TBしか使えないため、「必要容量×2倍のHDD」を購入する想定で予算を立てるのが基本です。

4ベイのNASでRAID 5を組む場合、4TB×4=16TBの合計から1台分(4TB)が冗長性のために使われ、実効容量は約12TBとなります。耐障害性と容量効率のバランスがよく、家庭用〜小規模オフィス用途で人気の構成です。

具体例:2ベイNASで実際に使える容量

2ベイNASでHDDを2本搭載する場合、RAIDの設定によって実際に使える容量が変わります。

HDD構成 RAID 0(ストライピング) RAID 1 / SHR(ミラーリング)
4TB × 2本 約8TB使える(冗長性なし) 約4TB使える(1本故障に耐える)
8TB × 2本 約16TB使える 約8TB使える
4TB + 8TB(異容量) 非推奨 SHR:約4TB使える

家庭用途ではデータ保護のためRAID 1(またはSHR)が推奨です。使える容量は半分になりますが、HDD1本が故障してもデータを失いません。なお、容量の違うHDD(例:4TB+8TB)を混ぜると、RAID 1では小さい方(4TB)に揃うため8TBの半分がムダになります。基本は同じ容量で揃えるのがおすすめです(Synology SHRは3本以上の構成で混在のムダを減らせる仕組みで、2本ではRAID 1と実効容量は同じです)。


用途別おすすめHDD構成(2ベイNAS)

写真・スマホデータ中心の家庭利用

推奨:4TB × 2本(SHR/RAID 1)→ 実効容量約4TB

家族3〜4人の5〜10年分の写真・動画を余裕を持って保存できます。Seagate IronWolf 4TBは1本あたり実売約26,980〜30,000円(2026年8月時点。NAS向けHDDは生成AI・データセンター需要で値上がり傾向)です。

本文で挙げた Seagate IronWolf 4TB(CMR・NAS向け24時間稼働・データ復旧サービス3年付)。同容量で2本揃えるのが基本です。他の候補や容量別の比較はNAS用HDDのおすすめランキングにまとめています。

4K動画・RAW写真も大量に保存したい

推奨:8TB × 2本(SHR/RAID 1)→ 実効容量約8TB

動画制作・一眼カメラ趣味の方はこれが安心ラインです。Seagate IronWolf 8TB(現行はST8000VN002。先代の7200rpmモデルST8000VN004は国内で実質終売)は1本あたり実売約49,000円(執筆時点。NAS向けHDDは生成AI・データセンター需要で値上がり傾向。価格.com等の実勢を元にした目安で、変動します)です。同じ8TB帯のWD Red Plus 8TB(WD80EFPX)も選択肢です。

最も多くの家庭の“正解ライン”=8TB×2本。下は同容量帯のWD Red Plus 8TB(CMR・NAS向け・メーカー保証3年)。IronWolfとWDのどちらでも実効容量は同じ8TBです。

PCバックアップがメイン用途

推奨:2TB × 2本(SHR/RAID 1)→ 実効容量約2TB

PCのシステムバックアップ中心なら、容量としては2TBで足ります。ただし2026年は容量あたりの単価で2TBがもっとも割高な帯になっており、単価の面では有利な選択ではありません。2TBにこだわる理由がなければ、4TB以上も候補に入れて比較することをおすすめします(容量帯ごとの単価差はHDD値上がりの相場と容量別の単価にまとめています)。


家族構成別・容量シミュレーション

一人暮らし・カップル世帯の場合

スマホ写真とPCバックアップが中心であれば、実効容量で2〜4TB程度あれば十分です。2ベイNASに4TBのHDDを2台搭載してRAID 1を組めば、実効容量4TBで安心して長期運用できます。動画撮影が多い方や、Blu-rayディスクをデジタル化して保存したい方は、最初から6〜8TB×2台を検討すると将来の容量不足を避けられます。

子育て家族(3〜5人)の場合

家族の人数が増えると、写真・動画の量は加速度的に増加します。写真の保存が中心なら前述のとおり実効4TBでも足りますが、動画の成長記録まで長期保存するご家庭では実効容量8〜16TBを目安にするのが安心です。2ベイNASなら8TB×2台でRAID 1(実効8TB)、より長期で考えるなら4ベイNASに4〜6TB×4台でSHRやRAID 5(実効12〜18TB)の構成が候補になります。

クリエイター・在宅ワーカーの場合

動画編集や写真のRAW現像、デザインデータなど大容量ファイルを扱う方は、実効容量16TB以上を視野に入れましょう。4K・8Kの動画編集データはあっという間に容量を使うため、4ベイ以上のNASで拡張余地を確保するのがおすすめです(4ベイ本体の選び方は4ベイNASのおすすめ、家庭用の最新ランキングは家庭用NASのおすすめランキングを参照)。SSDキャッシュに対応したモデルなら、編集中のレスポンスも改善できます。

容量を決めるときの3つのコツ

①「現在の使用量×2倍」を目安にする

NASは長期間(5〜10年)使う前提で選ぶ機器です。今使っているデータ容量の2倍以上を目安にすると、3〜5年は容量不足に悩まされにくくなります。たとえば現在のデータ量が3TBなら、実効容量6TB以上のNASを検討しましょう。今の使用量は、Windowsなら「設定→システム→ストレージ」、Macなら「このMacについて→ストレージ」、スマホは「設定→ストレージ」で確認できます。

②「最大容量」より「拡張性」を重視

無理に大きい容量のHDDを最初から積むより、後からHDDを追加・交換できる構成を選ぶほうが結果的にコストパフォーマンスが高くなります。SynologyのSHRなら、容量の異なるHDDを混在させたり、後から大容量HDDに1台ずつ交換したりすることが公式仕様で可能です。

③ バックアップ用に「もう一段」確保する

NAS本体はあくまで「共有ストレージ」であり、バックアップではありません。RAID 1や5を組んでいてもデータが失われるリスクはあるため、別途外付けHDDやクラウドにバックアップする想定で容量計画を立てましょう。バックアップ先は本体と同等以上の容量が必要です。

容量が足りなくなったときの増設パターン

NASの容量が足りなくなったとき、主に次の3つの選択肢があります。

  1. 空きベイにHDDを追加する:4ベイのNASで2台しか使っていない場合、3台目・4台目を追加することで容量を増やせます。SHRやRAID 5なら追加後にボリュームを拡張できます。
  2. HDDを大容量に交換する:すでに全ベイ使用中の場合は、1台ずつ大容量HDDに交換することで段階的に容量アップが可能です(SHR・RAID 1で対応)。
  3. 拡張ユニットを追加する:Synologyの上位モデルなどでは、専用の拡張ユニット(DXシリーズなど)を接続して、ベイ数自体を増やすことができます。

増設の前には必ず全データの別バックアップを取り、メーカー公式マニュアルの手順に沿って作業しましょう。

大容量HDDへの交換手順(SHR / RAID 1)

SHR(Synology Hybrid RAID)やRAID 1なら、HDDを1本ずつ大容量のものに交換することでデータを消さずに拡張できます。

  1. 1本目のHDDを大容量HDDに交換→リビルド完了まで待つ(12〜24時間)
  2. 2本目のHDDを大容量HDDに交換→リビルド完了まで待つ
  3. DSMのストレージマネージャーから容量を拡張(「容量を展開」)

例:4TB×2本 → 8TB×2本に入れ替えれば、実効容量が4TB → 8TBに拡張できます。データを消さずに拡張できる点がNASの大きなメリットです。

よくある質問(FAQ)

Q1. HDDは大きければ大きいほど安心?

必要以上に大きいと初期コストが上がり、使い切れないまま交換時期を迎えることもあります。「現在の使用量×2倍」を基本の目安に、動画が多い・長期運用前提なら3倍程度まで広げる、と考えるとバランスが取れます。

Q2. NASのHDDはどのメーカーがいい?

NAS向けとして定評があるのはSeagate IronWolfとWD Red Plusです。どちらも24時間稼働・振動対策・長時間ワークロードへの耐性を公式仕様で明記しており、信頼性が高いです。具体的なモデル比較はNAS用HDDのおすすめ記事をご覧ください。

Q3. CMRとSMRはどちらを選ぶべき?

NAS用途では基本的にCMR(従来記録方式)を選びましょう。SMR(瓦記録方式)はNASの連続書き込みに弱く、速度低下や故障リスクが高まる傾向があります。型番での見分け方はCMRとSMRの違いと見分け方で解説しています。

Q4. 写真は何枚保存できる?

スマホのJPEG写真(1枚約5MB)を基準にすると、容量別の保存枚数の目安は次のとおりです。

容量 保存できる写真枚数(1枚5MB換算)
500GB 約10万枚
1TB 約20万枚
2TB 約40万枚
4TB 約80万枚
8TB 約160万枚

(計算根拠:500GB=500,000MB÷5MB=約10万枚。RAW写真1枚25MBならこの5分の1、4K動画15秒(約80MB)換算なら500GBで約6,000本が目安です)

家族3人で年間9,000枚(3,000枚/人)撮るとしても、4TBなら計算上は約90年分に相当します。実際は動画やバックアップも同居するため、余裕を持った容量設計をおすすめします。

NASとは別に、外付けHDDへバックアップを取るなら、その1台の容量とフォーマットの決め方はNASのバックアップ先に使う外付けHDD/SSDの選び方にまとめています(写真1枚5MBの前提は本記事と共通です)。

Q5. 容量の異なるHDDを混在させてもいいですか?

一般的なRAID(RAID 1/5/6)では、すべてのHDDが「最も小さい容量」に揃えられるため、混在のメリットが少なくなります。一方、Synology独自のSHRでは、容量の異なるHDDを比較的柔軟に組み合わせられる仕様になっています。詳しくはSynology公式「Synology Hybrid RAID(SHR)とは」をご確認ください。

Q6. 大容量HDD1台より、小容量HDD複数台のほうがいい?

価格効率という点では、現在は8TB〜12TB帯のHDDがGB単価で有利な傾向にあります。ただし複数台で組むRAIDは耐障害性が高まる一方、消費電力やNAS本体のベイ数の制約も考慮が必要です。一般的には「2ベイなら大容量HDD2台」「4ベイ以上なら中容量HDD複数台」というバランスが選ばれることが多いです。2026年は容量帯ごとの単価差が大きく開いているため、8TB以上が単価で有利になった理由と相場の推移もあわせてご確認ください。

Q7. 容量が大きいほど故障しやすいというのは本当?

一般的に、大容量HDDほど構造が複雑になりやすい傾向はあります。ただし最近のNAS用HDDは、大容量モデルでも長期信頼性を考慮した設計がされています。それよりも「定期的なバックアップ」「異音や警告メールに気付いたらすぐ交換」「電源やファンなどNAS本体のメンテナンス」のほうが実運用上は重要です。

Q8. クラウドストレージと比べてどちらが容量効率がいい?

初期費用はNASのほうが高くなりますが、保管量が増えるほど容量あたりの長期コストはNASが有利になります。分岐点はおおむね2TBで、2TBに収まるうちは初期費用ゼロのクラウドのほうが5年スパンでも安く、2TBを超えるとNASが有利になります(詳しい試算はNASとクラウドの徹底比較を参照。料金はサービス・時期により変動するため、最新情報は各サービスの公式ページでご確認ください)。

購入前のチェックポイント(容量以外)

NAS用HDDを選ぶ際は、容量だけでなく以下の点も合わせて確認すると失敗しにくくなります。回転数(5,400rpm/7,200rpm)はランダムアクセス性能と発熱・消費電力のトレードオフ、キャッシュ容量は連続書き込みの安定性、ワークロードレーティング(年間TB)は耐久性の目安となる重要な公式仕様です(例:Seagate IronWolf は年間180TB)。

また、メーカー保証期間(一般的に3年〜5年)も重要なポイントです。長期運用するNASでは、保証の長いモデルを選んでおくと、万が一の故障時にも安心です。購入時は必ずNAS本体メーカーの「互換性リスト」に掲載されているHDDを選びましょう。互換性リスト外のHDDは動作保証がなく、トラブル時のサポートも受けにくくなります。

まとめ:迷ったら「実効容量で必要量×2倍」

NASのHDD容量は、現在のデータ量×2倍を目安に、RAID構成による実効容量で考えるのが基本です。家族の写真・動画中心なら実効8〜16TB、クリエイター用途なら16TB以上を視野に、後から拡張できる構成を選ぶと長く使えます。価格やキャンペーン情報は変動するため、購入時は各メーカー公式サイトの最新情報を必ずご確認ください