「Synologyは自社ブランドのHDDしか使えないらしい」──2025年に広まったこの話は、いま検索してもそのまま出てきます。DS225+やDS425+を買おうとして、カートの前で手が止まっている方も多いはずです。

先に答えを書きます。この縛りは2025年10月8日公開のDSM 7.3で、ほぼ撤回されました。市販のNAS用HDDを買ってきて、そのまま入れて、ストレージプールを作れます。

ただし「完全撤廃」ではありません。今も残っている制限が3つあります。そして2024年以前のモデルを使っている方には、この話は最初から一度も関係していません

この記事では、Synology公式のナレッジセンターを実際に開いて確認した線引きを表にしたうえで、「で、結局どのHDDを何本買えばいいのか」まで進みます。

結論:市販のNAS用HDDで大丈夫。ただし制限が3つだけ残っている

  • 2025年モデル(DS225+・DS425+・DS925+ など):DSM 7.3以降なら、互換性リストに載っていない3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDでも新しいストレージプールを作れます(公式KBで確認)。自機のDSMが7.3以降かの確認手順は本文で解説します(2025年中ごろにセットアップした機体は7.2系のままのことがあります)
  • 2024年以前のモデル(DS223j・DS224+ など):このポリシー自体が適用されません。最初から縛られていません
  • 今も残る制限は3つ:①M.2 NVMe SSDの新規プール・キャッシュ(互換性リスト掲載品が必要)②事後重複排除+圧縮(Synology製ドライブが必要。さらにBtrfs限定・対応機種は上位モデル中心)③非互換リストに載ったドライブ(全シリーズで使用不可)
  • 買うもの:2ベイなら WD Red Plus 4TB(32,500円前後)×2本が無難です。純正の HAT3300 4TB(43,136円前後)との差は1本あたり10,636円、2ベイで21,272円です
  • ⚠️ ラックマウントのRS Plusシリーズは、今もHDDの新規プール作成に制限が残っています。この記事はデスクトップの家庭用機を前提にしています

記事内の価格の確認日は2026年8月4日です。

あなたのNASはどれ? 3つのグループに仕分けると答えが出る

「使えるか使えないか」を機種名なしで議論すると、必ず食い違います。Synologyのドライブ互換性ポリシーは、機種の発売年とシリーズで適用範囲が違うからです。分かれ道は次の3つです。

  1. 2024年以前に発売されたモデル(ポリシーの対象外)
  2. 2025年モデルのデスクトップ機(Plus・Value・J=DSM 7.3で解除済み)
  3. ラックマウント機・法人向けモデル(今も制限あり)

自分がどこに当てはまるかを、次の表で先に確定させてください。

グループ 代表機種 このポリシーの対象か 市販の3.5インチHDDで新規プール
2024年以前のモデル DS223j/DS223/DS224+/DS423+/DS923+/DS220j など 対象外(遡及適用されない) できる(もともと制限なし)
2025年モデル・DiskStation Plus DS225+/DS425+/DS725+/DS925+ など 対象。ただしDSM 7.3で解除済み できる
2025年モデル・Value/Jシリーズ 該当する2025年発売機を当サイトでは確認できていません 対象(公式ポリシー上) できる(公式KBの表で確認)
RS Plus(ラックマウント) RSシリーズ 対象 新規は不可(既存プールの移行のみ)
FS/HD/SA/UC/XS+/XS など法人機 法人・エンタープライズ機 対象 新規は不可(移行のみ)

公式KBには、この記事でいちばん大事な一文がはっきり書かれています。

新しいドライブ互換性ポリシーは、2025年以降の新モデルのみに適用され、既存のシステムには遡及適用されません

出典:Synology ナレッジセンター「2025年以降のドライブ互換性ポリシーに関するFAQ(DSM 7.3以降)」(2026年8月4日にブラウザで閲覧。ページ表記の最終更新日は2026年5月27日で、日本語ページには機械翻訳である旨の注記があります)

つまり、DS223jやDS224+を使っている方は、この記事の残りを読まなくても構いません。好きなNAS用CMR HDDを買ってください。当サイトの運営者もDS223jに市販HDDを入れて運用しています(DS223jのHDD交換手順)。

「2025年モデルかどうか」は型番の数字で見分けます

DS225+・DS425+・DS925+ のように、型番の数字の末尾2桁が発売年(西暦の下2桁)を表します。末尾が「25」なら2025年モデル、DS224+・DS923+ は2024年・2023年のモデルで、このポリシーの対象外です。ただし型番の読み方には例外もあり得るため、購入前にはSynology公式の互換性リストでご自身の機種名を選んで確認してください。

前提の確認:あなたのNASのDSMは7.3以降ですか

ここまでの「作れます」は、すべてDSM 7.3以降であることが前提です。2025年モデルであっても、DSMが7.2系のままなら制限が残っている状態です。ここだけは機種名ではなく、実機の画面で確かめてください。

  • 確認する:DSMにログインし、「コントロールパネル」→「更新と復元」を開くと、現在のDSMバージョンが表示されます
  • 7.2系だったら:同じ画面から更新できます。2025年6月発売のDS225+のように、DSM 7.3公開(2025年10月8日)より前にセットアップした機体は、そのとき最新だった7.2系のまま止まっている可能性があります。DSMは自動では上がらないことがあり、当サイトのDS223jも7.2.2のままです。「2025年モデルなのにプールが作れない」で行き詰まっている方は、まずここを見てください
  • これから新品を買う方:初期セットアップの流れでDSMを導入します。そのとき何番のDSMが入るかは、当サイトでは確認できていません(製造時期やセットアップ時の導入経路で変わるため、実機で確認してください)。セットアップ直後に上の手順でバージョンを見て、7.2系なら更新すれば同じ状態になります

更新そのものを迷っている方は、DSM 7.4/7.4.1は今すぐ更新すべきかに判断基準と、当サイトのDS223jで撮った「更新と復元」画面のスクリーンショットを載せています。7.4・7.4.1は7.3より新しい版なので、この記事の「DSM 7.3以降なら」はそのまま満たします

リンク先は「急いで上げなくていい人」向けの判断記事です。市販HDDでプールが作れない状態は、7.3以降に上げない限り解決しません(この場合は様子見の対象外)。

今も残っている制限は「M.2」「重複排除」「非互換リスト」の3つ

公式KBの表を、家庭用に関係する部分だけ抜き出したものが次の表です。ここでいう「未掲載」とは、互換性リストに名前が載っていない市販ドライブを指します。

シリーズ 未掲載の3.5インチHDD 未掲載の2.5インチSATA SSD 未掲載のM.2 NVMe SSD
DS Plus(デスクトップ)・FSデスクトップ ○ 新規プール作成OK ○ OK ✗ 新規プール・キャッシュ不可(既存の移行のみ)
Value・Jシリーズ ○ 新規プール作成OK ○ OK (表に該当行なし)
RS Plus(ラックマウント) ✗ 新規不可(移行のみ) ○ OK ✗ 新規不可(移行のみ)
FS/HD/SA/UC/XS+/XS など ✗ 新規不可(移行のみ) ✗ 移行のみ ✗ 移行のみ

出典:前掲の公式KB(2026年8月4日閲覧)。同KBの説明文は「2025年のDiskStation Plusシリーズ」だけを名指ししていますが、表ではValue・Jシリーズも未掲載HDDが可となっています。当サイトは表をポリシーの実体と解釈し、説明文の記述は代表例として扱っています。

M.2 NVMe SSDは今も互換性リスト掲載品が必要

DSM 7.3の公式ニュースは、本文で緩和を告知したうえで、脚注にこう書いています。

Creation of M.2 based storage pool and cache still requires drives on the HCL.

(M.2ベースのストレージプールとキャッシュの作成には、引き続きHCL=互換性リスト掲載のドライブが必要)

出典:Synology 公式ニュース「DSM 7.3」(2025年10月8日公開・英語)

誤解が多いところなので、「HDDは自由になったが、M.2は自由になっていない」と覚えてください。ただし実害があるかは機種によります。

  • DS225+:そもそもM.2スロットを搭載していないので、この制限とは無関係です
  • DS425+・DS925+:M.2 SSDキャッシュや独立したM.2プールを組みたい場合だけ影響します

そして掲載品は実質的にSynology純正が中心です。純正のSNV3410-400G(400GB)は90,000円前後で、NAS本体1台分に近い金額になります。

400GBで約9万円というのは当サイトの誤記ではなく、実勢です(2026年8月4日に価格.comで確認。88,800円からの掲載が8店舗ありました)。Synology NAS専用のエンタープライズ向けM.2 SSDで、一般的なコンシューマ向けNVMe SSDとは価格帯が異なります。価格.com「SNV3410」の検索結果

家庭用途でM.2キャッシュが本当に効くのかは、NASのHDDとSSDを比較した記事に判定基準を用意しています。「M.2は使わない」と決めてしまえば、この制限は消えます。

事後重複排除+圧縮はSynology製ドライブが必要

DSM 7.4で追加された「事後重複排除+圧縮」は、公式の脚注で「事後重複排除および圧縮にはSynology製ハードドライブが必要です」と明記されています。市販HDDでは使えません。

ただし条件はドライブだけではありません。Btrfsボリューム限定で、対応機種も上位モデル中心です(ファイルシステムの違いはBtrfsとext4の違いで解説しています)。DS225+のようなエントリー機で実際に使えるかどうかについて、当サイトは公式の対応機種一覧を確認できていません。この機能のために差額を払う前に、必ずご自身の型番の要件を確認してください。

出典:Synology 公式ニュース「DSM 7.4」。この機能を含むDSM 7.4を家庭用機で今すぐ入れるべきかはDSM 7.4は更新すべきかの記事にまとめています。

家庭のNASで重複排除が効く場面は限られます。同じ写真を大量に別フォルダへ置いているような使い方でなければ、削れる容量はわずかです。それでも「純正でしかできないこと」として公式にはっきり書かれているのは、この機能です。使える機種かどうかを確認したうえで評価してください。

「リスト未掲載」と「非互換リスト掲載」は別物

ここは混同すると判断を間違えます。

  • リスト未掲載:互換性リストに名前がないだけ。2025年モデルのデスクトップ機なら使えます(ステータスは「未検証」表示)
  • 非互換リスト掲載:Synologyが明示的に非互換と判定したドライブ。全シリーズで新規もキャッシュも移行も不可

「リストに載っていない=使えない」ではありません。逆に「載っていないから何でも大丈夫」でもありません。買う前に、非互換リストに入っていないかだけは確認してください。

確認はSynology公式の互換性リストから行います。ページのNASセレクタでご自身の機種名(例:DS225+)を選び、「HDD/SSD」のカテゴリで購入予定の型番を探す、という順序です。型番が見つからなければ「未掲載」、非互換である旨が明示されていれば使用不可、という読み分けになります。なお本記事で挙げたWD40EFZZ・ST4000VN006について、当サイトは非互換の掲載有無を確認できていません(同ページは選んだ機種ごとに表示が変わるため、ご自身の機種で確認してください)。

市販HDDを入れると「未検証」と表示される。それでも運用はできる

購入前にいちばん不安になるところだと思うので、事実をそのまま書きます。

互換性リストに載っていないドライブは、ストレージマネージャで「未検証」ステータスとして表示されます。そのドライブについて、公式KBは次のように書いています。

このドライブを使用するとシステムの安定性に影響を与えたり、データ損失が発生したりする可能性があり、Synology テクニカルサポートからの支援も限定的となる場合があります

出典:Synology ナレッジセンター「ドライブが『互換性なし』『未検証』『認識されません』と表示される場合の対処」(2026年8月4日閲覧・ページ表記の最終更新日は2026年4月9日)

一方で、同じSynologyが互換性ポリシーのFAQでこうも書いています。

最適なパフォーマンスと信頼性のために Synology は互換性リスト掲載ドライブの使用を推奨しますが、ユーザーは自己責任で他のドライブを導入する柔軟性も維持されています

この2つを並べたものが、いまのSynologyの立場です。「使ってよい。ただしサポートの範囲は変わる」。表示が出ることと、プールを作れないことは別のレイヤーで、2025年モデル+DSM 7.3ならプール作成は公式にサポートされています。

「未検証」表示が出たら、まずドライブデータベースの更新を試す

公式KBは対処手順の最初に「ドライブデータベースの更新」を挙げています。ドライブ自体は掲載されているのに、NAS側のデータベースが古くて未掲載扱いになっているケースがあるということです。ストレージマネージャから更新して、表示が変わるか見てください。

当サイトで確認できていないこと(推測で埋めません)

ネット上には「未検証ドライブだと容量が正しく表示されない」「ドライブ健康状態の詳細が見られなくなる」といった記述がありますが、上記2本の公式KBのどちらにも、その記載は見つけられませんでした。当サイトでは裏が取れていないため、この記事では書きません。ご自身の機種で最新の扱いを確認したい場合は、公式KBのドライブ互換性ポリシーFAQをご確認ください。

縛りは半年で撤回された(2025年4月→10月)

「なぜ一度あんな方針を出したのか」が気になる方向けに、日付だけで整理します。

日付 出来事
2025年4月16日 Synologyがドイツ語圏の公式ニュースで発表。2025年以降のPlusシリーズは、Synology製ドライブと認定サードパーティ製ドライブのみが互換とし、未掲載ドライブについては「ストレージプールの作成やサポート範囲などで一定の制限がかかる」と記載(同じ発表にあるSSD寿命分析やボリューム重複排除の話は、純正の組み合わせでそれらが使えるようになるという利点の文脈で書かれています)。実際に未掲載ドライブでプールを作れない状態だったことは、後述のDSM 7.3公式ニュースが「7.3でサードパーティ製ドライブの取り付けとストレージプール作成をサポートする」と発表したことで裏づけられます
同日 同じ発表に「2024年までに発売されたPlusモデル(XS+・ラック機を除く)は変更なし」「既存のSynology NASからのドライブ移行は引き続き制限なく可能」とも明記
2025年4〜6月 DS925+(4月23日)・DS425+/DS725+(5月21日)・DS225+(6月4日)を発表。いずれも公式ニュースに「7,000時間以上に及ぶ厳格なテストに裏付けられた、厳選されたドライブ互換性フレームワーク」の文言
2025年10月8日 DSM 7.3公開。2025年モデルのDiskStation Plus・Value・Jシリーズで、未検証のサードパーティ製ドライブの取り付けとストレージプール作成をサポートすると公式が発表
2025年10月9日 国内でもPC Watchが「使用制限を緩和」、マイナビニュースが「互換性方針に転換」と報道

出典:Synology DACH公式ニュース(2025年4月16日・ドイツ語)DSM 7.3 公式ニュース(2025年10月8日)PC Watch(2025年10月9日)

当サイトは「炎上」「批判殺到」といった書き方はしません。販売台数のような一次情報がないからです。事実として言えるのは3つです。①制限の対象に「ストレージプールの作成」が含まれ、購入者の運用を直撃する内容だったこと(実際に作成できない状態だったことは、DSM 7.3で「作成をサポート」と発表されたことから分かります)、②発表から約6か月で公式が方針を変えたこと、③国内の大手2媒体が「転換」「緩和」という見出しで報じたこと。方針転換の理由をSynologyは公表していないため、当サイトでは原因を断定しません。

では「また縛られるのでは」という不安にはどう向き合うか。当サイトが事実として言えるのは、2025年のポリシーが、発売済みの機種には遡及適用されなかった(前掲の公式KB)という一点です。今回の件で、すでに手元にあるNASのルールが後から書き換えられたわけではありません。一方で、将来の新モデルにどんなポリシーが載るかは分かりません。そこを重く見るなら、判断の場所はHDD選びではなくメーカー選びになります。

メーカーごとの互換性ポリシーの違いを横断で比べたい方は、NASメーカー比較の記事に年表と各社の姿勢をまとめています。「この一件でSynology以外も見ておきたい」という方は、SynologyとQNAPの比較もあわせてどうぞ。

上は、この記事で「解除済み」と書いた2025年モデルの代表機 DS225+ です。DSM 7.3以降なら、次章で比べる市販のNAS用HDDをそのまま入れてストレージプールを作れます(M.2スロットは非搭載なので、M.2の制限とも無関係です)。HDDは別売りなので、本体と一緒に用意してください。

結局どのHDDを買えばいい? 差額を「安心料」に言い換える

ここからが購入の話です。4TBクラスの代表的な3製品を、執筆時点の実売で並べます。

製品 1本 2ベイ・2本 位置づけ
Seagate IronWolf 4TB(ST4000VN006) 32,000円 64,000円 この3製品では最も安い
WD Red Plus 4TB(WD40EFZZ) 32,500円 65,000円 当サイトの標準構成
Synology HAT3300 4TB(純正) 43,136円 86,272円 純正・窓口が本体と同じ

価格は2026年8月4日に価格.com等で確認した実勢の代表値です(HAT3300 4TBは2026年9月1日、WD Red Plus 4TB・IronWolf 4TBは8月31日に再確認しています)。HAT3300は7月30日の39,980円から+7.9%上がり、掲載店も8店から6店へ減りました。市販2製品が据え置きだったため、純正との差額は8月2日時点より広がっています。HDDの相場は月単位で動くため、購入時は販売店の最新価格をご確認ください。相場そのものの動きはNAS用HDDの価格高騰を追った記事で更新しています。

純正と市販の差額は、1本あたり10,636円(対WD Red Plus)から11,136円(対IronWolf)です。2ベイで揃えると21,272円〜22,272円の上乗せになります。

差額を払うと、何が手に入るのか

「安心料」という言葉で終わらせず、中身を並べます。

  • 事後重複排除+圧縮が使える:市販HDDでは使えない、純正だけの機能です。ただしBtrfsボリューム限定・対応機種は上位モデル中心なので、エントリー機ではこれを差額の理由にできない可能性があります(前述)
  • DSMから直接ファームウェアを更新できる:Synologyは純正ドライブの利点として、ドライブを抜かずにDSM上でファーム更新ができると公式に説明しています
  • 窓口の一本化:本体もドライブも同じメーカーなので、トラブル時に「どちらの問題か」で切り分けを求められにくくなります。ただし保証期間そのものは差になりません(当サイトが確認した範囲では、HAT3300・WD Red Plus・IronWolf はいずれもメーカー保証3年です。並行輸入品は対応が変わることがあるため、購入前に販売店・メーカーページで条件をご確認ください)
  • 「未検証」表示にならない:純正は互換性リスト掲載品なので、ストレージマネージャでステータスを見るたびに「未検証」の文字と付き合わなくて済みます(市販HDDでもプールは作れますが、この表示は消えません)
  • 100% CMR:型番からSMRを判別する手間が要りません(判別方法はCMRとSMRの違い

出典:Synology HAT3300(Plus HDDシリーズ)公式製品ページ。同ページにはサードパーティ製ドライブとの自社比較値も掲載されていますが、比較対象と測定条件が当サイトで確認できないため、本記事では引用しません。

逆に、市販HDDを選ぶ根拠

純正を選ばない理由は、はっきりしています。

  • 最大の制限だったプール作成が解除された=差額を払う理由が1つ消えました
  • かつての「純正のほうが割安」は逆転しています。2026年9月1日時点では純正のほうが高い側で、8月の1か月でその差はさらに広がりました(2ベイ換算で17,000円→21,272円)
  • 4TBクラスの純正はHAT3300(5,400rpm)一択で、市販HDDのように回転数やキャッシュ容量で選び分けることはできません
  • 容量を上げると型番が変わります。純正のPlus HDDシリーズは4/6TBがHAT3300(5,400rpm)、8TB以上はHAT3320-8T・HAT3310-12T/-16T・HAT3320-20T(いずれも7,200rpm)という構成です。同じ「純正」でも仕様は型番ごとに違うので、容量を上げるときは型番から確認してください(国内の販売店で実際に買える型番・容量は、購入時にご自身で確認をお願いします)

出典:Synology Plus HDDシリーズ公式製品ページ(2026年8月4日確認・仕様表の回転数と型番)

当サイトの判断(2ベイ機の場合)

  • NASのデータ置き場として普通に使うWD Red Plus 4TB×2本(65,000円)で十分です。2025年モデルでも制限なくプールを作れます
  • とにかく初期費用を抑えたい:IronWolf 4TB×2本(64,000円)。純正との差22,272円は無視できない額です
  • 重複排除を使いたい/窓口を一本化したい:HAT3300×2本(86,272円)。2ベイで21,272円を「重複排除・DSMからのファーム更新・窓口の一本化・『未検証』表示と無縁になることに払う」と読み替えて判断してください(重複排除はBtrfs限定・対応機種要確認なので、2ベイのエントリー機では残り3つが実質の理由になります)

なお、どのHDDを選んでも故障はします。純正だから壊れないということはありません。RAIDはバックアップの代わりにならないので、3-2-1ルールは別途用意してください。

上は、当サイトが2ベイの標準構成として推している WD Red Plus 4TB(WD40EFZZ)です。5,400rpm・CMR・NAS向けの設計で、2025年モデルのSynologyでもそのままストレージプールを作れます。2本で65,000円が目安ですが、価格は日々動くのでリンク先で最新価格をご確認ください。

容量を4TBより上にしたい方、8TB以上まで含めて型番で比べたい方は、NAS用HDDのおすすめ記事NAS用HDDの選び方に容量別の一覧があります。2ベイ機そのものを選び直したい方は初心者向け2ベイNASの比較、DS225+を含めて家庭用NASを一覧で比べたい方は家庭用NASのおすすめランキングもどうぞ。

買い替え組へ:いま使っているHDDはそのまま移せる

DS224+からDS225+へ、といった買い替えを考えている方に、実務上いちばん効く情報です。

2025年4月の公式発表の時点から、既存のSynology NASからのドライブ移行は制限なく可能と明記されています。現行の公式KBの表でも、新規プール作成が不可となっているシリーズですら「移行のみ可」と書かれています。つまり今のNASに入っている市販HDDを、新しい2025年モデルにそのまま挿し替える道は残っています

ただしM.2については注記があります。公式KBには、元のプールやキャッシュをドライブから削除すると、そのドライブは現在のシステムでは使用できなくなるという趣旨の記載があります。M.2を移行する場合は、移行前にプール・キャッシュを消さないでください。

移行そのものの手順(HDDの挿し順やDSMの引き継ぎ)は機種の組み合わせで変わるため、実行前に公式の移行ガイドでご自身の型番の組み合わせを確認することをおすすめします。そして移行前にバックアップを取ってください。移行が成功する前提で作業を始めないことが、この手順でいちばん大事な部分です。

ネットの「Synologyは他社HDDが使えない」を見分ける方法

この話題は情報の賞味期限が短く、古い記事が上位に残りやすい分野です。読者側で見分ける基準を3つ置いておきます。

  1. 記事の日付が2025年10月8日より前なら、縛りが生きていた時期の情報です
  2. 「ストレージプールが作成できない」と書いてあるなら、2025年4月〜9月の情報です。いまは作成できます
  3. 機種名が2024年以前(DS223j・DS224+・DS923+ など)なら、そもそもポリシーの対象外の話です

最終確認は、Synology公式の互換性リストで自分の機種を選ぶのが確実です。当サイトの記事も、公開日ではなく更新日を見てください。この記事の更新日はページ冒頭に表示しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. DS225+にWD Red PlusやIronWolfを入れても大丈夫ですか?
A. DSM 7.3以降であれば、取り付けとストレージプールの作成が公式にサポートされています。互換性リストに載っていないドライブはストレージマネージャで「未検証」ステータスとして表示され、Synologyのテクニカルサポートは限定的になる場合があるとKBに記載されています。プールを作れないという制限は、2025年10月のDSM 7.3で解除されました。
Q2. DS223jやDS224+を使っています。影響はありますか?
A. ありません。公式KBに「新しいドライブ互換性ポリシーは、2025年以降の新モデルのみに適用され、既存のシステムには遡及適用されません」と明記されています。2024年以前のモデルは最初から対象外です。NAS用のCMR HDDであれば、これまでどおり選んで問題ありません。
Q3. 純正のHAT3300を選ぶ意味はもうないのですか?
A. 意味が消えたわけではありません。事後重複排除+圧縮はSynology製ドライブが必要ですし(ただしBtrfsボリューム限定で、対応機種も上位モデル中心のため、エントリー機では使えるかどうかを先に確認してください)、DSMから直接ファームウェアを更新できる点、サポート窓口が本体と同じになる点は純正の利点です(保証期間は市販のNAS用HDDも3年で、ここは差になりません)。ただし執筆時点では純正のほうが1本あたり10,636円高く、2ベイで21,272円の上乗せになります。この金額に見合うかは使い方次第です。
Q4. M.2 SSDキャッシュも市販品でいけますか?
A. いけません。DSM 7.3公式ニュースの脚注に「M.2ベースのストレージプールとキャッシュの作成には、引き続き互換性リスト掲載のドライブが必要」と記載されています。M.2の制限だけは現在も継続中です。なおDS225+はM.2スロットを搭載しないため、この制限とは無関係です。
Q5. 「未検証」と表示されたままで使い続けて平気ですか?
A. プールの作成・運用そのものは、2025年モデル+DSM 7.3で公式にサポートされています。ただしSynologyは「システムの安定性やデータ損失に影響する可能性があり、テクニカルサポートからの支援も限定的となる場合がある」と案内しています。表示が出たときは、まずストレージマネージャでドライブデータベースを更新してみてください。データベースが古いだけのこともあります。
Q6. ラックマウント機やXS+シリーズも同じですか?
A. 違います。公式KBの表では、RS Plus(ラックマウント)やFS/HD/SA/UC/XS+/XS などは、未掲載HDDでの新規プール作成が現在も不可(既存プールの移行のみ可)とされています。緩和されたのはデスクトップのDiskStation Plus・Value・Jシリーズが中心です。この記事は家庭用のデスクトップ機を前提に書いています。

まとめ

  • 縛りは2025年10月8日のDSM 7.3でほぼ撤回されました。2025年モデルのDiskStation Plus・Value・Jシリーズなら、互換性リスト未掲載の3.5インチHDD・2.5インチSATA SSDでもストレージプールを作れます
  • ただし完全撤廃ではありません。デスクトップの家庭用機に残るのは①M.2 NVMeの新規プール・キャッシュ ②事後重複排除+圧縮 ③非互換リスト掲載ドライブの3つです。加えて④ラック機・法人機は、HDDの新規プール作成そのものが今も不可のままです(家庭用機の話ではありません)
  • 2024年以前のモデルは最初から対象外です。DS223j・DS224+ をお使いなら、この騒動と無関係です
  • 未掲載ドライブは「未検証」表示になり、サポートは限定的になる場合があるとSynologyが案内しています。使えることと保証されることは別だと理解したうえで選んでください
  • 買うなら:2ベイの標準構成はWD Red Plus 4TB×2本(65,000円)。純正HAT3300との差21,272円を、重複排除・DSMからのファーム更新・窓口の一本化・「未検証」表示と無縁になることに払う価値があるかで判断するのが、いちばん納得しやすい決め方です(重複排除はBtrfs限定・対応機種が上位モデル中心なので、エントリー機では最初から数えないほうが安全です)

純正の安心を取る方は、下のHAT3300 4TBが対象製品です。2ベイで21,272円の上乗せで残るのは、重複排除がご自身の機種で使えるならそれに加えて、①ドライブを抜かずにDSM上でファームウェアを更新できる ②本体とドライブで問い合わせ窓口が同じ ③ストレージマネージャの「未検証」表示を気にしなくていいの3点です(重複排除が使えない機種でも、この3つは残ります。③については念のため、購入前にご自身の機種の互換性リストで型番をご確認ください)。当サイトはどちらを選んでも間違いだとは考えていません。決め手は「M.2を使うか」と「重複排除がご自身の機種で使えて、なおかつ使うか」です。