本記事の比較は、広告報酬の多寡ではなく、各メーカーの公表スペック・公式ページの記載にもとづいています。運営者は Synology DS223j と UGREEN DXP2800 を所有していますが、2台を同じ条件で測った比較データはありません(体験は各機のレビュー記事に書いた範囲だけを引用します)。DH2300 は実機を持っていないため、公式情報で書いています。
同じ価格帯で比べると、UGREEN(ユーグリーン)の NAS は Synology(シノロジー)より CPU の世代が新しく、執筆時点では本体も安く買えます。その一方で「新しいメーカーで大丈夫?」「Synology と何が違う?」と迷う人は多いはずです。
結論から言うと、スマホ写真の保存や家族での共有を手間なく始めたいなら Synology、Synology の DS225+ より安い予算(執筆時点)で Docker や 2.5GbE まで使いたいなら UGREEN の DXP2800 です。ただし UGREEN の安いほう(DH2300)は Docker と仮想マシンに対応していないので、「UGREEN=Docker に強い」とは一括りにできません。
この記事の結論 - 写真・バックアップを手間なく始めるなら Synology(DS223j)。アプリが用途別にそろい、HDDも市販のNAS用で使えます - Docker(アプリを箱ごと入れて動かす仕組み)・仮想マシン・2.5GbE(通信速度の上限が一般的な有線LANの2.5倍)を使うなら UGREEN DXP2800。同じ用途を Synology で満たす DS225+ より本体が13,800円安い(執筆時点のセール価格)。写真の保存と共有だけなら、どれも不要です - UGREEN の DH2300 は Docker・仮想マシン非対応(日本の公式FAQ)。保証は DS225+ だけ3年、ほかの3機種は2年
| こんな人 | 選ぶ機種 | 理由 |
|---|---|---|
| NASが初めて・写真を家族で共有したい | Synology DS223j | 写真・同期のアプリが用途別にそろう |
| とにかく本体を安く始めたい(Dockerは使わない) | UGREEN DH2300 | 本体がDS223jより約4,590円安い |
| Docker・仮想マシンを動かしたい | UGREEN DXP2800 | N100・メモリ8GB・M.2×2 |
| Synologyのアプリで性能と長い保証も欲しい | Synology DS225+ | 2.5GbE・保証3年 |
価格差は執筆時点の実勢(本体のみ・HDD別売)。機種を1台に絞り切れないときはNAS構成診断で用途と予算から候補を出せます。
価格帯で組み直すと「2つの対戦」になる
UGREEN と Synology を比べるときは、同じ価格帯どうしで並べないと判断を誤ります。DS223j(約3.4万円)と DXP2800(約4.8万円)は価格帯が違うためです。この記事では次の2組で比べます。
- 入門の対戦: Synology DS223j と UGREEN DH2300(どちらもARM・1GbE)
- 性能の対戦: Synology DS225+ と UGREEN DXP2800(どちらもIntel・2.5GbE)
| 項目 | DS223j | DH2300 | DS225+ | DXP2800 |
|---|---|---|---|---|
| CPU | Realtek RTD1619B(ARM 4コア) | Rockchip RK3576(ARM 8コア) | Intel Celeron J4125(4コア) | Intel N100(4コア) |
| メモリ | 1GB(増設不可) | 4GB(拡張不可) | 2GB(最大6GB) | 8GB DDR5(最大16GB) |
| LAN | 1GbE×1 | 1GbE×1 | 2.5GbE×1+1GbE×1 | 2.5GbE×1 |
| M.2 SSD | なし | なし | なし | NVMe×2 |
| Docker | 公式仕様に記載なし※ | 非対応 | 対応 | 対応 |
| 仮想マシン | なし | 非対応 | 対応 | 対応 |
| 保証 | 2年 | 2年 | 3年 | 2年 |
| 本体価格 | 33,820円 | 29,230円 | 61,700円 | 47,900円 |
出典: 各機の公式データシート・UGREEN公式ストアの製品ページ(DH2300のメモリは日本の製品ページの表記)。※DS223jは運営者の実機でContainer Managerが動いていますが、公式の対応表明は確認できていません。価格は2026年10月9日時点の実勢です。
入門の対戦は、ハードの数字だけなら DH2300 が上です。メモリは4倍、CPUのコア数は2倍あります。それでも DS223j を選ぶ理由は、後半で説明するアプリのそろい方と、SHR(容量の違うHDDを混ぜられる Synology 独自のRAID)にあります。
性能の対戦は、メモリ・M.2・価格の3点で DXP2800 が有利です。DS225+ が勝つのは保証年数(3年)と、2.5GbEと1GbEの2ポート構成です。
価格:HDD 4TB×2込みの総額で比べる
NAS は本体だけでは使えません。WD Red Plus 4TB を2本入れた総額は次のとおりです。
| 構成 | 本体+HDD 4TB×2 |
|---|---|
| UGREEN DH2300 | 93,190円 |
| Synology DS223j | 97,780円 |
| UGREEN DXP2800 | 111,860円 |
| Synology DS225+ | 125,660円 |
HDD代が63,960円かかるので、総額で見ると入門機2台の差は5%ほどに縮みます。入れる HDD の選び方はNAS用HDDの選び方で、容量ごとに整理しています。
DXP2800 の価格には注意が要ります。公式ストアの通常価格は65,880円で、執筆時点の47,900円はセール価格です。セールが終わると DS225+ との差は逆転します。購入前にリンク先の表示価格を確かめてください。
性能:DXP2800はN100と2.5GbEで速いが、DS223jとは同条件で測っていない
DXP2800 の 2.5GbE は、運営者の実機で測っています。HDD 2本のRAID 1で、10GBのファイルを転送した結果は読出148.5MB/s・書込139.7MB/sでした(DXP2800レビュー・2026年9月8日実測)。
一方の DS223j は 1GbE なので、実効の上限は一般に110MB/s前後です。こちらは実測値ではなく、1GbE の一般的な目安です。2台を同じPC・同じファイルで比べた数字はありません。
メモリの差は、複数の作業を同時にしたときに出ます。DS223j は1GBで、運営者の家では家族が同時に操作すると管理画面(DSM)の表示がカクつきます。ファイル同期や写真のアップロード自体は止まりません(DS223jレビュー)。DXP2800 は Docker でサンドボックスを24時間動かしたままでも、メモリの使用済みは7.51GB中1.77GB(キャッシュを除く)でした。
動画の変換(トランスコード)を Plex などで使う予定なら、DS225+ は不利です。海外のレビューサイトでは、2025年世代の Synology は DSM 標準の状態でハードウェアトランスコードが効かないと報告されています。Synology の公式発表は当サイトでは確認できていません(詳しくはPlex・Jellyfin・Embyの比較)。
出典: NAS Compares「Synology DS225+ Review」/XDA「I brought back hardware transcoding on my Synology NAS」
OSとアプリ:写真・バックアップ・Docker
Synology の DSM と UGREEN の UGOS Pro は、どちらも日本語で操作できます。違いはアプリの分け方です。
| 用途 | Synology(DSM) | UGREEN(UGOS Pro) |
|---|---|---|
| 写真 | Synology Photos(顔などで自動分類・共有アルバム) | 写真アプリ(画像認識で分類・重複写真の整理) |
| PC・スマホのバックアップ | Synology Drive(DS225+はPC丸ごとのActive Backupも) | Sync & Backup |
| NAS自体のバックアップ | Hyper Backup・スナップショット | スナップショット・Sync & Backup |
| 外出先からの接続 | QuickConnect | UGREENlink |
| スマホアプリ | 用途別に複数 | 「UGREEN NAS」1本に集約 |
写真をスマホから自動で集めて家族と共有するなら、Synology Photos に実績があります。運営者の家では家族4人のスマホ写真約3.2万枚を1年間ためて、明るい写真なら顔認識で約9割が正しく仕分けられました。祖父母の iPad に共有アルバムを出しておくと、孫の写真が自動で届きます。UGREEN の写真アプリは、運営者は常用していないので比べられません。
アプリが1本にまとまっている UGREEN は、入れるアプリに迷いません。用途ごとに別アプリを入れる Synology は手順が増える代わりに、機能ごとの解説記事が日本語で多く見つかります。
DockerはDXP2800なら使える。DH2300は使えない
Docker を使うつもりで UGREEN を選ぶなら、機種選びで失敗しやすいところがあります。
- DXP2800: Docker と仮想マシンの両方に対応(公式FAQ)。運営者は Docker 上で Claude Code 用のサンドボックスを24時間動かしています(構築の実録)
- DH2300: 日本の公式FAQに「DH2300はDockerおよび仮想マシンに対応していません」と明記されています
- DS223j: 運営者の実機では Container Manager が動いていますが、メモリ1GB・arm64イメージ限定のため、軽いコンテナ1〜2本が限度です
- DS225+: Container Manager と仮想マシン(VMM)に対応
同じ UGREEN でも、Docker と仮想マシンへの対応は機種で分かれます。Docker が目的なら、DH2300 ではなく DXP2800 を選んでください。
HDD互換性:DS223jとUGREENは市販のNAS用HDDで使える
「Synology は純正HDDしか使えない」という話は、今の機種にはほぼ当てはまりません。
- DS223j: Synology の2025年のドライブ互換性ポリシーは2025年以降の新モデルだけが対象で、2023年発売の DS223j には適用されません
- DS225+: 2025年モデルですが、DSM 7.3 以降は互換性リストに無い3.5インチHDDでもストレージプールを作れます。ただし画面に「未検証」と表示され、公式サポートは「限定的となる場合があります」とされています。重複排除と圧縮の機能は Synology 製HDDが必要です
- UGREEN: 互換性リスト外のHDDを禁止していません。テスト外の製品は「動作の安定性や性能を保証できない」としつつ、NAS本体の保証は搭載するHDDの種類の影響を受けないと公式ページに書いています。SMR方式のHDDは非推奨です
NAS 向けのCMR方式HDD(WD Red Plus・IronWolf など)を選べば、どちらのメーカーでも使えます。Synology 側の線引きはSynologyの他社HDD互換性で詳しく整理しています。
保証と日本のサポート窓口:UGREENは新しいメーカーでも大丈夫?
| 項目 | Synology | UGREEN |
|---|---|---|
| 保証年数 | DS223j 2年/DS225+ 3年 | DH2300・DXP2800とも2年 |
| 日本の拠点 | Synology Japan(東京) | ユーグリーン・ジャパン |
| 問い合わせ窓口 | オンライン問い合わせ(チケット)・ライブチャット | ライブチャット・メール(使い方・故障の相談)/NAS専用の電話番号(用途は公式ページ内で「保証サービス」と「注文・配送のみ」の2通りの記載) |
| 保証の条件 | 購入日から起算。認定販売店で買った製品が対象 | 初回起動日から起算。対象は公式ページにより「公式オンラインストアが販売したNAS」と「日本国内で販売されたNAS」の2通りの記載。初期不良は受け取りの翌日から30日以内に返品・交換 |
出典: Synology お問い合わせ/Synology 保証規定/UGREEN NAS製品保証/UGREEN NAS 保証規定(2026年10月13日確認)。DH2300 の保証年数は製品ページの記載です。Synology の電話窓口は、公式の問い合わせページでは確認できませんでした。
メーカーの公式ページに電話番号が載っているのは UGREEN です。ただし電話の用途は保証や注文の手続きで、使い方や故障の相談はチャットかメールが確実です。
UGREEN の保証の対象は、公式ページ2つで書き方が異なります。保証で迷いたくないなら、どちらの書き方でも対象に入る UGREEN 公式ストアで買うのが確実です。ほかの店で買うなら、販売元と保証を受けられるかを注文前にその販売店か UGREEN に確認してください。
保証年数で選ぶなら DS225+ の3年が最長です。どちらのメーカーも、保証はHDDの中のデータまでは守りません。大事なデータは NAS とは別の場所にもコピーを残してください(3-2-1ルール)。
OSの更新:Synologyは発売3年の機種にも配信、UGREENは実績がまだ短い
DS223j は2023年発売ですが、Synology の公式アーカイブには DS223j 向けの DSM 7.4.1 用ファイルが掲載されています(2026年7月確認)。UGREEN は日本での販売開始が2025年6月で、更新の実績を判断できる期間はまだ短いです。
運営者の DXP2800(UGOS Pro 1.18.2.0100・2026年8月31日時点)には、数か月の24時間稼働の間にアップデートの配信と再起動がありました。何年先まで更新を続けるかの年数は、どちらのメーカーも当サイトでは公式の表明を確認できていません。
両方を使っている運営者の体験

2台は使い方が違います。DS223j は家族の写真置き場、DXP2800 は Docker のサンドボックスです。HDDも別(DS223j は WD Red Plus、DXP2800 は手持ちの WD Blue)なので、ここに書くのは各機の体験で、同じ使い方での比較ではありません。
- DS223j(1年以上): リビングに置いて動作音が気になったことはありません。HDDの代替セクタが増えて警告が出たときも、そのドライブを交換するだけでデータを失わずに戻せました。夜間にHDDを止める運用での電気代は月約180円です(試算で、ワットチェッカーの実測ではありません)
- DXP2800(24時間稼働・数か月): 動作は安定していて、発熱と動作音は許容範囲です。UGOS Pro のストレージ管理画面は、DSM に慣れていれば迷いにくい構成でした。Docker を入れた直後に
docker compose upが権限エラーになり、ユーザーを docker グループに追加して再ログインする必要がありました
どっちを買うか:用途別の選び方
写真の保存・家族の共有から始めるなら Synology DS223j
スマホ写真の自動バックアップ、共有アルバム、PCフォルダの同期を、日本語の解説を見ながら設定できます。運営者の家では開封から写真の自動バックアップ開始まで約1時間でした。メモリは1GBで増やせないので、Docker を常時動かす用途には向きません。HDD込みで97,780円(執筆時点)が目安です。
Docker・仮想マシン・2.5GbE まで使うなら UGREEN DXP2800
N100とメモリ8GBで、コンテナを常時動かしても余裕があります。M.2 SSD を2枚挿せるので、SSDだけのボリュームも作れます。セール価格の47,900円が続いているうちは、同じ用途の DS225+ より安く買えます。
注意点は3つあります。保証は2年で DS225+ より1年短いこと、2.5GbE の速度を出すにはPCとハブも 2.5GbE にする必要があること、公式ストア以外で買うときは保証を受けられる販売元かを注文前に確認すること(前の「保証と日本のサポート窓口」の項を参照)です。運営者はメモリを8GBのまま使っていて、16GBへの交換は未検証です。外出先からの接続は UGREENlink ではなく Tailscale(VPN)経由にして、ルーターのポートを開けずに使っています。10GbE を積んだ GT との違いはDXP2800 GTと無印の違いで比べています。
本体代を抑えたいなら DH2300、長い保証が欲しいなら DS225+
DH2300 は Docker を使わない前提なら、メモリ4GB・8コアCPUと DS223j より数字は上で、本体は約4,590円安く買えます。DS225+ は Synology のアプリのまま 2.5GbE と保証3年が手に入る機種です。DH2300 の価格と順位は家庭用NASおすすめランキングにまとめています。DS225+ は記事末のリンクから価格を確かめられます。DS225+ と DS223j の細かな違いはDS225+とDS223jの比較、ほかのメーカーも含めて比べたい人はNASメーカー比較へどうぞ。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 写真の保存と家族の共有を手間なく始めるなら Synology DS223j(HDD込み97,780円)
- Docker・仮想マシン・2.5GbE を使うなら UGREEN DXP2800。安い DH2300 は Docker・仮想マシン非対応なので目的を取り違えない
- HDDはどちらも市販のNAS向けCMR方式で使える。保証は DS225+ の3年が最長
- メーカー公式ページで電話番号を確認できたのは UGREEN だけ。用途は保証・注文の手続きで、販売店・代理店の窓口は比べていない
Synology のアプリのまま性能と保証3年を取るなら、下の DS225+ が候補です。
仕様の出典:Synology DS223j/DS225+ 公式データシート(日本語版)/UGREEN DXP2800 製品ページ/UGREEN DH2300 製品ページ/UGREEN 互換性リスト/Synology ドライブ互換性ポリシー/Synology DSM 7.3