1.NAS入門・選び方
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RAID 0/1/5/6/SHR の違いを徹底解説|性能・書き込みペナルティ・リビルドリスクまで

yamakashi
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更新日:2026年4月21日|カテゴリ:ネットワーク・技術/NAS入門

結論:RAIDの選び方は「ベイ数」と「許容する故障台数」で決まる

  • 2ベイなら RAID 1 または SHR 一択(冗長性を確保するなら)
  • 4ベイ以上で容量重視なら RAID 5(1台故障まで耐える・容量効率75%)
  • 4ベイ以上で安全重視なら RAID 6 または SHR-2(2台同時故障に耐える)
  • 速度最優先・データ損失OKなら RAID 0(ただし業務用途は非推奨)
  • 異なる容量のHDDを混在させたいなら SHR(Synology専用・容量を無駄にしない)

重要:RAIDは冗長化であってバックアップではありません。ランサムウェアや誤削除にはRAIDだけでは対応できないため、必ず3-2-1バックアップと併用してください。

1. RAID 0/1/5/6/SHRの早見表(容量・耐障害性・速度)

まず5つのRAID方式の特徴を一覧で比較します。以下は4台のHDD(例:4TB×4)で構成した場合の比較です。

RAID方式 必要台数 使用可能容量 容量効率 耐障害台数 読込速度 書込速度
RAID 0 2台以上 16TB 100% 0台(1台故障で全損) ◎最速 ◎最速
RAID 1 2台 4TB 50% 1台 △2倍負荷
RAID 5 3台以上 12TB 75% 1台 △4I/Oペナルティ
RAID 6 4台以上 8TB 50% 2台 ▲6I/Oペナルティ
SHR 1台〜 容量に応じ最適化 RAID1/5相当 1台 RAID5相当
SHR-2 4台以上 容量に応じ最適化 RAID6相当 2台 RAID6相当

※使用可能容量は4TB×4台構成の概算値。SHRは搭載ディスク容量のばらつきに応じて自動的に最適構成を選択します。

2. RAID 0(ストライピング)の特徴と使いどころ

RAID 0は複数のHDDにデータを分散書き込みし、読込・書込ともに最速を実現する方式です。ただし1台でも故障するとデータは完全に失われます

項目 内容
必要台数 2台以上
容量効率 100%(4TB×2=8TB使える)
冗長性 なし(1台でも故障したら全滅)
書き込みペナルティ なし
向いている用途 動画編集のスクラッチ領域、一時キャッシュ、再生成可能なデータ
RAID 0は家庭用NASには非推奨。NASで最も重要な「データ保護」が失われるため、家族写真・重要書類の保存用途には絶対に選ばないでください。

3. RAID 1(ミラーリング)の特徴と2ベイNASの定番

RAID 1は2台のHDDに同じデータを書き込む方式。片方が故障してももう片方にデータが残るため、小規模NASで最も一般的な選択肢です。

RAID 1のメリット

  • 構成がシンプルでトラブルが少ない
  • リビルド(再構築)が単純コピーなので高速
  • 読込速度は2台から並列読み出しで向上する実装も多い

RAID 1のデメリット

  • 容量効率が50%しかない(4TB×2台でも使えるのは4TB)
  • 書き込み時は両ディスクに同時書込→書込負荷は2倍
2ベイNAS(Synology DS225+、UGREEN DXP2800など)を買うなら、基本はRAID 1かSHRが正解です。HDD 4TB×2で約4TB使えて1台故障に耐える──家庭・SOHOで最もバランスの良い構成です。

4. RAID 5(パリティ1)の仕組みと「書き込みペナルティ」

RAID 5は3台以上のHDDでデータとパリティ(誤り訂正符号)を分散配置します。1台故障してもパリティから復元できるため、容量効率75%(4台構成時)と冗長性を両立できる人気の方式です。

4 I/O書き込みペナルティとは

RAID 5で1ブロックを書き換えるとき、内部では以下の4回のI/Oが発生します:

  1. 古いデータブロックを読み出し
  2. 古いパリティブロックを読み出し
  3. 新しいパリティを計算して書き込み
  4. 新しいデータを書き込み

このためランダム書き込み性能は単純なRAID 0/1より大きく劣ります。動画ファイルなど大きなシーケンシャル書き込みであれば影響は軽減されますが、データベースや大量の小ファイル書き込みには不向きです。

RAID 5のリビルドリスク(大容量HDD時代の注意点)

8TB以上の大容量HDDでRAID 5を組む場合は要注意。1台故障してリビルド中に、読み出しエラー(URE)や2台目の故障が起きると全データが失われます。4TB以下のドライブでは実用的ですが、8TB・12TB・16TBのような大容量ではRAID 6やSHR-2を選ぶのが安全です。

5. RAID 6(パリティ2)で2台同時故障に耐える

RAID 6はRAID 5にパリティをもう1つ追加した方式。2台のHDDが同時に故障してもデータが無事という最強クラスの冗長性を持ちます。

項目 内容
必要台数 4台以上
容量効率(4台時) 50%(8TB×4=32TB中16TB使用可能)
容量効率(6台時) 約67%(8TB×6=48TB中32TB使用可能)
書き込みペナルティ 6 I/O(読込2+パリティ計算+書込2+パリティ書込)
向いている用途 長期アーカイブ、8TB以上の大容量HDD構成、家族写真10年分
4ベイ以上・8TB以上のHDDを使うなら RAID 6 または SHR-2 を強く推奨。リビルド中の2台目故障という致命的シナリオに備えられます。

6. SHR(Synology Hybrid RAID)の独自メリット

SHRはSynology独自のRAID拡張で、容量の異なるHDDを混在させても、無駄なく最大容量を引き出せるのが最大の特徴です。

SHRが優れている点

  • 容量が違うHDDを混在可能:4TB+6TB+8TBなど混在でもRAID 5同等の容量効率を自動確保
  • 後から大容量HDDへ段階的に交換できる:1台ずつ交換していくだけで総容量が増える(RAID 5では全台同容量に揃える必要)
  • 初心者でも設定が簡単:DSMのGUIで「SHR」を選ぶだけで最適構成を自動選択
  • 1ベイから開始可能:DS223jなど2ベイでも1台運用→後から2台目追加でRAID 1相当に拡張

SHRの弱点

  • Synology製NAS専用(他社NASに移行できない)
  • 仕組み上の書き込み性能はRAID 5相当(SHR-2はRAID 6相当)
Synology NASユーザーで、将来的にHDDを少しずつ増設・大容量化したいなら SHR が最適解。DS223j、DS225+、DS425+、DS925+すべてで利用できます。

7. 用途別おすすめRAID構成(2026年4月の実売価格込み)

2026年4月現在の主要NAS・HDD価格に基づく、具体的な構成例を紹介します。

【家庭用・2ベイ】Synology DS225+ + WD Red Plus 4TB×2(RAID 1 / SHR)

項目 内容
NAS本体 Synology DS225+:約45,000円
HDD WD Red Plus 4TB(WD40EFPX)×2:約19,000円×2=38,000円
合計 約83,000円
使用可能容量 4TB
耐障害性 1台故障まで

【中規模・4ベイ・容量重視】Synology DS425+ + IronWolf 8TB×4(RAID 5 / SHR)

項目 内容
NAS本体 Synology DS425+:約78,000円
HDD Seagate IronWolf 8TB×4:約28,000円×4=112,000円
合計 約190,000円
使用可能容量 24TB
耐障害性 1台故障まで
8TB以上のHDDでRAID 5を組むときは、リビルド時間が長くなりURE(Uncorrectable Read Error)リスクが上がります。重要データなら次のRAID 6構成を検討してください。

【安全重視・4ベイ】Synology DS925+ + IronWolf 8TB×4(RAID 6 / SHR-2)

項目 内容
NAS本体 Synology DS925+:約114,000円
HDD Seagate IronWolf 8TB×4:約28,000円×4=112,000円
合計 約226,000円
使用可能容量 16TB
耐障害性 2台同時故障まで

8. RAID構築時の注意点とやってはいけないこと

NG例1:RAIDをバックアップ代わりにする
RAIDはハードウェア故障には強いですが、ランサムウェア・誤削除・火災・水害には無力。必ず外付けHDDやクラウドにバックアップを取ってください(3-2-1ルール)。
NG例2:全台同時期・同ロットのHDDで固める
同じ工場・同じ時期に製造されたHDDは、故障時期も近い傾向があります。RAID 5/6を組むなら、あえて購入時期をずらす/異なるメーカーを混ぜる(WD Red Plus + IronWolf + Toshiba N300)のが安全です。
NG例3:SMR HDDでRAID 5/6を組む
SMR(瓦書き)HDDはRAID再構築(リビルド)に極端に時間がかかり、タイムアウトで失敗する報告があります。NAS用HDDは必ずCMR方式(WD Red Plus WD40EFPX、IronWolf、Toshiba N300)を選んでください。

9. こんな人にこのRAID方式がおすすめ

あなたの状況 おすすめRAID 理由
初めてNASを買う・2ベイで運用したい RAID 1 or SHR 構成がシンプル。故障時の復旧も簡単
Synology製NASを買った SHR または SHR-2 容量混在・段階的拡張に対応。迷ったらこれ
4ベイで容量を最大化したい RAID 5(HDD 4TB以下) 容量効率75%でコスパが最良
4ベイ以上・8TB以上のHDDを使いたい RAID 6 or SHR-2 リビルド中の2台目故障に耐える
動画編集のスクラッチ・一時作業用 RAID 0 最速。ただし必ず別途バックアップ必須
Synology以外のNAS(QNAP/UGREEN/Buffalo) RAID 1/5/6から選択 SHRは使えない。標準RAIDで構成

10. RAIDとバックアップの正しい関係

RAIDは同時にハードウェアが壊れたときの復旧手段であって、以下のリスクからは守れません:

  • ランサムウェア(ファイル暗号化)
  • ユーザー誤削除・誤上書き
  • NAS本体の故障(電源・マザーボード障害)
  • 火災・水害・盗難
  • RAIDコントローラ(論理)の破損

これらに備えるには「3-2-1バックアップ」が推奨されます:

数字 意味 具体例
3 3つのデータコピーを保持 NAS本体+外付けHDD+クラウド
2 2種類のメディアに保存 HDD+SSD、またはHDD+クラウド
1 1つは遠隔地に保管 Synology C2、Backblaze B2など

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11. RAID 0/1/5/6/SHRのよくある質問(FAQ)

Q1. RAIDを組むとHDDの寿命は短くなりますか?
A. RAID方式そのものが寿命に与える影響は限定的ですが、RAID 5/6は書き込みのたびにパリティ計算で複数台が同時稼働するため、単体運用より負荷は高くなります。NAS用HDD(WD Red Plus、IronWolf、Toshiba N300)は24時間365日稼働を想定して設計されているため、家庭用途で3〜5年は問題なく使えます。
Q2. RAIDの種類は後から変更できますか?
A. Synologyでは一部の変換がサポートされています(RAID 1 → RAID 5、SHR → SHR-2など)。ただし変換には長時間(数日単位)かかるうえ、失敗時のリスクがあるため、変換前は必ずバックアップを取ってから作業してください。QNAP/UGREEN等でも同様の機能がありますが、対応パターンは機種により異なります。
Q3. RAID 5と SHRはどちらが速いですか?
A. 4台・同容量のHDDで構成する場合、書き込み性能はほぼ同等(SHRは内部的にRAID 5を使うため)。読み込み性能も同等です。速度で選ぶのではなく「将来HDD容量を混在・段階拡張したいか」でSHRかRAID 5を選ぶのが正解です。
Q4. 2ベイNASで SHRを選ぶメリットはありますか?
A. 2ベイではSHRは実質RAID 1と同じ動作ですが、将来「4ベイNASへ引っ越したい」「容量の違うHDDに交換したい」場合に柔軟性が残ります。Synology製NASを使うなら、特に理由がない限りSHRを選んで問題ありません。
Q5. RAID 10(1+0)は選択肢にならないのですか?
A. RAID 10は「RAID 1でミラーしたペアをRAID 0でストライプ」する方式で、高速性と冗長性を両立できます。最低4台必要で容量効率が50%のため、家庭用NASではRAID 6やSHR-2に押されて選ばれにくい選択肢です。データベースサーバなど、ランダム書込性能が重要な業務用途では有力候補になります。

この記事の要点

  • RAID 0は速度最優先・冗長性ゼロ。家庭用NASでは非推奨
  • RAID 1は2ベイNASの定番。容量効率50%だがシンプルで安心
  • RAID 5は4ベイ以上で容量効率75%。ただし8TB以上ではリビルドリスクあり
  • RAID 6は2台同時故障に耐える最強クラス。大容量HDD時代の安全策
  • SHR/SHR-2はSynology専用で容量混在OK。迷ったらこれ
  • どのRAIDでも「RAIDはバックアップではない」。3-2-1ルールを必ず併用
参考・出典:
Synology「RAIDタイプおよびSHRの概要」公式ドキュメント/Western Digital「WD Red Plus製品仕様書(WD40EFPX)」/Seagate「IronWolf/IronWolf Pro データシート」/東芝「N300 NAS HDDスペックシート」/SNIA (Storage Networking Industry Association)「RAID Levels Technical Overview」/各NAS製品のDSM/UGOS Pro/QTSユーザーガイド。
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自宅やオフィスでのNAS活用をもっと身近に、わかりやすく伝えることを目指して「ありがとNAS」を運営しています。IT企業でサーバー・ストレージの導入や運用を経験し、現在は趣味と実務を活かして記事を執筆。初心者でも安心してNASを使いこなせるよう、最新機種レビューからトラブル解決まで実際に検証した情報を発信しています。
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