更新日:2026年8月12日|カテゴリ:HDD・SSD・ストレージ選び
NASの容量が足りない。空きが残り数百GBになって、HDDを買い足そうと値段を調べたら手が止まった。2026年のいま、いちばん多いのがこの状況です。
結論から言うと、最初にやるのは購入ではなく棚卸しです。空けてもまだ足りないなら置き場を変え、それでも足りないときに初めて買います。そして買う時期は、相場ではなく自分のNASに入っているHDDの状態で決めます。
相場そのもの(いくらか・なぜ上がったか・銘柄別の動き)はHDD値上がりはいつまで?NAS用の相場と買い時にまとめています。この記事は値段の話ではなく、買うまでの時間をどう作るかの話です。
- 最初の一手は棚卸し。Synologyには重複ファイルと死蔵ファイルを洗い出す公式パッケージがある
- 「本体だけ先に買っておく」は、HDDを待つ間の容量不足を1GBも解決しない(保証期間だけが進む)
- 「1本で始めて後から足す」で増えるのは、容量ではなく冗長性のことがある
- 当サイトは値下がり時期を予測しない。代わりにS.M.A.R.T.の監視で、買う日を自分で選べる側に回る
先に立場を書きます。当サイトは「いつ下がるか」を予測しません
待っている人がいちばん知りたいのは「いつ下がるか」です。ですが当サイトはそれを予測しません。理由は単純で、予測を外したときに損をするのは読者だからです。
事実として書けるのはここまでです。2026年のNAS用HDDは、上がり続けた時期と、7月下旬に一部の銘柄が下げた時期の両方がありました。銘柄や容量で動きが割れており、「全体が下落に転じた」とも「これからも上がり続ける」とも言えません。推移と原因はHDD値上がりはいつまでで月1回を目安に更新しています。
当サイトは記事に出てくる価格をデータベースで管理していて、記事の記述と突き合わせる監査を毎回走らせています(現在49商品)。2026年8月5日にバッファローLinkStationの価格改定を反映したときには、既存記事の記述と前提が合わなくなった箇所を51件・6記事ぶん、その場で検出しました。価格は「見張る」ことはできますが、「予測する」ことはできません。この記事に価格の数字をほとんど置いていないのも、同じ理由です。
では何を頼りに買う日を決めるのか。自分のNASに入っているHDDの状態です。これがこの記事の芯で、手順3で詳しく書きます。
高騰局面でいちばん高くつくのは、選ぶ余地がない状態で今日買うことです。HDDが壊れてから探すと、在庫のある店の、在庫のある型番を、その日の値段で買うしかありません。銘柄も容量も価格も選べません。逆に言えば、選べる状態を保つことが、そのまま節約になります。
手順に入る前に、空きベイが残っているかだけ確認しておいてください。空きベイがあれば最後に買うのは1本で済むことがあり、埋まっていれば交換(多くの場合2本)です。手順1〜3は共通ですが、最後に必要な金額がここで倍ほど変わります。
手順1 まず空ける。NASの空き容量を増やす棚卸しで、買う量は変わる
数百GB戻れば、「今週買う」が「様子を見て決める」に変わる
家庭のNASで容量を食っているのは、たいてい写真・動画・過去のバックアップの3つです。このうち見返していないものは、想像より多く残っています。同じ写真の重複、書き出しに失敗した動画、PCを買い替える前に丸ごと放り込んだフォルダ。
ここを整理して数百GB戻れば、判断を先送りできます。空けた容量は、値下がりを待つための時間そのものです。しかも追加の出費はかかりません。ただし削除は取り消せないので、次の前提だけは崩さないでください。
棚卸しは削除を伴う作業です。ごみ箱を空にする操作と、スナップショットの削除は元に戻せません。重複と判定されたファイルも、本当に同じ中身かはご自身の目で確認してください。作業前に、消したくないデータが別媒体(外付けやクラウド)にもあることを確認し、実行はご自身の責任でお願いします。組み方は3-2-1ルールのバックアップへ。
⚠️ ただし「棚卸しで◯GB空きます」とは書けません。何がどれだけ入っているかは家庭ごとに違うためです。当サイトの経験では数百GB単位で戻ることが珍しくありませんが、これは経験則であって保証ではありません。
Synologyには棚卸し専用の公式パッケージがある(Storage Analyzer)
Storage Analyzerは、Synologyがパッケージセンターで配布している追加パッケージです(DSM 7.2 / 7.3 / 7.4に対応)。ストレージの使用状況をレポートにして、どこに容量を食われているかを一覧で出せます。
公式仕様では分析できる属性が9つ挙げられています。棚卸しで効くのは次の3つです。
| 見るもの | 何が分かるか | 使いどころ |
|---|---|---|
| 重複ファイル | 中身が同じファイルの組 | 複数の端末から同じ写真を入れた分。消しても情報は失われない |
| 大きいファイル | サイズ上位のファイル | 1本で数十GBの動画・ISO・仮想マシンイメージ |
| もっとも過去にアクセスされたファイル | 長く開かれていないファイル | 棚卸しの本命。容量ではなく「使っていない」で切れる |
重複ファイルは「消しても情報が減らない」ので、最初に手を付けやすい枠です。ただ本当に効くのは3つめです。容量が大きいものを消すと後で困ることがありますが、5年開いていないものを外付けへ移すのは後悔しにくいからです。
重複ファイルを洗い出して削除するまでの流れ(Synology)
導入から削除までの流れです。
- パッケージセンターで「Storage Analyzer」を検索して追加する
- 分析の設定を「レポート プロファイル」という単位で作る
- レポートの保存先フォルダを指定する(Hybrid Shareフォルダは保存先に選べません)
- その場で実行するか、スケジュールに載せる(定期実行に対応しています)
- 出たレポートで「重複ファイル」「大きいファイル」「もっとも過去にアクセスされたファイル」を確認する(CSVへ書き出せます)
- 消すと決めたものを削除し、共有フォルダのごみ箱を空にする(後述。ごみ箱が有効なままだと空き容量は戻りません)
⚠️ 絞り込みの単位や画面の項目名はDSMの版で異なります。当サイトは実機でなぞった記録を持たず、公式ヘルプ本文も機械的に取得できていないため、ボタン単位の手順は書きません。
参考:Synology公式ヘルプレポート プロファイルの管理/使用量とレポートを表示(ページの存在とタイトルを2026年8月12日に確認。本文は当サイトで取得できていません)
1回のレポートで全部は出ない(重複5,000個・大きいファイル200ファイルの上限)
ここは知らないと確実に取りこぼします。公式仕様に上限が明記されています。
- 重複ファイル:各レポートで検出できるのは最大5,000個
- 大きいファイル:使用状況レポートに表示されるのは最大200ファイル
- ボリュームが10以上ある場合は、使用率が最も高い上位10ボリュームのみ表示
つまり1回スキャンして終わりではなく、レポートのプロファイルを分けて何度か回すのが正しい使い方です。上限で打ち切られていたと気づかないまま「もう空けるものはない」と結論するのが、いちばんもったいないパターンです。
なお、Hybrid Shareフォルダは使用状況レポートに含まれません。
出典:Storage Analyzer テクニカルスペック(Synology公式)(2026年8月12日確認)
10年前の機種でも、現行版が配布されている
「うちのNASは古いから、そういうツールは無いだろう」と思うかもしれません。Synologyの配布アーカイブを見ると、Storage Analyzerは2026年5月付の版がarmada38x向けにも置かれています。armada38xは2016年発売のDS216jなどが使っているCPUのアーキテクチャです。
参考:Synology Archive|StorageAnalyzer 2.1.1-0644(2026年8月12日確認。armada38x / armv7 / armv8 / monaco / x86_64 の5アーキテクチャ向けが並んでいます)。10年目のDS216jが今もアップデートを受け取っている件はDS216jはサポート終了?で扱っています。
⚠️ 機種ごとにパッケージセンターへ出るかどうかは、当サイトでは確認できていません。お使いの機種のパッケージセンターで検索してみてください。
消したのに空かないときは、ごみ箱を確認する
共有フォルダには「ごみ箱」を有効にする設定があります。有効なら、削除したファイルはごみ箱に移るだけで空き容量は戻りません。DSMではコントロールパネルの共有フォルダ設定で有無を確認でき、タスクスケジューラで定期的に空にする予約タスクも作れます。
⚠️ メニュー名や階層はDSMの版で異なる場合があります。当サイトはこの手順を実機でなぞった記録がないため、断定的な操作手順としては書きません。見つからない場合は、お使いのDSMのヘルプで「ごみ箱」を検索してください。
Btrfsならスナップショットの世代も見る
ボリュームがBtrfsなら、スナップショットも容量を使っています。Synologyは公式仕様で「過剰なスナップショットの保持はストレージ効率に影響を与える可能性がある」と説明しています。保持ポリシー(最新N個を保持・保持期間の指定など)も設定できます。
古い世代を整理すれば空きは戻ります。ただしどれだけ戻るかは変更履歴の量次第で、公式にも目安の数値はありません。ext4のボリューム(古い機種に多い)には、そもそもこの手はありません(ext4とBtrfsの違い)。
出典:Snapshot Replication 技術仕様(Synology公式)(2026年8月12日確認)
期待しないほうがいい2つ
不利な話を先に書きます。「容量を減らす技術」として名前が挙がるのに、家庭のNASでは効かない・使えないものが2つあります。
DSM 7.4のストレージ効率(事後重複排除+圧縮)は、公式の脚注に「事後重複排除および圧縮にはSynology製ハードドライブが必要」と書かれています。市販のWDやSeagateを入れている家庭のNASは対象外です(DSM 7.4の位置づけはDSM 7.4/7.4.1は今すぐ更新すべき?へ)。
Btrfsのデータ圧縮は使えますが、家庭のNASで容量の大半を占める写真・動画・zipは既に圧縮済みで、ほとんど縮みません。効くのは文書やログの類です。なお削減率の数値が出回っていますが、当サイトがSynologyの公式ページ本文で確認できなかったため、数値は書きません。
出典:DSM 7.4 公式ニュース(Synology)(脚注に重複排除・圧縮の要件記載・2026年8月12日確認)
他社NASの場合(当サイトが確認できた範囲)
UGREEN NASyncのUGOS Proについて、当サイトが公式ページで確認できたのは「リアルタイムのストレージ状況・スペース使用率の監視」までです。Synologyのような重複ファイル検出の専用パッケージは、公式で確認できた範囲では見当たりませんでした(見落としの可能性はあります)。
その場合でも考え方は同じです。フォルダ単位でサイズの大きい順に並べ、最終更新日が古いものから外付けへ移す。手作業でも効く順番は変わりません。
手順1でやることは、結局この3つだけです
- Storage Analyzerを入れて、レポートを出す(上限があるのでプロファイルを分けて2〜3回。パッケージセンターに出ないときは手作業でサイズ順・更新日順に並べる)
- 「もっとも過去にアクセスされたファイル」から外付けへ移す
- 共有フォルダのごみ箱を空にして、空き容量が戻ったことを確認する
画面の細かい名前はDSMの版で違いますが、この3つの順番は機種が変わっても同じです。
手順2 置き場を変える。容量が足りないとき、買うのはNAS用HDDとは限らない
空けてもまだ足りないときの次の手です。ポイントは「NASの中の空き容量」と「データの置き場」は別問題だということ。
外付けHDDへの一時退避はいちばん安い。ただしNASの中身の代わりではない
見返さないデータを外付けへ移すのは、単価でいちばん安く済みます。執筆時点の実勢で、バッファローの据え置き外付けHDD 4TBが安値帯で19,500円前後です(後述のとおり在庫が絞られており、店によっては3万円台の掲載もあります)。これに対して、NAS用の内蔵HDDであるWD Red Plus 4TBは32,500円前後。安値帯で買えれば、同じ4TBで1万円以上違います。
価格はいずれも当サイト調べ(最終確認 2026年8月5日)。在庫・価格は変動します。購入前にご自身で最新の価格と在庫をご確認ください。
安い理由と制約は、同じ場所に書いておきます。
- 24時間運転を前提にした製品としては案内されていません。NAS用HDDには24時間365日の稼働と年間ワークロードの公式スペックがあります。一方、据え置き外付けHDDの製品ページには連続稼働の前提も使用時間の目安も記載がありません(当サイトが確認した範囲)。保証も1年です
- 中身のドライブの型番は公表されていません。記録方式は製品によりけりで、たとえばバッファローのHD-SGDA4U3-Bは公式に「CMR方式採用」と明記されています。ただし型番まで追えない以上、NASに入れる前提での見極めはできません(CMRとSMRの違い)
- 在庫が絞られています。バッファローは公式の製品ページで、一部の外付けHDDについて在庫を限定している旨・特定販売店向けである旨を明記しています
- 分解して中身をNASに使う(殻割り)は当サイトでは勧めません。保証を失ううえ、実際に入っているドライブの型番までは分からないままです
出典:HD-SGDA4U3-B 製品ページ(バッファロー公式)(「この商品は現在、在庫を限定しております」「この商品は特定販売店向けです」の記載・保証期間1年・記録方式の記載を2026年8月12日に確認)
つまり「一時退避先」としては現実的、「NAS用HDDの代わり」としては不適切です。外付けの選び方は写真・動画を守る外付けHDD/SSDの選び方にまとめています。
下は本文で挙げた4TBクラスの据え置き外付けHDDの一例です。用途は「見返さないデータの退避先」に限る前提で、最新の価格と在庫をご確認ください。
SSDへ逃がすのは、写真・動画では単価で負ける
「HDDが高いならSSDで」と考えたくなりますが、2026年はSSD側も高騰しており、容量あたりの単価差は依然として大きいままです。写真・動画のように容量が主役のデータをSSDへ逃がすと、かえって高くつきます。効くのは作業用の領域・書類・アプリ置き場など数百GB規模までです(用途別の比較はNAS用SSDのおすすめ)。
クラウドへの一時退避は、月額が積み上がることを先に計算する
数百GBを一時的にクラウドへ預けるのは有効です。ただし月額は毎月かかり続けます。仮に月1,000円なら1年で12,000円、数年続けばHDD 1本ぶんに届きます。「HDDを買わずに済んだ」ではなく「支払い方を分割した」に近い、と考えるのが正確です。
一時退避のつもりが常設になりやすい点にもご注意を。総コストの比較はNASとクラウドストレージの違いにあります。
手順3 壊さない・気づく。買う日を自分で決めるための監視
ここがこの記事の芯です。待機期間にやるべきことは、節約ではなく監視です。
S.M.A.R.T.の5項目が0のうちは、まだ「選べる側」にいる
HDDの故障は、多くの場合いきなり来るわけではありません。S.M.A.R.T.の5項目(05・187・188・197・198)のRAW値が0から1以上に変わったら要調査、というのが実務的な判断基準です。
この監視が効いていれば、値段と在庫を見ながら買えます。効いていなければ、壊れた日がそのまま買う日になります。待つための技術ではなく、選ぶための技術だと考えてください。
⚠️ 「予兆が出てから買え」ではありません。予兆が出た時点で猶予は短くなっています。正しい順番は監視する → 早く気づく → 在庫と価格を見て選ぶです。予兆なしに突然壊れることもあります。
⚠️ もう1つ、こちらに不利な事実も書いておきます。当サイトのDS223j(DSM 7.2.2)では、DSMの画面にS.M.A.R.T.属性の一覧がありませんでした(2026年8月5日確認)。DSMだけで追えるのは総合ステータスと拡張テストの結果までです。RAW値まで見る方法を含め、NAS HDDの故障予兆を見抜くに手順をまとめています。
今日できる一手(5分)
- ストレージマネージャの健康状態画面から、S.M.A.R.T. 拡張テストを月1回のスケジュールに入れる(当サイトのDS223jでは、S.M.A.R.T.タブの中身が実行・結果・スケジュールの3つでした)
- 通知設定で、ドライブ正常性レポートやストレージの警告をメールで受け取るようにする
RAW値まで追えなくても、この2つで「壊れた日に初めて気づく」は避けられます。画面名はDSMの版で異なります。手順はNAS HDDの故障予兆を見抜くへ。
年齢の目安は「中央値6年9か月」。ただしデータセンターの統計です
Backblazeは20万台超のHDDのデータから、故障年齢の中央値を約6年9か月と推定しています。生存率は4年時点で約90%、6年時点で約65%です。
⚠️ これはデータセンターで24時間稼働・常時監視された環境の統計であり、家庭のNASにそのまま当てはまるものではありません。あくまで「そろそろ考える年齢」の目安として使ってください。逆に言えば、6年を大きく超えたHDDを積んだまま「値下がりを待つ」のは、待ち方としてリスクが高い部類に入ります。
出典:Backblaze「How Long Do Disk Drives Last?」(2021年12月17日更新の分析・2026年8月12日確認)
停電で1本失うのが、この局面ではいちばん高い出費
買い控え中に避けたい予定外の出費で、いちばん大きいのは停電や瞬断でHDDやボリュームを壊すことです。高い時期に慌てて買うことになるうえ、復旧できないデータが出れば、それはお金では戻りません。買わない期間に正当化できる出費があるとすれば、買うためのお金ではなく、壊さないためのお金です(NAS用UPSの選び方とおすすめ)。
誤解されやすい3つ。ここを間違えると出費が増える
「本体だけ今のうちに買っておく」は、HDDを待つ間の解決にはならない
HDDが高いなら、先にNAS本体だけ確保しておこう——買って箱で寝かせること自体はできます。ただし、待っている間の容量不足は1GBも解決しません。
Synologyの場合、OS(DSM)はドライブ側に置かれる前提です。公式KBでも各ドライブにシステム用とSWAP用の領域が予約されると説明されています。セットアップも①ドライブを組み込む → ②finds.synology.com からDSMをインストール、の順で案内されており、ドライブが1本も入っていない状態では初期設定を始められません。
つまり本体を先に買うと、次の2つを負います。
- 保証の起算だけが進みます。保証期間の開始は一般に購入日です(規定はメーカー・販売店で異なります)。開封しない箱を数か月置いておく間も、保証は同じだけ減ります
- 初期不良の確認ができません。ドライブを入れて動かすまで、本体が正常かは分かりません。購入店の初期不良交換は起算日も日数も店ごとに異なり(当サイトが確認した範囲では商品の到着後を起算とする店が多く、最短は到着後7日)、寝かせている間に過ぎることがあります(店ごとの期間はNAS用HDDの初期不良チェック3つの表へ)
参考:ドライブ パーティションとは?(Synology サポート)/DSMがインストールされているドライブはどれですか?(同)(2026年8月12日確認)。当サイトはこれらのページ本文を機械的に取得できていないため、記述は「システム領域が予約される」「OSがドライブ側にある前提の案内が置かれている」という範囲に留めています。
一方で、本体そのものも値上がりしています。バッファローはNASを含む製品の希望小売価格を2026年に3回改定しています。たとえばLinkStation LS720D0402は47,630円 → 50,160円(1月6日)→ 73,480円(6月1日)→ 98,120円(7月23日発表・8月3日実施)と推移し、7か月で50,490円(+106%)の上昇でした。上がっているのはHDDだけではありません。
ですので、買い替えをすでに決めている人が、値上がりを避けるために本体を先に押さえる——この判断まで否定はしません。ただしそれは「HDDが安くなるまでの待ち方」ではなく「本体の値上がりを避ける判断」です。目的を混ぜないでください。待っている間の容量不足は、どちらにしても手順1〜3で作るしかありません。
出典:バッファロー価格改定のお知らせ(2026年1月6日/6月1日/7月23日)。いずれも税込のメーカー希望小売価格で、店頭の実売価格とは異なります。数値は当サイトでPDF現物を確認しました。
「1本で始めて後から足す」で増えるのは、容量ではなく冗長性のことがある
もう1つの定番が「まず1本だけ買って、安くなってから2本目を足す」です。間違いではありませんが、期待と結果がずれやすい手です。ずれる理由は、ドライブを足したときに何が増えるかがRAIDの種類で変わるからです。
| 構成 | 同容量のドライブを追加すると |
|---|---|
| RAID 1 | 容量は増えない(増えるのは冗長性、つまりミラーの数) |
| SHR / JBOD / RAID 5 / RAID 6 / RAID F1 | ストレージプールの容量を拡張できる |
Synologyの公式KBには「1ドライブSHRに新しいドライブを追加したが、利用可能な容量が増えなかった」という項目が独立して存在します。それだけ多くの人が同じ勘違いをしているということです。なお追加するドライブは、プール内の最小ドライブ以上の容量が必要です。
さらに2つ、先に伝えておきます。
- 1本運用はRAIDの保護がゼロです。そのドライブが壊れたら全部失います。1本で始めるなら3-2-1ルールのバックアップは省略できません
- RAID 1とSHRは相互に変換できません(公式KBに項目があります)。後から足す前提なら、最初の選択でつまずかないようRAIDとSHRの違いを先に読んでおいてください
参考:ドライブを追加してストレージ プールの容量を拡張する(Synology)/1ドライブSHRに追加しても利用可能な容量が増えないのはなぜですか?(同)/RAID 1とSHRを切り替えられないのはなぜですか?(同)(いずれも2026年8月12日にページの存在とタイトルを確認。本文は当サイトで機械的に取得できていないため、追加するドライブの容量要件などページ本文の細部は、お使いのDSMのヘルプでご確認ください)
本体ごと入れ替える判断に傾いたときは、NASの買い替えとデータ移行もあわせてご覧ください。
中古・整備品は「安い同じもの」ではなく「保証年数が違う別商品」
メーカー公式の整備品(recertified)は実在します。ただし新品と同じものではありません。
| 区分 | 保証 | 備考 |
|---|---|---|
| Seagate 整備品 | 6か月 | 「used, reconditioned, or repurposed」と明記。新品向けの仕様書と保証は適用されない、とも明記 |
| WD 整備品 | 1年限定保証 | 2019年8月20日以降の購入分 |
| NAS用HDDの新品 | 3年が一般的 | 当サイト調べ(NAS用HDDのおすすめ比較) |
煽らずに事実だけ書くと、差は「品質」ではなく「保証の長さ」としてメーカー自身が明示しているということです。保証が3年から6か月や1年へ短くなる点を、値引き分で納得できるかどうか。ここが判断の分かれ目になります。
⚠️ その「値引き分」の目安は当サイトでは示せません。整備品の割引率をメーカーが公表しているのを確認できておらず、価格は販売元・時期・容量で動くためです。同じ容量・同じシリーズの新品の実勢価格と並べてご自身で比べてください。
⚠️ なお、これらはいずれもメーカーの米国サイトの案内です。日本国内で正規に流通しているかは当サイトでは確認できていません。国内で見かける「リファービッシュ」表記がメーカー正規のものかどうかは、購入前に販売元へご確認ください。フリマ・オークションの個人出品品は使用履歴が不明で、メーカー整備品とはさらに別物です。
出典:Seagate Recertified Drives/WD Recertified/Western Digital 保証ポリシー(いずれも2026年8月12日確認)
そして中古や整備品を選ぶなら、届いた直後の検査が新品以上に重要です。とくに通電時間(S.M.A.R.T. 09)は、運用を始めると自分の稼働分も積み上がるため、箱から出した直後にしか意味を持ちません(NAS用HDDの初期不良チェック3つ)。
それでも買うと決めたときの進め方
3つの手順を通しても足りない、あるいは予兆が出た。そのときは買う側に回ります。順番はこうです。
- 何TB必要かを先に確定する:NASのHDD容量の選び方。棚卸しの後なら、必要量は買う前の見積もりより小さくなっているはずです
- 型番と記録方式を確認する:CMRとSMRの違い。安い大容量にSMRが混ざります
- 在庫と価格を見て銘柄を決める:NAS用HDDのおすすめ比較と、相場のHDD値上がりはいつまで
この順番を飛ばして値段だけで選ぶと、SMRを踏むか、必要より大きい容量を買うかのどちらかになりがちです。棚卸しで必要量が決まっているなら、あとは銘柄を1つ決めるだけ。NAS用HDDのおすすめ比較に定番9モデルの早見表(記録方式・容量帯・保証年数)があるので、そこで決めてから在庫のある店を探してください。
この記事の結論は「買うな」ではありません。買う日を、相場ではなく自分の都合で決められる状態を作ることです。空ければ時間が増え、監視すれば選択肢が残ります。そのうえで必要になったときに、そのときの最善を買ってください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 最初にやるのは購入ではなく棚卸し。空けた容量は、そのまま判断を先送りできる時間になります
- Synologyには公式のStorage Analyzerがあり、重複ファイル・大きいファイル・もっとも過去にアクセスされたファイルを洗い出せます。DSM 7.2〜7.4対応で、10年前の機種が使うarmada38x向けにも現行版が配布されています
- 1回のレポートには上限があります(重複5,000個・大きいファイル200ファイル)。プロファイルを分けて何度か回してください
- DSM 7.4の重複排除はSynology製ドライブが必要で、市販HDDの家庭NASでは使えません。Btrfs圧縮も写真・動画には効きません
- 外付けHDDへの一時退避は単価で最も安いものの、24時間運転を前提にした製品としては案内されておらず、中身の型番も非公表です。NAS用HDDの代わりにはなりません
- 「本体だけ先に買う」は、待つ間の容量不足を解決しません(保証の起算だけが進みます)。ただし本体も値上がりしており、買い替えを決めているなら別の判断です
- 「1本足す」で増えるのは容量とは限りません。RAID 1では冗長性が増えるだけです
- 中古・整備品は品質ではなく保証年数が違う別商品(Seagate 6か月/WD 1年/新品は3年が一般的)。国内の正規流通は当サイトでは未確認です
- 当サイトは値下がり時期を予測しません。代わりにS.M.A.R.T.の監視で、買う日を自分で選べる側に回ることをおすすめします
- 待つ期間に正当化できる出費は、買うためのお金ではなく壊さないためのお金です。停電で1本失えば、いちばん高い時期に慌てて買うことになります(NAS用UPSの選び方)
価格・在庫はいずれも執筆時点で確認したものです。変動が速いため、購入前には必ずご自身で最新の価格・在庫をご確認ください。
下は上で触れた「壊さないための出費」にあたるUPSの一例です。NAS 1台なら小容量帯で足りますが、容量・給電方式・USB連携の見方はNAS用UPSの選び方で確認してから選んでください。